放送局: NBC
プレミア放送日: 10/8/2000 (Sun) 20:00-21:00
製作: ヴィアコム・プロダクションズ、ワールドワイド・パンツ
製作総指揮: ロブ・バーネット、ジョン・ベッカーマン、デイヴィッド・レターマン
共同製作総指揮: メア・バックランド
監督: ジェイムス・フロウリー
脚本: ロブ・バーネット、ジョン・ベッカーマン
撮影: ロブ・ドレイパー
編集: マイケル・ベレンバウム
音楽: スティーブン・グラヴィアノ
出演: トム・カヴァナー (エド・スティーヴンス)、ジュリー・ボーウェン (キャロル・ヴァッシー)、ジョッシュ・ランドール (マイク)、ジャナ・マリー・ハップ (ナンシー)、レスリー・ブーン (モーリー)、マイケル・イアン・ブラック (フィリップ)
物語: エドはニューヨークでの弁護士生活に見切りをつけ、生まれ故郷のオハイオ州スタッキーヴィルに帰ってくる。彼はそこで友人のマイクとナンシー夫婦の家に居候し、全財産をはたいて売りに出ていたボウリング場を買い、第2の人生を始めるつもりでいた。しかしそのボウリング場の従業員はピントのずれたものばかりで先が思いやられる。エドは高校の時の彼女で、今は高校の教師をしているキャロルに再度アタックを開始するが、成果は今のところ芳しくない。一方、弁護士というエドの前歴に目をつけたボウリング場の従業員が、ボウリング場「スタッキーボウル」と法律事務所の兼業というアイディアを出す。キャロルの同僚であり、エドの知人でもあるモリーの車を巡る訴訟で弁護人として勤め、うまく勝利を勝ち取ったエドは、本気でボウリング場と弁護士事務所の兼業を考え始める‥‥
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まず最初に驚くのが、この番組を現在CBSの深夜トーク・ショウ「レイト・ショウ・ウィズ・デイヴィッド・レターマン (Late Show with David Letterman)」を製作しているワールドワイド・パンツが製作しているということ。そのレターマンが製作総指揮として参加してもいる。レターマンの「レイト・ショウ」は、元々はNBCで現在最も人気のジェイ・レノがホストを務める「トゥナイト」の直後の番組として編成されていたのだが、レターマンがCBSに移り、午後11時半からの同時間帯で「トゥナイト」しのぎを削ることになった。レターマンは一時アカデミー賞のホストも担当するなど時の人となったが、現在では番組対決は視聴率の上ではレノの「トゥナイト」の方に軍配が上がっている。
「レイト・ショウ」は様々な事物に10個の理由を与えてそれをカウント・ダウンする「トップ10リスツ」コーナーが人気があるが(アカデミー賞でもやってた)、基本的にレターマンのギャグは人を見下したり蔑むものが多く、その点で大衆受けするギャグが特徴のレノの「トゥナイト」に較べて今一つ人気の点で勝てない理由となっている。私も昔「レイト・ショウ」が「トウナイト」の後にやっていた頃は続けて見ていたが、直接対決となってからは「トゥナイト」の方を見ている。だって、レターマンのギャグって時々まったく笑えないどころか不愉快になるものがあるんだもの。「エド」はそのレターマンと「レイト・ショウ」を製作しているワールドワイド・パンツが製作するオフ・ビートのコメディ/ドラマと聞いて、不思議な気がしたものだ。私の印象ではレターマンのギャグとオフ・ビート・コメディなんて全然結びつかないからだ。
「エド」を見終わって感じたことは、レターマンは製作総指揮として名前を貸しているだけで、クリエイティヴな面では全然タッチしていないなということ。本当にオフ・ビートのコメディ/ドラマで、「レイト・ショウ」との類似点はまったくない。でも放送前はレターマンのワールドワイド・パンツ、レターマンのワールドワイド・パンツ、とそこここで言われていたので、私はてっきり「レイト・ショウ」のノリの番組だと思っていたのだ。でも、全然そんなことはなかった。
一言で言ってしまえば、「エド」は「たどりつけばアラスカ」と「ピケット・フェンス」を足して割ったような番組である。「たどりつけばアラスカ」、「ピケット・フェンス」、そしてこの「エド」、共にアメリカの片田舎を舞台としており、そこでメインストリームから外れた人々を主人公とする、ある種群像劇である。特に「エド」が「たどりつけばアラスカ」と似ているのは、主人公が都会(ニューヨーク)から来た一種のドロップアウトであり、その主人公を触媒とすることで田舎の人々のセンシティヴィティや鈍感さ、独特の倫理感を強調させる働きをすることである。そう言えばこの番組で主人公のエドに扮するトム・カヴァナーは、「アラスカ」のロブ・モロウと持っている雰囲気だけでなく、顔も似ている気がする。
私は「アラスカ」も「ピケット・フェンス」も結構好きな番組だったので、わりと興味深く拝見したのだが、プレミアを見る限り「エド」は両番組には少し及ばないかな、という気がした。主人公の魅力という点ではカヴァナーは「アラスカ」のモロウとどっこいどっこいだと思うが、しかし、カヴァナーがヒロイン役の教師のキャロルに彼女が授業中に中世の甲冑を身にまとって求愛に行くシーンは、視覚的ギャグとしてもフィジカルなギャグとしても成功していない。あれはやり過ぎであった。
また、「エド」は脇にもう一癖あってもいいと思う。特にキャロルに扮するジュリー・ボーウェンが普通過ぎる。誰でもつい較べてしまうだろう「アラスカ」のヒロイン役、ジャニーン・ターナーの強烈なエキセントリックな役柄に較べて、この普通さは損である。これではエドがなんでここまでキャロルに入れ込むのかよくわからない。プレミアで私が最も気に入った役は、まず医者のマイクが勤めるクリニックの院長だな。遅刻したマイクに、君にちょうど電話だと言って受話器を渡す。そうするとそれは時刻案内で、遅刻したマイクに対する嫌みとなっており、それだけじゃなく、いや、私たちもフレックス・タイム制にしないとね、とかとにかくしつこい。彼と、無言で彼の嫌みに加担する秘書(受付?)とかは悪くないと思った。
その他、ボウリング場に寝泊まりしている従業員フィリップに扮するマイケル・イアン・ブラックは、狙っているところはわかるのだが、どうも今一つ。マイクとナンシーのカップルは、まあ、あんのものか。ナンシーはともかく、私がも一つマイク役のジョッシュ・ランドールを好きになれない理由は、彼が私が現在過大評価され過ぎていると感じているベン・アフレックに似ているからである。これはまあ、本人の責任ではないな。キャロルの親友、モリーを演じるレスリー・ブーンは、この手の番組になくてはならない太りぎすのコメディ・リリーフ的役割で、タイプキャストと言えるのだが、それはそれで悪くない。
「エド」は現在日曜夜8時から編成されているのだが、視聴率の点では苦戦している。しかし裏番組にABCのディズニー番組枠「ワンダフル・ワールド・オブ・ディズニー」、高齢者層に圧倒的人気のCBS「タッチド・バイ・アン・エンジェル」、若者はFOXの「ザ・シンプソンズ」というそれぞれに熱心なファンを持ち、住み分けのきっちりした時間帯に編成されているわけだから、むしろ健闘しているとも言える。わりといい評を得ている割りに視聴率が伸びないのもしょうがないところか。
NBCは「エド」を救う窮余の一策として、水曜夜8時から編成されているが、同様に視聴率が稼げていないプライムタイム・ソープの「タイタンス(Titans)」と「エド」を12月から入れ替えると発表している。NBCの水曜夜の編成は、9時から「ウエスト・ウィング」、10時から「ロウ&オーダー」と人気番組が並ぶ。「エド」にとってこれは願ってもないことだと思うが、「タイタンス」は見捨てられたな、というのが私の印象である。プライムタイム・ソープなんて要らないというのが私の持論だからむしろ願ったりかなったりである。これで「エド」が人気の面でも浮上してくるだろうか。
