Fashion Star   ファション・スター

放送局: NBC

プレミア放送日: 3/13/2012 (Tue) 21:30-23:00

製作: エレクタス、5x5メディア、マジカル・エルヴス、グローバル・ファッション・アソシエイション

製作総指揮: ベン・シルヴァーマン、ジェイン・リプシッツ

メンター: ジェシカ・シンプソン、ニコール・リッチー、ジョン・ヴァルヴァトス

バイヤー: カプリス・ウィラード (メイシーズ)、ニコール・クリスティ (H&M)、テロン・シェイファー (サックス・フィフス・アヴェニュー)

ホスト: エル・マクファーソン


内容: 勝ち抜きファション・デザイン・リアリティ。


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Fashion Star


ファッション・スター   ★★1/2

現在、アメリカにおける勝ち抜きのファッション・デザイン・リアリティといえば、後にも先にもライフタイムの「プロジェクト・ランウェイ (Project Runway)」に止めを刺す。ありがちなテーマだとばかり思っていたが、「プロジェクト・ランウェイ」が長い間このジャンルに君臨しているため、実は勝ち抜きでファッション・デザイナーを選ぶリアリティ・ショウというのはそれほどなく、元々「プロジェクト・ランウェイ」を放送していたブラヴォーが、放送権をライフタイムにとられたために苦しまぎれに製作し、見事にこけた「ザ・ファッション・ショウ (The Fashion Show)」くらいしかない。


むろん似たようなテーマの番組としては、勝ち抜きでヘア・デザイナーを決めるブラヴォーの「シア・ジーニャス (Sheer Genius)」や、ブランドというビジネス展開を重視した「ローンチ・マイ・ライン (Launch My Line)」、24時間という限られた時間内で服を仕上げるライフタイムの「24アワー・キャット・ウォーク (24 Hour Cat Walk)」、アクセサリーに的を絞った「プロジェクト・アクセサリー (Project Accessory)」、ヘア・デザインというよりも派手さを競うオキシジェンの「ヘア・バトル・スペクタキュラー (Hair Battle Spectacular)」等いくつかあるが、やはり「プロジェクト・ランウェイ」がこのジャンルを代表するという意見に異を唱える者はいないと思う。


今回NBCが編成した「ファション・スター」は、もちろん単にそれまでと同工異曲の勝ち抜きデザイナーを決めるだけのリアリティ・ショウというだけでは面白味がない。そこで色々と新機軸を加えてオリジナリティを出そうとしている。その最も代表的なポイントが、デザイナーの誰が残り誰が落ちるかを決めるのが、ジャッジではなく、実際に服の仕入れを担当しているアメリカの有名デパートのバイヤーという点にある。


番組はまず、参加する14人のデザイナーが自分のシグナチュア・デザインを主体とした服を3点製作する (第2回以降はテーマを与えられ、それにそってデザインする。) その時にジェシカ・シンプソン、 ニコール・リッチー、ジョン・ヴァルヴァトスの3人がメンターとして意見を述べたりアドヴァイスする。本人もデザイナーであるヴァルヴァトスはともかく、シンプソンやリッチーがファッションにも造詣が深いとは知らなかった。


デザイナー二人ずつ一組となって会場でデザインした服を発表した後、ジャッジ兼バイヤーの3人が、それぞれ評価する。彼らはアメリカを代表するデパートメント・ストアの現実のバイヤーであり、彼らが自分の判断によって、デザイナーの服に値段をつける。5万ドルから始まり、二人以上が購入を希望すると、彼らの間で競ってどんどん値が吊り上がる。10万ドル以上の値がつくこともある。


彼らはそれぞれ、メイシーズ、H&M、サックス・フィフス・アヴェニューのバイヤーで、私の印象ではこの順に庶民的→高級だ。彼らは当然ヴェテランのバイヤーであり、目利きだ。彼らの評価のポイントは、まずそれらの服が実際に売れるかにある。彼らのお眼鏡に適うことは、すなわち全米の消費者のお墨付きを得たに等しい。


また、この中ではサックスが最も高級というイメージがあるが、それでもデパートはデパートであり、フィフス・アヴェニューに軒を連ねるその他の超高級ブランドのように、庶民が手がでないほど高級というわけでもない。とにかく観点は、今の流行を敏感にとらえた、売れる服なのだ。


そういう意識で番組を製作しているせいもあるだろう、デザイナーがデザインする服も、「プロジェクト・ランウェイ」に較べると、特に冒険していたり先端を行くファッションという感じではなく、普通に道ですれ違うにーちゃんねーちゃんたちが実際に着ていそうな服が多く、また、その服を着るモデルたちも、スーパーモデルのように通常の人間離れした容姿ではなく、一般人より少しだけ容姿がいいというくらいのモデルだったりする。


番組では毎回、バイヤーからオファーのなかった者から、メンターの3人が追放する者を決定する。あるエピソードでは、メンターの間で意見が合わず、追放する者を決めるのをバイヤーに頼んでいた時もあった。


売れる服をデザインするという番組の趣旨に相応しく、バイヤーが購入を決めたデザイナーの服は、番組放送の翌日からそのデパートで実際に販売される。番組の放送自体は生ではないから、バイヤーが購入を決めた後、番組放送までに大車輪で服の製造にとりかかるものと思われる。いずれにしてもやはりポイントは、実際に着れる服、消費者が着てみたいと思う服をデザインすることだ。


実はこの番組、これまでのほとんどのエピソードを見てはいるが、特に気にして見ているわけではない。私ではなく、うちの女房がお気に入りで、私が何もしなくてもちゃんとチャンネルが合っていたりするので、自然と一緒に見る機会があるだけだ。私は既にライフタイムの「プロジェクト・ランウェイ (Project Runway)」もCWの「アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル (America’s Next Top Model)」も見なくなって久しいが、女房は、昔ほど熱心に見ているわけではないと言いながらも、それらの番組をいまだに見ている。どうやら女性は全般的にファッションものが好きらしい。


ところでシンプソンは実はちょうど妊娠中で、番組の進行に併せてどんどんお腹、というか、全身が膨らんでいった。元々太りやすい体質みたいで、いつぞやもシンプソンの体重が芸能ゴシップ・ネタとして話題になっていた。それがお腹に子供がいると、もう止めようがないという感じで、毎週顔と身体つきが変わる。はちきれんばかりだ。本当は4月末に出産予定が生まれず、あまり膨らんでいくので周りの者が心配し始めた5月にやっと生まれた。何はともあれめでたい。ところで今の旦那さんは誰だったっけ。


さて、この種の番組の常として、優勝する者を予測すると、うーん、元学校教師のカーラかなあ。シンプルなロニーのデザインする服は、いかにも誰もが着れそうなおしゃれな服という感じで、番組の趣旨から言うと、かなりいい線いくと思う。この二人にジミロを加えた3人のうちの誰かという気がするが、もちろん当たる自信はまったくない。



追記: 2012年5月

私が今回の優勝はカーラでどうかといった「ファッション・スター」、思いがけなくも、本当に優勝はカーラとなった。ま、こういうまぐれ当たりもある。翌日からカーラの服はメイシーズで売り出され、地元フリーペーパーのメトロでは、カラーの表紙で全面広告を打っていた。本気で売り出しに出ているようだ。









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