ビュイック・オープンは例年全米プロの直前に開催されるため、普通、メイジャーの前の週のトーナメントは基本的にパスして休養兼最終調整に当てるタイガー・ウッズは、ビュイック・オープンも大概はパスする。それでもこれまで三度もこのトーナメントに出ているのは、ビュイックがウッズのスポンサーであり、高額の契約金をウッズに支払っているという関係があるからに他ならない。


そのウッズが2日目63のスコアを叩き出し、14アンダーとなっていきなり集団に4打差をつけてトップに立つ。ビュイック・オープンはニッサン・オープン、フェニックス・オープンと共に、ウッズが三度以上出場してまだ一度も勝ったことのない三つのトーナメントのうちの一つである。しかし、これでビュイック・オープンがそのリストから消える可能性はすこぶる高くなった。


3日目のウッズは、前日のゴルフが嘘のように今度は打って変わって我慢のゴルフとなったが、それでも大崩れしないところはさすがである。その、苦しむウッズにぴたりとつけるのが、エステバン・トレド。一時は完全にウッズを逆転、3打差をつけてトップに立つという場面も見られたが、そこから盛り返すことができるのがウッズのすごいところで、結局最後、連続してボギーを叩いたトレドを再び逆転、ウッズ15アンダー、トレド14アンダーで3日目を終える。ウッズはこれまで3日目終了時点で首位に立っていた場合、26戦24勝である。こうなると、調子はどうあれ負ける気はあまりしない。


しかし、最終日、トレドはウッズにぴたりとつけたまま引かない。ウッズがバーディを決めるとすぐトレドもバーディを返すという展開で、なかなか見応えのある接戦となる。その緊張の糸がぷつりと切れたのが、13番パー5。99年にもそれまで首位を保っていたトム・レーマンが、このホールでボールを池に落として逆転され、優勝を逃したというのを見たことがある。今回、同じように第3打を池に落としてしまったのは、トレド。一方のウッズはバーディで上がったため、このホールでいきなり3打差となり、ほとんど勝負は決した。トレドはその後ずるずると後退、ウッズも優勝を確信したためか、17番パー3でダブル・ボギーを叩くなどの局面も見られたが、その時点で既に後続に5打差をつけていたため、勝負の行方には影響しなかった。結局、最終日、ウッズは2アンダー70で、通算17アンダーで優勝、トレドは1オーヴァー73で、マーク・オメアラ、ブライアン・ゲイ、フレッド・ファンクらと共に、通算13アンダーで2位を分け合った。


しかし、オメアラの名がリーダー・ボードに乗るのを見るのは久し振りだ。長いスランプからそろそろ抜け出す時期か。また、最終日、ウッズとトレドを比較する時に、身長、体重とかの身体的特徴と並び、PGAで36勝しているウッズに対し、ツアーではまだ勝ったことはないが、元プロ・ボクサーのトレドはプロ・ボクシングでは12勝しているという、よくはわからない比較が面白かった。







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ビュイック・オープン

2002年8月8-11日   ★★★

ミシガン州グランド・ブランク、ワーウィック・ヒルズ・ゴルフ&カントリー・クラブ

 
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