ホームカミング (Homecoming) 

提供: amazon 

プレミア提供日: 11/2/2018 (Fri) 

製作: エスメイル・コープ、ギムレット・ピクチュアズ 

製作総指揮: サム・エスメイル、イーライ・ホロヴィッツ、ジュリア・ロバーツ 

出演: ジュリア・ロバーツ (ハイディ・バーグマン)、ボビー・カナヴァリ (コリン・ベルファスト)、ステファン・ジェイムズ (ウォルター・クルツ)、シェイ・ウィガム (トマス・カラスコ)、アレックス・カーポフスキー (クレイグ)、シシィ・スペイセク (エレン・バーグマン)、マリアン・ジャン-バプティスト (グロリア・クルツ)、フランキー・ショウ (ダラ)、ブルック・ブルーム (パム) 

 

物語:   ハイディはかつて、PTSD等に悩まされながら社会復帰を目指す元軍人たちのカウンセラーという職を得ていたが、今では退職し、田舎の海沿いのレストランでウエイトをして生計を立てていた。そこへある男がやってきて、ハイディがカウンセラー時代の話を根掘り葉掘り聞きたがる。ハイディはカウンセラー時代、上司のコリンに逐一仕事の進捗状況の報告を義務付けられており、どうやらハイディの仕事は、単にカウンセラーという以外にも他の含みがありそうだった‥‥ 


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Homecoming


ホームカミング  ★★★

ジュリア・ロバーツがストリーミング・サーヴィスのamazonの、感触としては映画ではなく TVシリーズに出ると聞いて、ふうんと思った。近年、Netflixの急成長によって、製作者、出演者を問わず、これまではTVには見向きもしなかったハリウッド・スターや映画監督が、TVモニタで見る作品にも興味を示し始めている。 

 

しかも「ホームカミング」、最初に聞いたのは、なんでもロバーツが田舎に帰ってウエイトレスとして働きながら年老いた母の面倒を見る話というもので、なんか、かなりまた地味なホーム・ドラマに出るんだなという印象だった。とはいえamazonでは一昨年、こちらは2時間単発ものだがやはり同様に一見地味ながら非常に面白かった「マンチェスター・バイ・ザ・シー (Manchester by the Sea)」という作品もあったし、似たような路線かと思っていた。 

 

ところが実際に「ホームカミング」が提供され始めると、ホーム・ドラマどころかスリル・サスペンス・ドラマとして紹介されている。しかも一時間ドラマ・シリーズではなく、30分 x 10回シリーズという変則ドラマだ。かつて退役軍人のカウンセラーとして働いていたハイディ (ロバーツ) が、どうやら極秘事項と関係していたという話らしい。どっちかというとそっちの方こそ私の好みのジャンルであるため、俄然視聴意欲が増してきた。 

 

話はハイディが軍施設でカウンセラーとして働いていた時代と現在を交互に描くが、視覚的に印象的なのが、過去のカウンセラー時代を最初に紹介した後、話が現在に飛ぶと、そのイメージが粗い、ほとんど真四角なフレームになることで、印象としてはスマートフォーンを縦に持って撮影したというものだ。ミハエル・ハネケの「ハッピー・エンド (Happy End)」が、主人公の持つスマートフォンの映像から始まっていたことを思い出す。 

 

要するにこれは、誰かまだ登場していない第三者の視点かとも思ったのだが、それにしてはカメラのこちら側に誰かの存在を感じさせない。このフレイムワークの意味は後でわかるのだが、いずれにせよ、製作演出のサム・エスメイルはこういうギミックというかカメラワーク、イメージ処理を色々施しており、そういうのが好きなようだ。 

 

例えばハイディのオフィスでは、度々カメラが壁の上を飛び越えて俯瞰の移動撮影になる。人物に向かってカメラが前進しながらズーム・ダウンする (逆だったっけ?)、あの、アルフレッド・ヒッチコックが「めまい (Vertigo)」で使用したテクニックも何度も出てくるし、カメラが引くと、考えていたのと違う場所だった、みたいなショットもある。


はっきり言って、CGに頼らないそういう物理的なギミックは私の趣味とも合致するところで、非常に好もしい。ハイディの心の曇りがとれて過去と現在 (現在と未来か?)  がシンクロし、真四角フレイムが横長フレイムに拡大しながらの「めまい」ショットの拡張版は、おお、これがやりたかったんだなと、思わず心の中で快哉を送る。 

 

むろんそういうギミックだけに頼っているわけではなく、出演者も好演している。特に主演のロバーツは、そういえば最近こういう、微妙な表情を見せるロバーツって見てないなと気づいた。特に最終回の最終シークエンスは、そうそう彼女はオスカー女優なんだと改めて確認させてくれる非常にいい出来。本人もそういうのをやりたかったからこそ、自身でプロデュースも兼ねているのだろう。強面を通すが実は内面は弱っちそうなコリンに扮するボビー・カナヴァリも、役柄ぴったり。ウォルターに扮するステファン・ジェイムズもいい。 

 

こないだhuluの「キャッスル・ロック (Castle Rock)」にも出ていたシシィ・スペイセクは、今回はロバーツの母親役だ。ハイディが働いているレストランで同僚のウエイトをしているのは、ショウタイムの「SMILF (SMILF)」で、やりたい放題の主人公を演じているフランキー・ショウだ。エージェント役のシェイ・ウィガムは、今年私が見ているだけでも、「ベイルート (Beirut)」「ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ (Sicario: Day of the Soldado)」「ファースト・マン (First Man)」に出ている売れっ子バイ・プレイヤーだ。等々、色々見どころのある「ホームカミング」、Netflixだけに限らずhuluやamazon等、ストリーミング・サーヴィスは、今やアメリカTV界になくてはならない存在になってきた。 

 











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