放送局: FOX

プレミア放送日: 5/22/2002 (Wed) 20:30-22:00

製作: UTLプロダクションズ

製作総指揮: ハリー・テシー、ロッキー・ティアラ

製作: エヴリン・オーティス、ジャック・サイファート

監督: サンディ・グロスマン


内容: 過去の有名人によるボクシング・マッチ中継第2弾。


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2か月前、FOXは既に落ち目となっているセレブリティ、スキャンダルで名を売った有名人を集め、ボクシング - つまりは殴り合いをさせて、それを見物して楽しもうという、ほとんど言語道断なリアリティ/スポーツ番組「セレブリティ・ボクシング」を編成した。この、あまりにも俗悪な発想に逆に興味を惹かれ、私を含めた多くの視聴者がチャンネルを合わせたために、「セレブリティ・ボクシング」はかなりの高視聴率を獲得、これに味を占めたFOXは、すぐさま第2弾を企画した。それがこの「セレブリティ・ボクシング2」である。


この、柳の下にどじょうを何匹も求める安易な発想は、別にFOXに限らずどのネットワークもすることだが、こういう一発勝負的な番組でも、当たればすぐに第2弾を作るか。ま、いいでしょう、前回も言った通り、この手の番組では人選こそがすべて。また前回同様あっと言わせることのできる面子を揃えることができれば、こちらとて何度でも見るに吝かではない。FOXはその上、前回は3ラウンド×三つの試合を組んで60分の番組に仕立て上げたが、今回はさらにもう一試合増やし、今度は90分の特別番組とした。時間が長くなればなるほどそれに比例して質が上がるかどうかは、まったく関係ないだろう。要は何度も言うように、人選がすべて。さて、今度はいったいどんな面子を揃えたのか。


その第1試合に抜擢されたのは、ダーヴァ・コンガーとオルガ・コルブト。前回はトニヤ・ハーディングとポーラ・ジョーンズ戦がメイン・イヴェントであったのに対し、今回は最も紛い物くさい女子ボクシングを初っ端に持ってきた。いきなり女同士を殴り合わさせて盛り上げようという腹か。しかし、私の意見では、この番組はこの女性同士の対決が一番話題性が高く、面白い。後の男性の3試合は本当のことを言うと別にどうでもいいんだが。本当のプロのボクシングを見るわけじゃあるまいし、この試合順はやはり間違ってるんじゃなかろうか。


さて、それはともかく、ダーヴァ・コンガーである。前回、スキャンダルだらけの女性を選んだ人選を見て、私が、だったらダーヴァ・コンガーを忘れてはいないか、といったそのコンガーが本当に登場してきた。感動もんである。FOXもなかなか考えているじゃないか。そのコンガーに相対するのは、1982年ミュンヘン・オリンピックで幾つもの金メダルを獲得、ナディア・コマネチに先立つ4年前に全世界のアイドルとなった、元祖「妖精」のオルガ・コルブトだ。


コルブトは、他の多くの東出身のアスリートと同じように、現在はアメリカで暮らしている。これまたアメリカ在住のコマネチと同じように、幼い子に体操を教えて暮らしているらしい。らしい、というのは、現在、コルブトはそういうことよりも万引きやら何やらの専ら三面記事的なニュースで世間を賑わせており、本当のところはよく知らないからだ。アスリートだろうがポップ・スターだろうが、元有名人が引退した途端、ドラッグやら何やらで道を誤るのは非常によくある話で、コルブトもその例外ではなかった。


それでも、アメリカに移住してきてからしばらくの間は、地道に後進の指導に当たっていたようだが、今年に入ってどこぞのモールで万引きして逮捕されたというのが報道されたと思ったら、今度はその舌の根も渇かないうちに、コルブトの自宅に調査に入った警官が、何千ドル分もの偽造紙幣を発見したことが伝えられた。もう、イメージ失墜も甚だしい。コマネチが、以前のような可憐さはなくとも、それでも地道に活動して時々TVに出てきてポジティヴなイメージを振り撒いているのとは、雲泥の差である。FOXはそのコルブトに白羽の矢を立てたのだ。コルブトがその話を受けたというのは、やっぱりお金に困っていたんだろう。


しかし、それとボクシングとは話がまた別である。コルブトは確かに元アスリートかもしれないが、既に40代中盤、コンガーとは20も年の違いがある上に、体操選手のコルブトは、はっきり言って小さい。上の写真を見てもわかるだろうが、彼女はどう見ても5フィート (1m50cm) 以上あるとは思えない。一方、コンガーの方は、運動経験はないかもしれないが、ボクシングで圧倒的有利となる、上背、リーチ、体重、すべてコルブトより勝っている。なんか、並んで立つとコンガーの方が頭一つ分くらい高い。これじゃ運動神経を云々するよりも前に、コンガーが腕をぶん回しさえすれば、コルブトが攻め入る隙はなさそうに見える。それともそこはそれ、元五輪金メダリストの意地を見せて、コルブトがなんとか打開策を見つけるか?


という疑惑の中始まった第1ラウンド、やはり想像通り、リーチに分があるコンガーが圧倒的有利に試合を進める。コルブトがパンチを放っても届かないよ。結局、試合はコンガー有利のまま3ラウンドが終わっての判定にもつれこんだが、誰がどこから見てもコンガーの勝ちで、話題性という点から見た人選では申し分ないのだが、しかし、あまりにも階級が違い過ぎてボクシングの勝負にならないのではなあ。所々パンチが炸裂して、それはそれで面白くないこともなかったのだが、やはり体格差があり過ぎるもの同士を戦わせるのは、ちょっと不公平と思ってしまった。


第2試合は、「ウェルカム・バック、コッター (Welcome Back, Kotter)」のロン・パリロと、「セイヴド・バイ・ザ・ベル (Saved by the Bell)」のダスティン・ダイアモンドという、元シットコム・スター‥‥の対決なんだが、はっきり言って二人とも私は知らないぞ。70年代のシットコム「ウェルカム・バック・コッター」なんて今初めて聞いたし、土曜の日中に放送されていた「セイヴド・バイ・ザ・ベル」を見るほど暇じゃなかったからなあ。それにこれも、現在40代のパリロと20代のダイアモンドじゃ勝負にならないんじゃないの? と思っていた通り、勝負は最初からダイアモンド優勢で進み、何回かダウンを奪った後、2ラウンドにレフェリーがダイアモンドのTKO勝ちを宣した。


第3試合はこれまでにないでこぼこコンビの登場で、身長6フィート3インチ (187.5cm)、体重350パウンド (160kg) 以上 (これ以上は機械が計測できなかった。多分400パウンドくらいには達しているはず) という元NFLシカゴ・ベアーズの人気者、ウィリアム・「冷蔵庫」・ペリーと、体重こそ240パウンド (109kg) とペリーには及ばないが、しかし身長7フィート7インチ (227.5cm) という長身を活かし、NBAでジャンプしないでダンク・シュートを決めるという必殺技で知られた、マヌート・ボルの元スーパースター同士が対戦した。


ペリーだってほとんど190cmに手が届く長身だが、そのペリーですら、ボルと並ぶと小さい小さい。その横でジャッジするレフェリーなんて子供にしか見えない。一瞬面白い試合になるかもと思ったこの勝負はしかし、やたらと長いリーチでジャブを繰り出すボルに対し、ペリーはまったく手が出せない。ペリーがやっとのことでボルの懐にもぐりこむと、ボルは自分の手が長すぎてペリーを迎え撃てないのですぐクリンチに逃げる。結局この繰り返しで、両者とも決定打のないまま判定へもつれ込み、ジャブを出した回数の多いボルの判定勝ちとなった。


さて、今回のメイン・イヴェントとなる第4試合はなかなかツイストが効いていた。まず、当初このカードに組まれていたのが、これまた私が前回、彼を忘れてはいないかと言ったジョーイ・バタフューコが、なんとジョン・ウエイン・ボビットと対戦するというものだった。エイミー・フィッシャーを持って来れないので、そのフィッシャーに悪いことをさせたバタフューコを口説き落としたセンスは悪くないし、それよりも何よりも、私がまったく失念していたボビットという名には唸らされた。


ジョン・ウエイン・ボビット‥‥多分日本に住んでいる者でも、彼の名なら結構覚えている者が多いのではないか。アメリカの阿部定事件として知られる、あの、妻におちんちんを切りとられて、アメリカどころか世界中の三面記事を賑わせたあのウエイン・ボビットが、今度はボクサーとして我々の目の前にまた現れるのだ。確かボビットの事件はエイミー・フィッシャー事件とほとんど同時期だったように記憶しているが、その後もなんやかやとマスコミに話題を提供したフィッシャーに較べ、事件以降陽の当たるところから姿を消したボビットのことなんか、今の今まですっかり忘れていた。ボビットは事件の後、ポルノ・ヴィデオに出演して日銭を稼ぐ毎日だったそうだが、事件後の医療費やら裁判にかかった費用等で財政は逼迫していたらしい。それでこういう誘いにもすぐに応じたんだろう。


しかしここでまた意外な展開が訪れる。多分、これが普通の一般人の反応だと思えるが、ボビットの再婚したばかりの新妻ジョーンは、ボビットがこんな番組に出るのを嫌がった (しかし、なんでボビットが再婚できたのかはまったくわからない)。ジョーンは自分がそう思っていることをボビットに伝え、そしてボビットは切れたらしい。おまえは俺の人生を滅茶苦茶にするつもりかと、いきなり怒り出してジョーンに殴る蹴るの暴行を加えた。ジョーンは手当てを受けた病院から警察に通報、ボビットは逮捕され、そしてFOXはボビット起用を断念したのであった。ボビットって、本当にルーザーという言葉を地で行っているような奴だ。


そして、そのボビットに代わって白羽の矢が当たったのが、人気プロレス団体WWFのチャイナこと、ジョーニー・ローラーである。もちろんジョーニーは正真正銘本物の女子プロレスラーだ。性転換して女性になったわけではない。つまり、勝負はバタフューコ対ジョーニーという本当のバトル・オブ・セックスになってしまったわけで、それはそれでまたなかなか興味をそそられるものになった。


この、異性間対決、バトル・オブ・セックスという言葉は、アメリカのスポーツ界ではわりと頻繁に聞かれる用語である。この言葉が定着したのが、1973年、当時の女子テニスの第一人者ビリー・ジーン・キングが、元全米チャンピオンのボビー・リグスを破った画期的な試合で、つい最近も、やはりテニスのジョン・マッケンローが、弟のパトリックと組めばヴィーナスとセリーナのウィリアムス姉妹のペアには負けないと発言して話題になった。可哀想に、マッケンローはウィリアムス姉妹から無視されてしまった。いずれにしても、女性がアスリートとして男性と同等に試合/勝負ができるかということは、アメリカでは、少なくとも一部ではかなり真剣に考えられていると言ってもいいだろう。それがこういう形で実現したわけで、それはそれで興味は惹かれる。身長、体重ではデブに近いバタフューコの方に分があるが、日頃から鍛えている身体とスピードではジョーニーの方に分がある。もしかしたら面白い試合になるかもしれない。


しかし、いざ試合が始まると、二人とも様子見から始まったものの、なんか、手数ではジョーニーの方が多くても、当たると、やはりバタフューコのパンチの方が威力があるのだ。ジョーニーは最初の方こそアウト・ボクシング・スタイルで形を作っていたが、接近戦になるとバタフューコにいいように振り回される。バタフューコは自分の方が有利と見た途端、構えを解いてジョーニーを挑発したりと、余裕のあるところを示す。そのくせ接近戦でもつれると、いきなりジョーニーの首をつかまえて投げ飛ばすというマイク・タイソン張りのルール無視の我流試合に持って行く。本当にこの男、性格悪い。ボクシングをしようとして投げ飛ばされたジョーニーも唖然としていたが、結局、そのバタフューコのペースで試合は進んでしまい、何度かダウンを奪われたジョーニーは判定で敗れた。しかし、ジョーニー、頭に来ただろうなあ。


ところで、バタフューコはフィッシャー事件の後、頭を撃たれて顔の半分が麻痺した妻に付き添ってしおらしいところを見せていたという記憶があるが、今回リングに登場してきたバタフューコに付き添っていたのはその妻ではなく、まったく別の女性で、しかもその女性とキスを交わしていたところなんかを見ると、やはり妻とは別れたっぽい。きっとそうだろう。当時、なぜバタフューコの妻はこの男を見限らないのか不思議でしょうがなかったんだが、きっと時が来るのを待ってたんだろう (と、私の頭の中ではバタフューコが捨てられたという構図ができ上がっている)。いずれにしても、そろそろこの企画にも飽きてきたな。やはり2、3年後にエイミー・フィッシャーとメアリ・ケイ・ルトーノーを対決させてくれ。私が渇望する試合はそれだけだ。







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Celebrity Boxing 2

セレブリティ・ボクシング2   ★★★

 
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