一番最初にフジコ・ヘミングの名を聞いたのはかれこれもう10年くらい前になろうか、日本にいる知人がわざわざこういうピアニストが今日本ですごく話題になっているといって、ヘミングの弾いた「ラ・カンパネラ」のCDをわざわざ日本から送ってきてくれた。


すごく情熱的な「カンパネラ」で、なんでも聴覚に障害がありながらピアノを弾き続けているということで、印象に残った。今回、そのヘミングがニューヨーク公演をするということで、その生の演奏を聴く機会に恵まれた。


演目はショパンとリスト、バッハ、それにメインがムソルグスキーの「展覧会の絵」で、「展覧会の絵」をソロで弾くというのがどれくらいの頻度であるのか、よくあることなのかは門外漢なのでよくは知らないが、しかし、あれをピアノ・ソロでやるのかと、素直に感心する。


実際の話、会場は喝采を送っており、私も素直に感心した。というか、圧倒された。なんというか、エモーションもすごいが、現在いくつかは知らないが、それを実現する体力もこれまたすごい。クライマックスではほとんど椅子から腰を上げて中腰で鍵盤に指を叩きつけるように弾いていた。ピアノも最後は足腰勝負か。


しかし、実は個人的に今回最も気に入ったのは、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」だったりする。先入観と最も違っていたために印象に残ったというのもある。淡々としながら情感豊かで、とてもよかったです。


ところで今回のツアー、NYの他でも数都市で公演が予定されていたようだが、実はその半分くらいがキャンセルされている。なんでも「諸事情により中止」になったそうだが、たぶん切符が売れなかったのではないだろうか。NYですらわりと空席が目立っていた。


ところでこのツアー、「東日本大震災復興支援チャリティーコンサート」と題されており、切符の売り上げからも何ドルかがチャリティに回されるということだった。しかし、うちの女房もなんか貢献できないかと思ってロビーで売っている本人の版画でも買えるかなとチェック入れていたら、一枚300ドルとかいう世界で、油や水彩の一点モノではない版画に一枚300ドルか、30ドルなら買うんだが、しかも、これ、チャリティーが名目なら、多少は安く設定して少しでも寄付に回すことを考えた方がよくないかと、疑義を呈していた。私も同感だ。









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Fuzjko Hemming Piano Solo Concert USA

フジコ・ヘミング・ピアノ・ソロ・コンサートUSAツアー

2011年9月24日 (土) ニューヨーク、リンカーン・センター、アリス・タリー・ホール

 
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