フォード・チャンピオンシップ

2004年3月4-7日   ★★★★

フロリダ州マイアミ、ドラール・ゴルフ・リゾート&スパ

近年、テクノロジーの進化による新型クラブが次々開発されたことなどでゴルファーのドライヴァーの飛距離が伸びたため、「モンスター」と呼ばれたドラール・リゾートのブルー・モンスター・コースも、てなづけられた嫌いがあった。しかも昨年、これまで数々のドラマを演出してきた最終18番パー4の、フェアウェイ左側の池沿いに、こともあろうにわざわざバンカーなんか新設しちゃったものだから、池ぽちゃになりそうなボールをバンカーが助けてしまい、逆に勝負を面白くなくしてしまっていた。


昨年の勝負の剣が峰で、本当なら池ぽちゃだったジム・フューリックのティ・ショットがこのバンカーに助けられ、勝負がプレイオフまでもつれたことに対し、解説のジョニー・ミラーがまったくバカげていると憤慨していたが、まったくその通り。それで今年はその反省もあり、そのバンカーをまた埋め直し、さらにティ・ボックスを25ヤード後ろに置き直したことで、新たに池ぽちゃを復活させた。その結果、18番は今シーズンのツアーで最も難しく、最もスリリングなホールとなった。


さて勝負の方は、3日目を終わった時点でクレイグ・ペリーが13アンダーで首位に立つ。1打差12アンダーにはジーン・サウアースとスコット・ヴァープランク、さらに1打差11アンダーには、フィル・ミッケルソン、デイヴィッド・トムスら6人が並ぶ。ミッケルソンは、本当に昨年の不調が嘘のような今年の仕上がりだ。


しかし結局ミッケルソンは最終日失速、勝負は4日目も着実にスコアを伸ばすペリーを、ヴァープランク、トムス、そして2日目を終わった時点で首位に立っていたレティーフ・グーセンらが追うという展開に。そして17番パー4で、バンカーからの第2打をピンそば2フィートに寄せるスーパーショットを見せたヴァープランクが、ついに17アンダーとなってペリーに追いつく。二人は結局17アンダーでレギュレイションを終え、プレイオフとなった。


18番でのプレイオフは、完璧なドライヴのペリーに対し、ヴァープランクがティ・ショットを右ラフに打ち込んでしまう。第2打は本人としてはミス・ショットだったが、うまい具合にグリーン・エッジを転がり、ピン・ハイ右30フィートで止まる。下りの難しいパットが残っているが、打った瞬間にはきっと勝負を諦めただろうから、御の字と言えるだろう。


しかし次のペリーの、176ヤード、6アイアンの第2打は‥‥綺麗な弧を描いてまっすぐピンを目指し、グリーン上でバウンス、軽く左に曲がり、そしてそのままカップに吸い込まれていった。ブルー・モンスターの18番で初めて見たイーグルで、ペリーは2002年NEC招待以来のサヨナラ優勝。ヴァープランクの第2打は、このショットをもっと劇的にするための伏線に過ぎなかったか。ボールがカップそば1インチで止まったかに見えて、すっとカップの中に消えていったのを見た時は、思わずカウチから飛び上がって叫んでしまいました。


その他、16アンダー3位にはグーセン、15アンダー4位には、2001年のジェヌイティ時代の覇者ジョー・デュラン、14アンダー5位には、トムス、サウアース、バーンハルト・ランガー、K. J. チョイの4人が入った。丸山茂樹も一時追い上げてリーダーボードに名が見えていたんだが、結局12アンダー11位タイに終わった。因みにドラールのプレイオフでイーグルのサヨナラ優勝というのは、90年にグレッグ・ノーマンが、1番パー5で記録したことがあるそうだが、その時は私はまだ渡米してないどころか、まともにゴルフをプレイしたこともなかったのだった。







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