放送局: MTV

プレミア放送日: 10/8/2002 (Tue) 17:00-17:30

製作: マイク・ニコルズ・プロダクションズ、MTVミュージック・デヴェロップメント

製作総指揮: マイク・ニコルズ

クリエイター: デイヴィッド・アイレンバーグ、ティム・ヘドリック、マイク・ニコルズ

製作: クリス・カールソン


内容: 男性一人に対して女性二人、あるいは女性一人に対して男性二人が恋人の座をめぐって競い合うリアリティ・ショウ。


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リアリティ・ショウの世界では、男女間の関係をとらえる、リレイションシップ・ショウと呼ばれる恋愛系の番組が、一つのジャンルを形作っている。これらの番組は出演者をデイトに連れ出し、一緒に過ごさせることで男女間の感情を高まらせるという体裁をとることが多く、そのためデイティング・ショウと呼ばれることもある。古くからあるジャンルだが、しかし最近のリアリティ・ショウ・ブームにあやかって、またぞろ復活してきた。


大きな視点から見れば、今では古株となった10年番組のMTVの「リアル・ワールド」こそが、このジャンルの一つの代表だと言えるだろう。「リアル・ワールド」では、男女間の関係だけが興味の焦点となっているわけではないが、それでも、その点こそが視聴者の興味の多くを担っていることは否定できない。また、団体生活内部での一人一人の感情の揺れやパワー・ゲームをとらえるこの番組が、一方で「サバイバー」「ビッグ・ブラザー」に発展していったと言うこともできる。それ以外にも、シンジケーションにおいては、「エリミデイト (Elimidate)」、「ブラインド・デイト (Blind Date)」、「シップメイツ (Shipmates)」、「エキストリーム・デイティング (EX-treme Dating)」等、この種の番組が絶えたことはない。


しかし、本当の意味で現在の恋愛系リアリティ・ショウのブームに貢献したのは、昨年FOXが放送して、悪趣味の極致と言われながらも高視聴率を獲得した、「誘惑の島 (Temptation Island)」であると断言して差し支えあるまい。ここまで人間の感情を操ってしまっていいのか、あるいはデキレースだと罵倒されながらも、「誘惑の島」は人気を獲得、以降、大同小異の恋愛系リアリティ・ショウが、雨後の竹の子のようにあちらこちらで編成されるようになった。それらが全部が全部成功したわけではないが、それでもABCの「ザ・バチェラー (The Bachelor)」やNBCの「ミート・マイ・フォルクス (Meet My Folks)」のように定着し、シリーズ化している番組もある。


失敗した番組は、それこそ枚挙に暇がない。UPNの「チェインス・オブ・ラヴ (Chains of Love)」、WBの「エリミデイト・デラックス (Elimidate Deluxe)」、NBCの「ラヴ・シャック (Love Shack)」、FOXの「ルッキング・フォー・ラヴ (Looking for Love)」等、幾つもすぐに思い浮かぶが、なかでも特に印象に残っているのが、実は私が最も待ち遠しく思っており、収録もしたくせに一度も放送されることなくお蔵入りになってしまった、アメリカ版「未来日記」こと、ABCの「ザ・デイティング・エクスペリメント (The Dating Experiment)」である。


「デイティング・エクスペリメント」は、当初原題そのままの「フューチャー・ダイアリー (Future Diary)」として番組製作が発表になっていたが、その後「ダイアリー・アフェアーズ (Diary Affairs)」とタイトルが変更になり、さらに最終的に「デイティング・エクスペリメント」として、今年8月13日プレミア放送と、放送予定日まで発表になっていた。ホスト役のヘクター・エリゾンドもちゃんと決まっていたのだ。ところが、その直前になってABCは番組をキャンセルしちまったのである。


「未来日記」は出演者が日記に記された行動をとらなければならないが、それが本人の意思とはまったく無関係、あるいは本当は本人がとりたくない行動を強制的にとらせることによって、感情が逆撫でられたり高ぶったりするのを見ることが醍醐味となっていた。しかしアメリカ版では、出演者は日記に書かれていることを逆にヴァージョン・アップさせて率先してやってしまったらしい。つまり、出演者が自分の感情を殺して、内部で様々な葛藤が起きているのを何とか抑えようとする様を見ることこそが番組のポイントであったはずなのに、アメリカ版では日記に「AはB子とC子の二股かける」みたいなことが書かれていると、喜んでそれをやって、しかも積極的にそれを冗長させるような奴らばかりだったらしい。


というわけで、でき上がった番組は誰がどう見ても面白いと言えるような番組ではなく、ABCは、それでも一応は作ったのだからもったいないと一度は番組を編成したのではあるが、しかし、やはり最終的に番組をボツにしてしまったのであった。見たかったのは山々であるが、面白くないのであれば、しょうがあるまい。「料理の鉄人」やアニメーションばかりではなく、新しい日本TV番組のアメリカ輸出版として期待していたんだが、ま、次があるでしょう。


さて、というわけで今回のMTVの「ディスミスト」である。MTVは今年「ジ・オズボーンズ (The Osbournes)」というリアリティ・ショウで最大のヒット番組を編成しているだけでなく、その後も「ソロリティ・ライフ (Sorority Life)」を筆頭に矢継ぎ早にリアリティ・ショウを連発している。そのため、私はMTVの動向に注意していたんだが、とにかく編成する番組の数が多い。とてもじゃないが全部は見きれないので、面白そうな番組だけをピック・アップして見ているんだが、あまりにも当たり外れが大きく、というか外ればかりで、わりと閉口気味である。やっぱり「オズボーンズ」みたいな番組はそうそう簡単には現れないようだ。


それでも若者に人気のあるMTVのことであるからして、今に絶対恋愛系のリアリティ・ショウで何か当たりをつかむに違いないと私は思っており、だから「ソロリティ・ライフ」を見たり、「ディスミスト」にも注意を払っていたりしているのだが、やっぱり、今回もあまり芳しくない。「ディスミスト」は、ある男性 (女性) のハートを二人の異性が争うというもので、シンジケーションで放送されている「エリミデイト」に近い。というか、争う異性の数が違うだけで、はっきり言ってほとんど同一の番組である。ちょっとこれじゃあまりにも芸がないんじゃないの。


その「ディスミスト」の第一回は、この回の主人公、マット (20) のハートを射止めんと、ミッシー(18) とエイドリアン (19) の二人の女の子が争うことになる。ここでもう、ちょっと頭の悪そうなマットの顔を見た途端、私なんかはもう番組に対する興味が萎えてしまう。大して魅力的でもなく、私が女性なら絶対にこんな男には惹かれないというタイプの男だ。ま、それでもそういう番組だからミッシーとエイドリアンの二人の女の子はマットに気に入られるべく頑張るのだが、こっちの方も、まあ、言わせてもらうとせいぜい可もなく不可もなくくらいの顔立ちで、それよりもとにかくその性格の悪そうなところなんか、別にあんたたちに気に入られなくてもいいよと、つい言ってしまいそうだ。


で、彼女らはなぜだか絶対の自信を持って相手にアタックするのであるが、この、彼女らの自信というのはいったいどこから来ているのか。別に人生において自信を持つのは悪いことではないし、プラス思考は重要なことだとは思うが、しかし、それが客観的事実に反して間違った立脚点に立っている場合は、むしろ有害ではないかと思うのだが。この種の番組を見ると毎回そう思うのだが、「サバイバー」のようなこの種の番組でヒットしているものが、いかに番組参加者の人選に最大の注意を払っているかがわかる。「ディスミスト」のような場合だと、とにかく出たい奴は手当たり次第に出しているようだ。あまり人を選んでいるような余裕がないんだろう。やっぱり、本当に可愛い子だとか性格のいい子だとかしつけの行き届いている家庭に育った子が、こういう番組に出るとはまず思えないし。


一つだけ感心したのが、会ったばかりで一目惚れという例外を除いて恋愛の芽生える余地など多分まるでなかったであろうに、それでも相手の気を引こうと色々トライするところで、その意味では、そういう一生懸命にやろうとしている姿勢は感心しないでもない。会ってまだ数時間だろうに、ほとんど舌と舌を絡ませる濃厚なディープ・キスをしたりしている。このAIDSの時代、私なんかはいくらなんでもまったく知らない人間だと、なんか病気を持ってないか気になってキスしようという気にもならないが、その辺は事前にチェックして、おたがい性病にはかかっていないという証明みたいなものを出しているのだろうか。


というわけで、最近私は、やはりこの手の番組の青田刈りなんて時間の無駄ばかりで益の少ない作業は止めにして、どうせまたFOXが編成するだろうこの種の新しいリアリティ・ショウを待った方がよさそうだと思い始めている。今、TVでがんがんかかっているコマーシャルによると、FOXの次の新しいリアリティ・ショウ「ジョー・ミリオネア (Joe Millionaire)」は、なんでもABCの「バチェラー」タイプの、一人の金持ちのシングル男性に20人もの女性が求婚してしのぎを削るという番組らしいが、そこはもちろんFOXらしくひねりが入っている。


実はその男性、大金持ちという建て前はまったく嘘っぱちで、本当は年収2万ドルしかない貧乏暇なしのただの見かけだけの建築作業員だというのだ。最終的にそれを知った女性が、果たして金なんてどうでもいい、私はこの人を愛していると金よりも愛を選ぶか、あるいは金を持ってないことがばれた途端、愛想を尽かされるのか、そのあたりを見物して楽しもうという、いかにもFOXらしい番組が、「ジョー・ミリオネア」だ。またまた激しく批評家からは叩かれそうな番組だが、やはりこの手の番組を編成させたら、FOXに勝るところはないなあと、感心することしきりなのであった。







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ディスミスト   ★1/2

 
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