GCB (Good Christian Belle)   グッド・クリスチャン・ベル

放送局: ABC

プレミア放送日: 3/4/2012 (Sun) 22:00-23:00

製作: ダレン・スター・プロダクションズ、カピタル・エンタテインメント

製作総指揮: ダレン・スター、ロバート・ハーリング、アーロン・カプラン

出演: レスリー・ビブ (アマンダ・ヴォーン)、マーク・デクリン (ブレイク・ライリー)、クリスティン・チェノウェス (キャリーン・コックバーン)、ミリアム・ショール (クリケット・カルス-ライリー)、アニー・ポッツ (ジジ・ストッパー)、マリソル・ニコルズ (ヘザー・クルズ)、デイヴィッド・ジェイムズ・エリオット (リップ・コックバーン)、ジェニファー・アスペン (シャロン・ピーチャム)、ブラッド・ベイヤー (ザック・ピーチャム)


物語: 幸せな家庭を築いていた‥‥と思っていたアマンダの生活は、実は夫が浮気して会社の金を使い込んでおり、しかもアマンダを捨てて浮気相手と逃げる途中、事故で死亡するという事件によって一転する。ダラスの実家に帰ってきたアマンダを待ち受けていたのは、かつての高校の同窓生であり、今ではダラス社交界の一員として、アマ

ンダの一挙手一投足に身を光らせている女性たちだった‥‥



Desperate Housewives   デスパレートな妻たち

放送局: ABC

プレミア放送日: 10/3/2004 (Sun)

最終回放送日: 5/13/2012 (Sun) 21:00-23:00

製作: チェリー・アリー・プロダクションズ、タッチストーンTV

製作総指揮: マーク・チェリー

出演: テリ・ハッチャー (スーザン・メイヤー)、フェリシティ・ハフマン (リネット・スカヴォ)、マーシャ・クロス (ブリー・ヴァン・デ・カンプ)、エヴァ・ロンゴリア (ガブリエル・ソリス)、ニコレット・シェリダン (イーディ・ブリット)、ブレンダ・ストロング (メアリ・アリス・ヤング)


物語: ガブリエルの義父の殺人の偽装工作に奔走するウィステリア・レーンの妻たちだったが、ブリーは殺人の罪で告発され、その裁判は佳境に入ろうとしていた。ブリーを弁護するトリップは、ブリーを愛していたが、ブリーが完全にトリップに心を開いていないのを感じていた‥‥


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2004年から放送の始まった「デスパレートな妻たち」は、「ロスト (Lost)」と共に、当時ヒット番組がなかったABCに新風を吹き込んだ。クイズ・ショウの「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア (Who Wants to Be a Millionaire)」くらいしか見るべき番組なかったABCは、「デスパレートな妻たち」と「ロスト」で、なんとか息を吹き返した。


「デスパレートな妻たち」の場合は、けばけばしく派手という印象のあるプライムタイム・ソープというジャンルをコメディ・タッチで製作した点がミソで、普段はソープと聞いただけで見る気をなくす私ですら興味を惹かれた。さらに番組第1回で登場人物の一人が自殺し、物語は死んだ彼女の視点から語られるというミステリ・タッチの捻りもなかなか効いていた。


後の方では死んだ彼女の存在はほとんど忘れ去られていたという気もしたが、いずれにしても結局プライムタイム・ソープのファンではない私は番組を見なくなったから、番組がその後どう展開したかはよくわからない。しかし、一時「ロスト」と共にABCを牽引したという印象のある「デスパレートな妻たち」が最終回を迎えるとなると、メディアがほっておかないので、いやでも話が耳に入る。


それに番組は昨年、準レギュラーだったニコレット・シェリダンがプロデューサーのマーク・チェリーを訴えたことでも注目された。シェリダンはチェリーとそりが合わず、そのために彼女が演じるキャラクターが事故で死ぬことになって番組から抹消されただけでなく、暴力も受けたとしてチェリーを訴えていた。


困ったのは、当事者よりも、番組の主要キャラクターを演じているテリ・ハッチャー、フェリシティ・ハフマン、マーシャ・クロス、エヴァ・ロンゴリアの4人だったろう。同僚の肩を持ちたいのは山々だろうが、かといってわざわざボスに楯突こうとも思うまい。結局この件に関しては、4人はほぼ部外者を決め込んだ。シェリダンにとっては援軍の当てが外れたろうが、彼女らを責めるわけにもいくまい。結局シェリダンは孤立無援でこの裁判はまだ継続している。



(注) 以下、番組最終回の展開に触れてます。


さて、番組最終回は、殺人で裁判にかけられたブリーだったが、カレンの決心によって罪を免れる。ブリーはトリップとの感情を確認し、リネットはトムと縒りを戻す。ギャビーは昇進をオファーされ、リネットはキャサリンからニューヨークで会社の支社を任せられないか打診される。そして彼女らの中から最初にウィステリア・レーンから去ることになったのは、マイクを失ったスーザンだった‥‥というもの。


スーザンは今シーズン、夫のマイクを撃たれて亡くしている。番組の主人公格的存在でもあったそのスーザンが、最初にウィステリア・レーンから引っ越していく。彼女がクルマに乗ってウィステリア・レーンを去る時、番組第1回で自殺したメアリ・アリスや、死んだ夫のマイク、その他の番組で死んだ、あるいは殺された面々が見守っている。その中には残念ながらイーディ (シェリダン) の姿はなかった。


最後にはウィステリア・レーンを去ったその後がさらりと紹介される。リネットとトムはニューヨークで成功し、セントラル・パークを見下ろす一等地で暮らし、6人の孫ができる。ギャビーはカルロスと共にTVショッピング・チャンネルで成功を収め、ブリーはトリップと共にケンタッキーに移って女性議員になる。


スーザンが引き払った家にはすぐに新しい入居人が越してくる。初めての郊外暮らしとなるジェニファーは、生活が退屈なものでないかと心配していたが、スーザンはそんなことはないと確約する。スーザンの去った後、ジェニファーは残されていた箱を発見する。その中に入っていたものは‥‥というところで幕。


私は特にプライムタイム・ソープのファンというわけではないが、確かに「デスパレートな妻たち」は、その中では最もよくできていた番組だろう。最後、新しい入居人のジェニファーが、ウィステリア・レーンの秘密が閉じ込められている箱を開けてそれを棚の奥深くに仕舞い込む。番組の最終回が番組の最1回と連鎖して、また新たな物語が始まる。


微妙に話は違うが、「ロスト」の最終回も、最後はまた話が第1回に帰ってくる、みたいな構成になっていた。時を同じくして話題になった二つのまったくジャンルの異なる番組が、同じような構造で幕を閉じる。ふーん。ところでもう番組第1回は遠い昔のことで実はよく覚えてないのだが、あの箱の中に入っていたのは拳銃だったっけ?


また、ABCは現在、デイナ・ディレイニー主演の検死官ドラマ「ボディ・オブ・プルーフ (Body of Proof)」を放送中だが、そのディレイニー、「デスパレートな妻たち」第4-第7シーズンに準レギュラーで出ている。そのため、自分の番組の撮影も忙しいだろうが、最終回わざわざ出張って出演していた。


ところで番組最終シーズンのプロモを貼り付けようとしてYouTubeをちょっと覗いてみたら、オフィシャルじゃない、番組ファンが個人で製作した番組コラージュが山のようにあり、しかもものによってはABCが製作したものよりできがいい。かなり感心したので、その内の一つをオフィシャルのプロモと合わせて上に貼り付けておいた。こういうファンを持てて番組製作者も関係者冥利に尽きるだろう。


一方、ABCは、このジャンルに未練があったものと見えて、番組最終回と前後して、新しいプライムタイム・ソープ、しかも同様にコメディ・タッチの「GCB」を投入してきた。GCBとはGood Christian Belleの略で、要するに良家の子女という意味だが、番組の原作のタイトルのGCBは、「グッド・クリスチャン・ビッチズ (Good Christian Bitches)」を意味していた。「良家の売女」だ。


しかしネットワークでは、「Bitch」という露骨な差別用語は禁止用語として排除される。最近ABCが放送を始めたシットコムの「23号室の小悪魔 (Don’t Trust the B---- in Apt 23)」でも、やはり「Bitch」は使えず、伏せ字でごまかしている。伏せ字にした途端、元の単語を強調するだけにしかならないはずなのだが、それで放送倫理の抵触しないということで放送許可が下りる。抜け穴だらけだ。むろんABCはそのことを逆手にとることで、逆に宣伝効果を得ている。同じような路線では、昨年、ウィリアム・シャトナー主演のシットコム「シット、マイ・ダッド・セズ ($#*! My Dad Says)」なんてのもあった。もちろん$#*!に入るのは、Shitだ。


さて、「GCB」だが、これはジャンルに好意的ではないという私的な意見を抜きにしても、失敗していたと言わざるを得ない。冒頭、主人公の夫が公的な金を使い込んだ挙げ句、浮気相手と出奔したが運悪く事故死するという展開が手短に物語られるのだが、クルマが崖下に突っ込み、事故ったらしい衝撃音と共に散った紙幣が宙を舞うという演出は、もちろんわざとやっているのは重々承知だが、それでもあまりにチープ、画一的、紋切型の誹りを禁じ得ない。それがコミカルな印象を与えることを狙っているのだろうが、外している。


この、最初の3分だけで、たぶんこの番組、ダメだろうなと思わせてしまい、結局その印象は最後まで撤回されることはなかった。南部ダラスの上流社会を描くゴージャスさだけでは、「デスパレートな妻たち」とは勝負にならない。とにかく、テンポがたる過ぎる。


番組第1回だけを見て、「GCB」には将来はないことを確信し、その後見るのをやめたのだが、案の定、「GCB」は先頃成績不振でキャンセルが発表になった。そりゃあ、あれじゃ固定視聴者はつかないだろう。宣伝ばかり派手にやればいいってもんじゃない。








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GCB

GCB   ★★

Desperate Housewives

デスパレートな妻たち   ★★★

 
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