Extreme Couponing   エキストリーム・クーポニング

放送局: TLC

プレミア放送日: 12/29/2010 (Wed)

シリーズ・プレミア放送日: 4/6/2011 (Wed) 21:00-21:30-22:00

製作: シャープ・エンタテインメント

製作総指揮: マット・シャープ


内容: クーポンを使って買い物を信じられなく安く上げる人々に密着する。


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Extreme Couponing


エキストリーム・クーポニング   ★★1/2

日本人にはそれほど馴染みのない (と思う) クーポンというシステムは、アメリカではごく日常的に使われている。歴史も古く、AMCの「マッド・メン (Mad Men)」のそもそもの第1回で、ジョン・ハム演じる主人公のドン・ドレイパーが、女性相手の広告案としてクーポンをつけたらどうだと提案し、広告主の女性からそんな使い古された手、と嫌な顔をされるというシーンがあった。1960年代でそうだから、とにかくアメリカでは昔からクーポンというシステムが盛んだったことだけは間違いない。


そのクーポン (人によってはキューポンと発音する者もいる。その方がなんかしら愛嬌があるように聞こえる)、だいたい新聞の日曜版に折り込み広告として入っているか、さもなければ集合住宅に住んでいる場合、玄関口に山のように投げ込まれていたりする。郵送されてくる場合も多い。大手のドラッグ・ストアやスーパーマーケットに行けば、だいたいクーポン付きのチラシが店頭に置いてある。清算の時にそのクーポンを出せば、1割とか2割引き、時には半額になったり、あるいは一個買うともう一つ買えばそれが半額になるとか、無料になったりする場合もある。


とはいえ、だからそれを使うかというと、多くの者にとってそういうことはないだろう。いちいちそういうチラシに目を通す時間の方が惜しいという者の方が多いと思う。私もそういう方ではあるが、例外もある。例えば大型日用品チェーンの「ベッド・バス&ビヨンド (Bed Bath & Beyond)」は、定期的に20%引きのクーポンがハガキ大の郵送で来ることもあり、わりと重宝している。掃除機や加湿器、アイロン等はこのクーポンを使用して買った。100ドルのものが80ドルになると、確かに利用しようという気になる。


家の近所のスーパーマーケット・チェーンのストップ&ショップ (Stop & Shop) は、買い物をすると、次30ドル分の買い物をしたら3ドル引きというクーポンを時々くれるので、それも利用している。とはいえ、クーポンというと私が利用しているのはそれくらいだ。女房は季節の変わり目になると、アパレル・チェーンのエキスプレス (Express) からクーポンが送られてくるのをまだかと待っていたりするので、私よりもクーポンを利用する頻度は高いと思うが、それでも一般的に人々がクーポンを利用する機会は、それほど多くはないと思う。


その理由の最大のものとしては、私同様、いちいちクーポンに目を通すのが面倒くさいというのがほとんどだろう。大量にあるクーポンから自分に必要なものを探し出す手間暇の方が断然惜しい。実際、「エキストリーム・クーポニング」でも、登場する人々のほとんどは昔からクーポンを利用していたわけではない。職を失ったからとか、引っ越し、出産等なんらかの事情で財政が圧迫されて、支出を切り詰める必要があったからクーポンを使い始めたというのがほとんどだ。そして、クーポンを効果的に使うと、驚くくらい安くで買い物できることを発見、クーポンにはまってしまうという、誰もが絵に描いたようなコースをたどっている。


実際システマティックに、最も有効にクーポンを使うと、本当に、びっくりするくらい安くで買い物をすることができる。ポイントは最も値引き率の高いクーポンを使うことで、だいたいメイカーが提供しているクーポンと、さらにスーパーマーケットが独自に出しているクーポンを両方使うことで、限りなくタダに近くなる。この時、ものによっては他のクーポンとの併用が禁じられているクーポンもあるため、事前のチェックは欠かせない。ほとんどのクーポンは利用できる期間も決まっている。大量の商品とクーポンを抱えてレジに並び、そのクーポンが使えなかった、なんて事態だけは避けなければならない。


要するに、クーポンを最大限に活用するためには、こちらも研究が欠かせない。フル・タイム・ジョブなのだ。見ていると、皆コンピュータ、インターネットを使って研究や情報収集に余念がない。なんか、クーポン集めているというよりは、PCで株やっているように見えるくらいだ。またある者は、求めるクーポンを手に入れるために、ゴミ箱あさりも辞さない。No pain, no gain.


実際のショッピングでは、そうやって苦労して集めたクーポンと、広い売り場を回ってカートに積み上げた大量の品々を持ってレジに並ぶ。これからがこれまでの苦労の結果を手にするクライマックスだ。財布を手にこちらの顔も興奮で上気してたりする。時にはあまりに大量に一時に買い物をするため、複数のレジを独占して商品をスキャンしないといけない場合もある。これらのレジには、一時にスキャンできる商品数の上限があったりするのだ。それを超えるとレジがハングアップしてすべて一からやり直しだ。こちらの心臓にも悪いし、商売とはいえキャッシャーの顔にも不満が浮かぶ。


まずはキャッシャーが正規の値段でそれらの商品をスキャン、それが終わると一枚一枚クーポンをスキャンし始める。レジがクーポンの内容を読み込み、どんどん合計金額が下がっていく。待ちに待った感動と興奮の一瞬だ。周りになんだなんだと人垣ができ始める。


例えばレベッカの場合、562ドルの買い物が、クーポン使用後、25ドルになった。95%引きだ。ジェシカの場合、680ドルの買い物が6ドルになった。99%引きだ。ジェイミーは1,902ドルの買い物が103ドルになった。イヴァノフスキー家は1,101ドルの買い物を43ドルでまとめる。とにかく全員、クーポンを使いまくって9割以上は割り引かれた価格で買い物を終える。すごい。こういう買い物の仕方があるのかと、目からうろこだ。


ここでキャッチは、確かにクーポンを使うと安くで買い物をすることができるが、その買ったものがすべて自分が欲しいものではないということだ。つまり、安く買い物することを第一に買い物しているので、それが自分が本当に欲しいか、必要であるかということは関係ない。そのため、よくクーポンによって安くで手に入るもの -- トイレット・ペーパーとかの紙類、洗剤、日用品、ソーダ -- とかいうものを大量に手に入れる。日持ちのしない食材とかはあまり手にしないようだが、それでも冷凍食品とかは買って冷凍庫にしまっていたりする。自宅のガレージや地下に業務用の冷凍庫を備えていたりするのだ。しかしミルクも冷凍できるのか? そしてたぶん、超安くで手に入れたものを、人に売る。正規の値段の半額で売っても充分利益は出る。


いずれにしてもそういう品々が大量にあるので、自宅が広く、買ったものをしまえるスペースがあるのは最低条件だ。ものを運ぶクルマも、できればミニヴァン、ピックアップ・トラックがあったりするとなおいい。大量に買ったものを、繋いで牽引していたりする。つまり、皆、クルマを持って大きめの家に住んでいるなど、貧乏というわけではない。一時的に貧窮していた時期もあるかもしれないが、だいたいそれなりに身なりも整っていて、ごく普通の中流階級の人間にしか見えない。本当に貧乏な者はエキストリーム・クーポナーにはなれないのだ。


この番組を見てからというのも、私もついデイリー・ニューズの日曜版に大量に挟み込まれている折り込みのチラシに、なんとはなしに目を通すようになった。ただし、どれも数十セントとか大きくても数ドル止まりのレヴェルのクーポンばかりで、番組に登場する者たちがやっているように数十ドル、数百ドルレヴェルでクーポンを活用しようと思ったら、やはりそれなりに研究して備えなければならない。簡単に金をセイヴしようと思っても、そうは問屋が卸さない。何事にも努力は必要なのだった。








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