基本的に2000年シーズンは事実上終わり、あとはプレジデンツ・カップとツアー・チャンピオンシップ以外見るものはないはずだったのだが、なんとタイガー・ウッズが突如カナディアン・オープンに出場を発表、こちらもチャンネルを合わせる。なぜウッズがわざわざ国外のこんなマイナーな大会なんかに出るのかと思っていたら、そういえばこのトーナメントは、ウッズがプロに転向して初めて予選落ちした唯一のトーナメントであるのだ。その意趣返しみたいな気持ちがあるのだろう。それにこのトーナメントに勝てば、ウッズは71年のリー・トレヴィノに続き、1シーズンで全米、全英、全加(と呼べるのか)と、3つの国のオープンを制した史上2人目のゴルファーになるのだ。メイジャーとは別に、ゴルフ界のトリプル・クラウン(3冠王)を狙っているわけだ。なるほどね。


勝負の方はウッズが初日調子が出ず、72と久し振りのイーヴン・パーで回り、あわやオーヴァー・パーになる寸前で辛くもこらえる。ウッズは今、連続アンダー・パー・ラウンドの記録を更新中だから、こんなところでポカしないでくれよとドキドキもの。しかし流石ウッズ、2日目は完全に立て直す。15番パー4から16番パー5、17番パー4、18番パー5と続く最後の4ホールで、バーディ・イーグル・バーディ・イーグルと終わった怒涛の攻めは、いや、もう見事でした。3日目も64で回り、初日四十何位だったのが、気づいてみればニュージーランドのグラント・ウェイトと並び15アンダーで首位。ウッズが強すぎるのか他のゴルファーが弱すぎるのか。


ウッズは3日目終了時点で首位に立った場合、その勝率は9割以上。ウェイトはこれまでツアー1勝しかしてないし、もう敗ける気がしない。最終日は最初からほとんど勝ちを確信して安心して見てた。たとえ15番で20アンダーで並んでいようと、全然気にならない。むしろウッズと一緒に回って崩れないウェイトの健闘を讚えてあげたくなる。案の定ウッズは16番パー5でバーディを奪ってウェイトに1打差をつけた後、18番でもバーディを奪い、22アンダーで優勝。この18番パー5で、池越えで右側に池が迫っているグリーンのその右側に切ってあるピンに対しての第2打、210ヤードをバンカーからデッドに狙って打った6アイアンは、惚れ惚れするものだった。


リードしていてバンカーからの第2打の池越え、普通はレイアップするわな。ウェイトはウッズより先に第2打を打っていたのだが、自分のボールがグリーンに乗った瞬間、プレイオフをほぼ確信しただろう。まさかその直後にあの状態でウッズがグリーンをデッドに狙ってくるとは思ってもいなかったと事後言っていた。先に知っていたら自分もグリーン中央じゃなくてピンを狙い、イーグル狙いに行ったのにと悔やんでいたが、ま、普通はそうだよな。プレッシャーのかかったあの状態で池越えを怖れずバンカーからピンを狙い、ちゃんとグリーンに届かしてバーディを奪えるところがウッズの真骨頂である。これでウッズは今シーズン9勝目。昨年も8勝してるし、とにかく今、彼ほど強いゴルファーはこの世に存在しない。







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ベル・カナディアン・オープン

2000年9月7-10日   ★★1/2

カナダ、オンタリオ、グレン・アビー・ゴルフ・クラブ

 
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