コロニー   Colony

放送局: USA

プレミア放送日: 1/14/2016 (Thu) 22:00-23:00

製作: カールトン・キューズ・プロダクションズ、レジェンダリーTV

製作総指揮: カールトン・キューズ、ライアン・コンダル

出演: ジョシュ・ホロウェイ (ウィル・ボウマン)、サラ・ウェイン・キャリーズ (ケイティ・ボウマン)、ピーター・ジェイコブソン (アラン・スナイダー)、アマンダ・リゲティ (マディ・ケナー)、アレックス・ノイスタッター (ブラム・ボウマン)


物語: 近未来LA。自動車整備工場で働くウィルは、妻のケイティ、長男長女に囲まれ、一見何事もなく平和に幸せに暮らしているかに見えたが、その実、家の周りの塀の上は鉄条網で囲まれ、夜は戒厳令が敷かれて外出できず、行動は逐一監視され、町はレッドハッツと呼ばれる者たちによって軍事統制されていた。海岸沿いの町へは頑丈な壁によって往来は厳しく規制されていたが、ウィルはトラックに潜り込んで何度も行き来していた。実はウィルは元FBIエージェントだったが、壁ができる時に息子の一人チャーリーとはぐれており、どうしても探し出すつもりでいた。ある時、いつものように壁を通過するトラックにもぐり込んだウィルだったが、その時レジスタンスによるテロ活動が起き、見つかって拿捕されてしまう。ウィルの前身を知る支配階級のスナイダーは、ウィルにスパイとして活動するよう要請する‥‥


_______________________________________________________________

Colony


コロニー  ★★1/2

近年、色んなところで壁を見る。壁とは、むろんある場所から違う場所への移動を阻むものに他ならない。マケドニアはシリアからの難民を拒否するために鉄網の壁を作り、ドナルド・トランプはメキシコから違法入国をさせないために壁を作るという。「ワールド・ウォーZ (World War Z)」ではゾンビを隔離するために高い壁を建立し、「ダイバージェント (Divergent)」では外部との接触を禁止するために壁ができ、「コロニー」でもやはり壁ができる。


というか、近未来SFでは人類はすべからく壁か類似するものによって、隔てられ、あるいは閉じ込められ、支配するかされるかしている、さもなければ滅亡しているので壁を必要としていない、のどちらかしかないような印象を受ける。また、近年のCG技術の進歩により、絵としての大きな壁の挿入が後付けで簡単にできるようになったことが最大の理由か、という気もしないでもない。


いずれにしても要するに近年の壁は、心理的障壁というより、物理的に、移動を妨げるものとしてある。21世紀になって、世界中に簡単に行き来できるようになって、むしろ壁が増えた。あるいは、だからこそ増えたとも言える。この調子だと、未来に向かってますます壁は増えこそすれ減ることはなさそうだ。


「コロニー」では、ロスの内陸部と海岸部を遮るように壁が立っている。実はなぜLAを分断しないといけないのか定かではないが、どうやら海岸部は支配階級が住み、内陸部は庶民が住んでいるようだ。この壁は、ある時「インヴェイジョン (Invasion)」のせいによってできたことが、おいおい明らかになる。この侵略がエイリアンによるものなのか他の国の侵攻かそれともテロか、それもまだわからない。今わかるのはそのせいでLAが分断され、人々が監視下に置かれる生活を強いられているということだ。


インヴェイジョンおよび壁の建立によるシティの分断は、ある時瞬く間に起きた。そのせいでウィルは息子の一人と離れ離れになり、今では元FBIエージェントという身分を隠して、家と海岸部を隠れて行き来しながら子供を探している。


しかしある時、ウィルが忍んでいたトラックがレジスタンスのテロとかち合い、ウィルは発見され拘束される。その後海岸部シティを司っているスナイダーの前に連れ出されたウィルは、スパイとしてスナイダーに情報を提供しないかと持ちかけられる。


ただでさえ元FBIエージェントという身分を偽って生活している現在の生活が既にスパイのようなものなのに、さらにスパイ活動を要請される。さらに、実はプレミア・エピソードの最後では、ウィルの妻ケイティは、レジスタンスの一員であることが知れる。ウィルはそのことを知らず、スナイダーはそのレジスタンスの動向を探ることをウィルに要請している。この分だと、まだまだあっと言わせる趣向を用意していそうだ。まだ年端も行かない子供たちも実はスパイだったとしても、あるいはそれこそエイリアンの変装だったとしても驚かんぞこっちは、と思ってしまう。


こういう、誰が敵で誰が味方かわからないという捻り、趣向は、特に今シーズンのアクション・ドラマに多く見られる。NBCの「ブラインドスポット (Blindspot)」も、ABCの「クアンティコ (Quantico)」もそうだ。というか、近年のドラマはほとんどが多かれ少なかれそのような要素を持っている。誰も信じられない時代か。道理で壁ばかりになるはずだ。


主人公ウィルに扮するのはジョシュ・ホロウェイで、出世作となったABCの「ロスト (Lost)」同様、エイリアンだか超常生命体だか何だかよくわからないものと対峙する。妻のケイティに扮するのがサラ・ウェイン・キャリーズで、AMCの「ザ・ウォーキング・デッド (The Walking Dead)」では、ゾンビと戦っていた。既に人間外生命との対決の経験のある二人が主人公なのは、当然のキャスティングと言えるか。


気になったのは、たとえ夜間外出禁止令が敷かれていようとも、日中は人々が自由に往来を歩いているというのに、スナイダーがウィルの家に出張って来るというもので、そんなことしたら人の目について、あそこの家はスパイと公言しているようなものだ。そういう詰めの甘さをなくせば、まだもっと面白くなるのに。












< previous                                    HOME

 
 
inserted by FC2 system