ツアー未勝利のフランクリン・ランガムが3日目終了時点で2位のジム・フューリックに3打差をつけ首位。しかもランガムは初日から3日目までを見る限り文句のつけようのないゴルフで、そのままツアー初勝利を飾るかに見えた。しかし、このトーナメントが開かれているドラール・リゾート&スパのモンスター・コースには魔物が住むという。昨年も名前は忘れてしまったが、最終日第18ホールまでリードしていたツアー未勝利のグラインダーが、最後の最後でアイアン・ショットを素人もここまではしないというくらい思いっきりダフって池に落とし、勝利を逃したのをこの目で見ている。たとえランガムが絶好調でも、ツアー未勝利のゴルファーが最後の9ホールを乗り切るのは至難の業だ。残り9ホールで7打のリードを保っていたゴルファーが勝てなかったのを、つい一月前に見たばかりである。


しかしランガムの絶好調は続く。最終日第1番から4連続バーディで、フロント9を終わった時点でなんと23アンダー。17アンダーで2位のフューリックと丸山に6打差。いくらなんでもこれはこのまま行くか。と思っていたら、徐々にアイアンがぶれだす。11番のチップ・イン・バーディは見事だったが、この後バーディがとれない。一方フューリックは徐々に差を詰める。ニック・プライス、デイヴィッド・デュヴォールもバーディ・ラッシュで観衆を沸かす。丸山もリーダー・ボードから落ちることなく頑張る。やはりこれはひょっとしたらひょっとするかも。


そしてついにランガムが崩れだす。13番、14番と連続ボギー。一方フューリックは地道に差を縮め、15番パー3でもバーディを奪い、1打差とついにランガムを射程に捕える。そして迎えた17番、またもや第2打でグリーンを捕えきれなかったランガムは痛恨のボギー。バーディをとったフューリックがついに逆転する。やっぱり無理だったか。最終18番では二人とも第2打をピンそば12フィートに寄せ、もしここでランガムがバーディをとることさえできればまだプレイオフのチャンスも。しかしランガムのバーディ・パットは決まらず、2パットでも優勝のフューリックはバーディで決めて有終の美を飾った。丸山もこの二人とプライスに次ぎ、デュヴォールと同率4位で、充分世界の一流とわたりあった。今年PGAツアーに本格参戦するのなら、本当にPGAツアーで優勝する青木以来初の日本人ゴルファーとなりそうだ。


丸山はプレイ中よく笑顔を見せるので、その辺がアメリカのギャラリーやTVからも好かれており、よくTV画面に写る。観客やTVから好かれるのは、勝つためには非常に重要なファクターである。私は新人が勝てないのはそのあたりにあると思っている。別にルーキーが勝つのを見たくないギャラリーは後半になると応援しなくなり、勝って欲しくないと思う気持ちが伝わるのか、そうするとほとんど必ず崩れだすのである。まあ、勝ちを意識したゴルファー個人の問題もあるだろうが。丸山の顔は既に充分アメリカのゴルフ・ファンの間に浸透したと見た。これまでのようないいプレイを続ければそのうち必ずチャンスは巡って来るだろう。







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ドラール-ライダー・オープン

2000年3月2-5日   ★★1/2

フロリダ州マイアミ、ドラール・リゾート&スパ

 
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