Concert in the Parks           コンサート・イン・ザ・パークス

(2005年7月13日)    
セントラル・パーク

セントラル・パーク、および近郊の公園で開催される毎夏のニューヨーク・フィル・ハーモニックの無料コンサートは、ニューヨークの風物詩の一つである。この種の無料イヴェントは、メトロポリタン・オペラによるMETイン・ザ・パークスや、一回限りであるがブロードウェイ・スターによるブロードウェイ・アンダー・ザ・スターズ、さらに各種の音楽コンサートであるサマーステージがある。

今回のニューヨーク・フィルのコンサート・イン・ザ・パークスは、副指揮者に任命されたばかりのチャイニーズの女性指揮者ジャン・ジャン (Xian Zhang) のお披露目公演ということもあり、かなり注目されていた。

とはいうものの、この公演の趣旨は肩肘張らずにクラシックを楽しむというものであり、実はだだっ広い会場の後ろの方では、人々はまだ明るい時分から三々五々集まり、勝手気ままに敷物を敷き、持ち寄ったワインやテイク・アウトのディナーを頬張って、ピクニック気分でクラシックをBGMにおしゃべりを楽しむというのが恒例だ。

実は特にクラシックに詳しいわけではない我々も、ワインとそれぞれが持ち寄った総菜で、もっぱら音楽を聴くことよりも食べることとおしゃべりの方に余念がなかったのであった。実際、後ろの方でははっきり言って音楽も、スピーカーを通して増幅されてはいるけれどもかなり聴きづらい。本当のクラシック・ファンは早めにきて前の方に陣取って、それこそおしゃべりなぞしたりせずに黙々と音楽に聴き入っている。要するに音楽の楽しみ方は一通りではないということだ。

このシリーズはまた、終わった後に花火があり、それも人気のある理由の一つである。しかし今回我々が座ったところからは、なんと後方の木が邪魔してよく見えない。枝葉の隙間からかすかに光るものが見える程度だが、既にワインとおつまみでいい気分になって久しぶりに会う友人たちとのおしゃべりで満足していた私たちは、それでも受けたりする。

ほとんど音楽は最後の方の第4楽章になってオーケストラが一際大きく鳴り響いた時に、おお、クライマックスだとかすかに耳を傾けただけなのであった。ニューヨーク・フィルの皆さん、真面目に聴かないでごめんなさい、でも、こういう機会を提供してくれてありがとうと、我々は夜も更けゆくセントラル・パークを後にしたのであった。


曲目:

ワーグナー : Overture to Der Fliegende Hollander (The Flying Dutchman)

ラロ: Symphonie espagnole for Violin and Orchestra, op, 21 (カレン・ゴミョー: ヴァイオリン)

チャイコフスキー: Symphony No. 5 in E minor, op. 64





 
 
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