イーライ・ロスズ・ヒストリー・オブ・ホラー (Eli Roth’s History of Horror) 

放送局: AMC 

プレミア放送日: 10/15/2018 (Mon) 0:00-1:00 

製作: アサイラム・エンタテインメント  

製作総指揮: イーライ・ロス、カート・サエンガ   

ホスト: イーライ・ロス   

 

内容: ホラー映画/TV番組の歴史を紐解く。


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Eli Roth’s History of Horror


イーライ・ロスズ・ヒストリー・オブ・ホラー   ★★1/2

ハロウィーン・シーズンになると、いかにもそれらしいホラー番組が編成されるのは毎年のお決まりだ。今年もそれは例外ではなく、というかここ数年のストリーミング・サーヴィスの業界参入によって競争が激化したことにより、今年は過去のホラー映画の放送だけでなく、多くのホラー新番組が編成された。 

  

ライト・アズ・ア・フェザー (Light As a Feather) hulu (10/12 (Fri)) 

ザ・ホーンティング・オブ・ヒル・ハウス (The Haunting of Hill House) Netflix (10/12 (Fri)) 

チャームド (Charmed) CW (10/14 (Sun))  

ホーンテッド (Haunted) Netflix (10/19 (Fri)) 

チリング・アドヴェンチャーズ・オブ・サブリナ (Chilling Adventures of Sabrina) Netflix (10/26 (Fri)) 

テル・ミー・ア・ストーリー (Tell Me a Story) CBS All Access (10/31 (Wed)) 

 

上記番組はかつての人気番組のリメイクであるCWの「チャームド (Charmed)」を除き、すべてストリーミング・サーヴィス番組だ。その「チャームド」だって、上記番組の中では最もホラー色が薄く、これ、ホラー番組と言えるかなと一瞬考える。シリーズ番組でないならいまだにSyFyがホラーTV映画をいくつも編成しているが、シリーズに限った場合、ホラーはストリーミング・サーヴィスの独壇場になりつつある。 

 

いずれにしても、この中から一つは見て書いた方がいいかなと思っていたが、数があり過ぎて見たい番組を絞り切れない。Netflixの「ザ・ホーンティング・オブ・ヒル・ハウス」がこの中でも最も評価が高そうだからこれにしようかと思っていたが、かつての家族向けコメディ「サブリナ ティーンエイジ・ウィッチ (Sabrina, The Teenage Witch)」をダークにリメイクした、「チリング・アドヴェンチャーズ・オブ・サブリナ」にも惹かれる。キム・キャトラルがグリム童話を現代ニューヨークを舞台にホラー化した「テル・ミー・ア・ストーリー」も気になる。 

 

と思っているうちに編成されたのが、「ヒストリー・オブ・ホラー」だ。「ホステル (Hostel)」シリーズで知られるイーライ・ロスが、ホラー作品の歴史を紹介するというもので、まずはこれを見てホラーを復習しようかと考える。 

 

番組は7回シリーズになっており: 

 

ゾンビ―ス (Zombies) 

スラッシャーズ1 (Slashers 1) 

スラッシャーズ2 (Slashers 2) 

ザ・デーモンス・インサイド (The Demons Inside) 

キラー・クリーチャーズ (Killer Creatures) 

ヴァンパイアズ (Vampires) 

ゴースト・ストーリーズ (Ghost Stories) 

 

と、まとめられている。第1回の「ゾンビ―ス」で真っ先に紹介されるのが、番組を放送するAMCのドル箱番組「ザ・ウォーキング・デッド (The Walking Dead)」なのを見た時、しまった、こいつはAMCの宣伝番組だったかと一瞬見たのを後悔した。もちろん実際に「ウォーキング・デッド」をプロモートするという意味は大きかっただろうが、その後は特に「ウォーキング・デッド」一辺倒に偏ることなく満遍なくホラー史に目を通しているのでほっとする。 

 

「ゾンビ―ス」では、他にゾンビ映画の金字塔、ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド (Night of the Living Dead)」および「ゾンビ (Dawn of the Dead)」を筆頭に、「28日後... (28 Days Later)」フランチャイズの走るゾンビや 「ショーン・オブ・ザ・デッド (Shaun of the Dead)」のコメディ系にも言及する。この辺りは当然抑えていなければならないポイントだ。 

 

私的にホラー映画のベストを挙げるとすると、やはり「ゾンビ」はトップ・テンに入る。その他すぐに思い出すのは、スタンリー・キューブリックの「シャイニング (The Shining)」、トビー・フーパ―の「悪魔のいけにえ (The Texas Chain Saw Massacre)」等がある。いかにもB級だが、「13日の金曜日 (Friday the 13th)」や「ハロウィーン (Halloween)」フランチャイズにもやはり言及しておきたい。 

そうそう中田秀夫の「リング (Ringu)」は、あのTVのシーンだけで後世に名を残した。1シーンだけというと、「暗くなるまで待って (Wait Until Dark)」の冷蔵庫のシーンも忘れ難い。また、特に怖かったというよりもよくできた作品として、ウィリアム・フリードキンの「エクソシスト (The Exorcist)」、リドリー・スコットの「エイリアン (Alien)」、他にも固有名詞としてロマン・ポランスキーやダリオ・アルジェント等々、いくつも思い浮かぶ。 

 

かつて「シャイニング」が池袋の文芸坐で再上映された際、その時付き合っていたガールフレンドを見に誘うと、断られた。一度見ていて、あれは本気で怖いから二度と見ないと言っていた。その歴史に残る「シャイニング」を、原作者のスティーヴン・キングはキューブリックは怖さというものをわかっていないと公開当時くさしていたのは有名な話で、番組ではその辺りのキングの話も聞ける。要するにキングの原作では、ほとんど普通の人である主人公が、段々恐怖に冒されて変貌していくところに怖さと面白さがあるのだが、キューブリック版では最初から主人公に扮するジャック・ニコルソンが一人で話を別世界に持っていく。しかしもちろん、映画としての「シャイニング」が歴史に残るのは、ニコルソンの怪演なくしては考えられない。小説の「シャイニング」と映画の「シャイニング」は別物なのだ。 

 

番組ではキング以外にも、「ハロウィーン」のジェイミー・リー・カーティス、「エクソシスト」のリンダ・ブレア (歳とっていてびっくり)、「シックス・センス (The Sixth Sense)」のハリー・ジョエル・オスメント (おっさんになっていてびっくり) 等々のゲストの話も興味深い。作り手の趣味が表面に出るこの手の番組としては、なかなかまとまっているという印象を受けた。 











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