DC'ズ・レジェンズ・オブ・トゥモロウ   DC's Legends of Tomorrow

放送局: CW

プレミア放送日: 1/21/2016 (Thu) 20:00-21:00

製作: ボナンザ・プロダクションズ、バーランティ・プロダクションズ、ワーナー・ブラザーズTV

製作総指揮: グレッグ・バーランティ

出演: キャスパー・クランプ (ヴァンダル・サヴェジ)、アーサー・ダーヴィル (リップ・ハンター)、ブランドン・ラウス (レイ・パーマー/アトム)、ケイティ・ロッツ (サラ・ランス/ホワイト・カナリー)、ヴィクター・ガーバー (マーティン・スタイン)、フランツ・ドラメー (ジェファーソン・ジャクソン/ファイアストーム)、ウェントワース・ミラー (レナード・スナート/キャプテン・コールド)、ドミニク・パーセル (ミック・ロリー/ヒート・ウェイヴ)、シアラ・ルネイ (ケンドラ・ソーンダース/ホウクガール)、フォーク・ヘンツェル (カーター・ホール/ホウクマン)


物語: 2166年、世界はヴァンダル・サヴェジによって滅亡されようとしていた。タイム・マスターのリップ・ハンターは評議会でタイム・トラヴェルの許可をはかり過去に飛んで、ヴァンダル・サヴェジを倒すための人材をリクルートする。最初は同行を渋る面々だったが、それぞれの理由から最終的に同意する。当時のヴァンダル・サヴェジの動向に詳しい教授の元を訪れた一行は、教授が実はホウクマンとホウクガールの息子であることを知る‥‥


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DC's Legends of Tomorrow


DC'ズ・レジェンズ・オブ・トゥモロウ  ★★1/2

日本とアメリカにおけるスーパーヒーローの定義の最大の違いは、それが自らの意図で自主的にそうなったか、あるいは選ばれた者として好むと好まざるとに関わらず、そうならざるを得なかったかという差にある。


アメリカにおいてはスーパーヒーローは明確に自分の意志でなるものだから、もし自分の力が衰えたと自覚した場合、自分の意志によって引退する。その時、自分のスーパーヒーローとしての地位、名称といったものを、継承者に譲り渡したりする。そのため、個としては違う者が、同じスーパーヒーロー名を冠して世界平和のために戦う。


これが日本の場合だと、基本的にスーパーヒーローは自らが望んでなるものではなく、選ばれてなるものだ。そこに本人の希望や選択の余地はほとんどない。 あるいはまったく人間ではない、別の星から来た異星人であったり怪獣であったりする。だからスーパーヒーローという呼称は他人に移譲できるものではない。唯一無二の本人限りのものだ。だからこそのスーパーヒーローなのだ。


そのスーパーヒーローを寄せ集めてスーパーヒーローの集団を作って悪と戦うというのは、いかにもアメリカ的発想だ。日本にだってウルトラマン・ファミリーや仮面ライダー・ファミリーのようなスーパーヒーロー集団がないこともないが、彼らは基本的に同じ価値観を共有する家族、運命共同体だ。しかしアメリカの場合、まったく違う世界に住んでいるスーパーヒーローをわざわざ寄せ集めて共闘させてしまう。


元々ただでさえ強力な自我を持つ者たちの集まりだから、そこにはむしろ協力よりもエゴのぶつかり合い、確執の方が先に立つ。世界平和より彼らが自己満足を優先させる懸念や不安の方が強いというのは、これまでの「アベンジャーズ (Avengers)」の展開を見ていればよくわかる。こんなんで本当にいいわけ?


「アベンジャーズ」はマーヴェル・コミックスのスーパーヒーロー群像ものであるわけだが、当然もう一方の雄DCコミックスにもスーパーヒーローは数多いる。そしてマーヴェルに「アベンジャーズ」があるようにDCにもあるスーパーヒーロー集団が、「レジェンズ・オブ・トゥモロウ」なのだった。


とはいえ、DCコミックスにはスーパーマンやバットマンという不朽のスーパーヒーローを揃えた同様のスーパーヒーロー集結もの、「ジャスティス・リーグ (Justice League)」が既にある。それなのに、さらにその下の二線級スーパーヒーローを寄せ集めて「レジェンズ・オブ・トゥモロウ」を作るってか。


「アベンジャーズ」の場合はそれでもまだ聞いたことはある、くらいのスーパーヒーローは何人かはいたが、「レジェンズ」の場合、完全に皆初耳だ。元々は「アロウ (Arrow)」および「ザ・フラッシュ (The Flash)」に登場したキャラクターを使ったスピンオフだそうで、「アベンジャーズ」に対抗すべく急拵えしたスーパーヒーロー集団という印象は拭い難い。


おかげで番組としては惹かれるものは何もなかった「レジェンズ」だが、実は出ている俳優が非常に興味深いのだった。特に目を引くのが、ウェントワース・ミラーだ。誰にとってもミラーといえばFOXの「プリズン・ブレイク (Prison Break)」だろうが、そのミラー、実は「プリズン・ブレイク」以降ほとんど鳴かず飛ばずになり、職にあぶれて太った。それもかなり。その時に撮られた写真が、今頃になって浮上した。この写真が撮られた時はほとんどミラーは忘れられていたので、写真を撮った者もそのまま忘れていたと思われるが、今回新たにTVに出るということで思い出したのだろう。


太りやすい体質というのは確かにあり、例えばケリー・クラークソンは、FOXの「アメリカン・アイドル (American Idol)」出場時と較べると、かなり体重が増えた。ライザ・ミネリのように、オフの時は肉が付いているのに、人前に出る段になるとすっきりしているというスターもいた。が、いずれにしても、それで本人とわからなくなるほどではない。しかしミラーの場合、これ、ミラーだよと言われない限りまずわからないほどデブデブになっていた。これが「プリズン・ブレイク」のマイケル? 嘘でしょ。


この時のミラーはキャリアのどツボにはまっていたようで、自殺すら考えたと告白している。まあ何はともあれ無事復帰できてよかった。そして「レジェンズ」でそのミラー扮するキャプテン・コールドの兄貴分ヒート・ウェイヴとして登場するのが、「プリズン・ブレイク」でもミラーの兄リンカーンを演じていたドミニク・パーセルだ。あの兄弟が、今度はスーパーヒーローとなって世界平和のために、まあ半分は私欲でだが活躍する。これはそそられる。


さらに天才科学者兼アトムに扮しているのは、ブランドン・ラウスだ。こちらはそれこそ本物の元祖スーパーヒーローであるスーパーマンに扮していた、あのラウスだ。それが格を落として「レジェンズ」に出ている。ついでに言うと、「タイタニック (Titanic)」を設計したヴィクター・ガーバーが、今回は教授として参加だ。これは二線級のスーパーヒーローを揃えたとはいえ、かなり世界平和に期待が持てるのではないか。


とはいえプレミア・エピソードを見た限りでは、残念ながら最も力を入れて然るべきのアクションが弱いと思わざるを得なかった。しかし始まったばかりだからな、まだまだこれからだな。こないだはCWの「ザ・フラッシュ」とCBSの「スーパーガール (Supergirl)」というDCコミックスの人気スーパーヒーローが、ネットワークの壁を越えて「スーパーガール」で共演するという離れ技を見せていた。CWにCBS資本が入っていることを考えても、快挙だ。さすがスーパーヒーローだ。物事の垣根など一とっ飛びだ。


それを考えると、「レジェンズ」の面々もそのうち他の番組に顔を出して活躍しても不思議はない。時を飛び越えることができるのだ。ネットワークの枠を飛び越えることなど造作ないだろう。「フラッシュ」と「スーパーガール」と「アロウ」と「レジェンズ」が勢揃いしてなんかどでかいことをしてくれるなら、それは楽しみだと思う。










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