放送局: UPN
プレミア放送日: 4/17/2001 (Tue) 20:00-21:00
製作: エンデモル・エンタテインメント、レネゲイド
製作総指揮: ジョン・デ・モル、デイヴィッド・ガーファンクル、ジェイ・レンフロー
製作: マイク・フィニー、ジュード・ウェン
音楽: デヴィン・パワーズ
美術: スコット・ストーリー
ホスト: マディソン・ミシェル
参加者:
アンディ (スタントマン) ピッカー
エイミー (セールス・パーソン)
キュースティン (ダンサー/バーテンダー)
ヴァネッサ (私立学校事務)
ニッキ (ジムのトレイナー)
内容: 西海岸、太平洋を見下ろす高級避暑地のマリブに一軒家を用意、そこで毎回、中心となる一人の男 (女) に4人の異性を鎖で繋ぎ、1日24時間、四六時中一緒に過ごさせる。中心となる人物は「ピッカー」と呼ばれ、彼 (彼女) の判断により、一人ずつ気に入らない相手を鎖から外していく。ピッカーには最初に1万ドルが手渡され、鎖を外されて追放される異性に対して、自己の判断により適当と思う額が慰謝料 (手切れ金?) として手渡される。3日後に最後の異性と1対1になった時点で、今後も交際していくかを最終的に決断する。
_______________________________________________________________
昨年、オランダおよび欧州各国で大ヒットしたリアリティ・ショウをアメリカ用に改編した「ビッグ・ブラザー」を引っさげて華々しくアメリカTV界にデビューしたエンデモル・エンタテインメントは、しかしアメリカでは支持を得ることができず、「ビッグ・ブラザー」はほとんど鳴かず飛ばずの結果に終わった。それでも視聴率ががくんと落ち込む夏場にあってはそこそこの成績とも言え、一応今夏もマイナー・チェンジを施した第2弾が放送予定である。しかし、同じく夏場に社会現象を巻き起こしたほどの大ヒットとなった「サヴァイヴァー」に較べれば、やはり寂しいとしか言い様がない成績であり、エンデモルは「ビッグ・ブラザー」に代わる新しいリアリティ・ショウをアメリカTV界に送り込むべく、虎視眈々と機会を窺っていた。
その「ビッグ・ブラザー」に続くエンデモル製作のリアリティ・ショウ第2弾が、この「チェインス・オブ・ラヴ」である。この番組、最初は3大ネットワークの一つであるNBC用に企画されたのだが、NBCはこれを却下した。そこで、これまでリアリティ・ショウとは無縁だったが、時代の趨勢には勝てず、やはりリアリティ・ショウを編成しないと時代に乗り遅れると遅まきながらリアリティ・ショウに食指を伸ばし始めた弱小ネットワークのUPNが、絶好の機会とばかりに飛びついたものだ。
「チェインス・オブ・ラヴ」は、毎回一人の男性 (女性) を真ん中にして4人の異性の足を鎖で繋ぎ、西海岸の豪邸に住まわせ、生活を共にさせる。5人が一緒に寝れる特注の巨大なベッドで、寝る時も一緒だ。そうやって片時も離れないで3日間一緒に暮らすことで、本当の愛が芽生えるかを見物して楽しもうという番組である。しかし、四六時中鎖に繋がれて一緒にいるとはいっても、トイレやバスのシーンを映すわけではない。流石にその場合は鎖を外してるんだろう。それなのにわざわざ鎖に繋がれたまま不自由な態勢で全員で一斉に歯を磨くところなんかはわざわざ撮っている。それよりもどうやって用を足してシャワーを浴びているかの方が興味あるぞ。それにしても彼らが一時を過ごすことになる屋敷が、本当に豪邸という名称に相応しい邸宅で、こんな家に住めたらなあと思わず羨望の溜め息が漏れる。いったい何部屋あるのか想像もつかないが、家の中に (つまり屋内に) プールまであるのだ。なんという贅沢。番組に出たいとは思わないが、こんな家には住んでみたい。
番組では毎回の中心人物となる人間は「ピッカー (Picker)」と呼ばれ、結局、最終目的はその人間が誰を選ぶかというところにある。しかし、プレミアでピッカーになるスタントマンのアンディは誰が見たって独りよがりの自己満足野郎で、彼に自己投影して一緒になってどの女性がいいか品定めしようという気にはまったくならない。ただただこんな野郎にへ理屈つけられて追放される女性が可哀想になるだけだ。ピッカーは鎖に繋がれている異性を、本命を残して一人一人順々に鎖から離して追放していくのだが、その際、その異性を追放する理由を述べる。アンディの場合はそれがまた、よくもまあ自分のことは棚に上げて人の欠点だけはあげつらうことができるよなと、呆気にとられるものだった。聞いていてまったく不愉快になる。
また、ピッカーが異性を追放する際には、運用資金? として手渡された1万ドルから、本人の裁量により好きなだけを手切れ金として追放する相手に渡すことになっている。しかしアンディが最初に追放するヴァネッサに渡した金額は、たったの500ドル。ちょっとアンディと言い合いになったのでそれを嫌ってのことだろうが、それにしてもけちくさい。アンディはその上、自分をコントロールするための本を買えよと言って100ドルを追加する。なんだ、それ。けちくさい上にてめえみたいに人に文句をつけることしかできない無能野郎に、自己啓発の本を買えなんて言われる筋合いはない! 私は見てて自分のことのように腹が立ってしまった。次に追放されたニッキもその次のエイミーも似たようなもので、結構仲よくしてたわりには手切れ金の少ないこと。実は残った金はピッカーがもらえることになっているから、がめつく行っているのだ。こんなくそ野郎から却下されて追放されたなんて考え始めたら、追われた女の子たちも悔しくて夜も寝られないに違いない。
しかも最後のシーンは、アンディが最後まで残ったキュースティンと今後もつき合って行くかを決めるのがクライマックスとなるのだが、彼はそこでやはりもうちょっとシングル時代を楽しみたいとかなんとかへ理屈をこねて、結局キュースティンにもサヨナラしてしまうのだ。おまえ、この野郎、本当にいったい何様のつもりなんだ。視聴者のそういう不満を予期してか、番組は最後に、アンディはしかし、その後エイミーとキュースティンに電話をかけて誘い出そうとするが、両方から断られた、なんてテロップが入って終わりになるのだが、そりゃあ、あんた、当然でしょう。いったい誰が現実であんたなんかとつき合おうなんて考えるってか。まったく腹の立つ。
実はこの番組、ヨーロッパでは既に放送されていて、結構な人気番組だったらしい。オリジナルではヴィデオに撮られているのにもかかわらず、本当にセックスしてしまった参加者もいたということだ。「ビッグ・ブラザー」でもオランダ版でセックスしてしまった参加者がヴィデオにとらえられていて話題になったが、なぜだかアメリカのネットワークはセックスと暴力描写には極端に敏感で、ネットワークで放送する視聴者参加番組で、参加者がセックスするシーンがお茶の間に放送される可能性は皆無だ。アメリカではそういうどぎついシーンがある番組は、ペイTVのHBOかショウタイムが放送するものと相場が決まっている。
しかし、それにしてもなんでこの番組がヨーロッパではヒットしたのかはよくわからない。やはり人選の問題だろうか。昨年CBSの「ビッグ・ブラザー」が失敗した最大の理由が、メンツに面白味のない人選にあったというのはあらゆるところで言われている通り。もしかしたら「チェインス・オブ・ラヴ」も、オリジナルではやたらと盛り上がったのかも知れない。でも、アメリカ版のプレミアを見る限りでは、人選は成功しているとは言い難い。独りよがりのアンディは、とにかく見ていて不愉快になった。
きっと私と同じように感じたものが多かったのだろう、この番組、放送が進むに連れてどんどん視聴率が落ちていき、予定の6回分の放送が終わった時点で、UPNは第2弾の製作を諦めた。最近、ABCの「ザ・モール」、FOXの「誘惑の島」と「ブート・キャンプ」、WBの「ポップスターズ (Popstars)」、NBCの「ウィークスト・リンク」と、アメリカのネットワークが編成するリアリティ・ショウはことごとく当たるか、少なくとも程々の成功を収めており、ほぼすべてが第2弾および追加エピソードの製作が決まっている。「チェインス・オブ・ラヴ」はその中にあって、ほとんど唯一とも言える失敗作となってしまった。いくらアメリカ中が猫も杓子もリアリティ・ショウに手を出すブームになっているとはいっても、面白くないものはやっぱり面白くないということだ。エンデモルのアメリカでの受難は続く。
