ジェヌイティ・チャンピオンシップ

2002年2月28日-3月3日   ★★★1/2

フロリダ州マイアミ、ドラール・ゴルフ・リゾート&スパ

今季、PGAはここまで7戦して (昨年のツアー優勝者から構成されるメルセデス・チャンピオンシップは除く)、ツアー初勝利を飾ったゴルファーが4人いる。半分以上をほとんど名を知られていないゴルファーが占めているわけだが、だからトーナメントが面白くなかったかというとそうでもなく、メイジャーなゴルファーが勝っても大差だったりして大味だった昨年同時期より、今年のツアーの方が断然面白い。ツアー初勝利とはいっても、一昨年、ペブル・ビーチでタイガー・ウッズに史上に残る劇的な逆転負けを喫して話題をまいたマット・ゴーゲルが同じトーナメントで屈辱を晴らしたり、やはりプレイヤーズ・チャンピオンシップで記憶に残る派手な負け方をしたレン・マティース等がわりと劇的な初優勝をもぎ取っているからで、それはそれで見応えのある勝負を演出している。


しかし今回のジェヌイティは3日目終わった時点でアーニー・エルスが17アンダー、9アンダーで2位のタイガー・ウッズとピーター・ロナードに8打差をつけ、既に勝負は決したも同然。ウッズは99年のEPGAのジョニー・ウォーカー・クラシックで、トップを行くエルスに8打差だったのを最終日ひっくり返したという記録を持つが、エルスは今年既に地元で2勝しているなど調子がよく、今回それが再現できるとは到底思えない。因みにPGAで最終日に勝負がひっくり返ったので最大のスコア差は、96年のマスターズでグレッグ・ノーマンがひっくり返されたのを含め、6打差がひっくり返ったのが過去4回あるそうだ。世界を見渡すと、99年のカナースティでの全英で、10打差をひっくり返したポール・ローリーという例がある。


やはり勝負は競ってくれなくてはと思いながら点けた日曜のTVで、しかし、この日スコアを伸ばせないエルスをウッズが猛追しているのを見た時は、思わず息をのんだ。もしかするとまたもしかするかも知れない。勝負はこうでなくっちゃ。ウッズは順調に差を縮め、12番パー5でバーディを奪って15アンダーとした時点で、その日1オーヴァーで、16アンダーとスコアを一つ落としていたエルスに1打差まで追いつく。これは本気でわからない。しかし次のパーティでプレイするエルスも同じく12番でバーディを奪ってまた2打差とし、一方、ウッズはそれからいくつもあったバーディ・チャンスをものにすることができず、エルスもスコアを伸ばせず2打差のまま最終ホールを迎える。ここで思い出すのは99年、まだこのトーナメントがドラール-ライダー・オープンだった時代に、優勝を狙える地点にいたエルスが、最終日最終18番でダブル・ボギーを打って自滅したシーン。まさかとは思うがウッズが絡むとまさかがまさかでなくなることが往々にしてある。久し振りに手の平に汗をかいてTVに集中する。


しかし今回は流石にいつぞやの繰り返しということはなく、ウッズは最終18番でもパーで、結局15アンダーでホールアウト、エルスもわざわざ2打リードしていて池側に切ってあるピンをデッドに狙いに行くこともなく、安全にパーをとり、結局この日イーヴン・パー72の通算17アンダー、ウッズは66の通算15アンダーでレギュレイションを終えた。18番ではウッズのバーディ・パットは入ったかと思ったがホールの左をかすめてしまい、エルスのバーディ・パットは6フィートもショートして、ここでウッズがバーディ、エルスがボギーとなったら、ほんとのほんとに盛り上がったんだが。でも、それでも充分勝負を堪能した。久し振りで本当に面白かった。







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