ビュイック招待

2004年2月12-15日   ★★★1/2

カリフォルニア州ラ・ホヤ、トリー・パインズ・ゴルフ・コース

初日終わって後の最大のニュースは、クレイグ・ステッドラーの息子のケヴィン・ステッドラーが首位に立ったこと、2日目を終わって最大のニュースは、現在、12試合連続トップ10入りの記録を持っているヴィージェイ・シングが予選落ちしたこと、そして3日目を終わって最大のニュースは、95年の全英以来勝ち星のなかったジョン・デイリーが首位に立ったこと、そしてこの試合、ディフェンディング・チャンプで5年連続で5位以下になったことのないタイガー・ウッズが13アンダーで首位を走るデイリーに8打差の5アンダーで、優勝どころかトップ10も危うくなったことだ。


そしたら最終日TVをつけると、スコアを伸ばせないデイリーの後ろにぴたりと着けているのが、誰あろうウッズと丸山茂樹。そういえば丸山も何度かこの試合では首位に絡んでいる。さらに、こちらも今回は優勝は無理だろうと思われたフィル・ミッケルソンもスコアを伸ばしてきて、これは面白い! ミッケルソンなんて、初日74で、もう少しで予選落ちというすれすれだったのに。やっぱり彼らが上位に絡まないと勝負は面白くならない。


しかしウッズはその後失速、ミッケルソンと丸山もところどころでクラッチ・パットを沈めはするがスコアを伸ばすまでは行かない。まずミッケルソンがこの日67、通算9アンダーでコース・アウト、丸山も9アンダーでレギュレイションを終える。しかしその後クリス・ライリーが10アンダーでレギュレイションを終えたところで、ミッケルソンと丸山にチャンスはなくなった。結局、ライリーのあと、先週、一時優勝に絡んだものの最終日に崩れたルーク・ドナルドが今回は踏ん張り、やはり10アンダーでコース・アウト、その後、この日3オーヴァー75と苦しんだものの、それまでの貯金が利いたデイリーの3人が10アンダーで並び、プレイオフとなった。9アンダーには、他にトマス・ビヨーン、ボー・ヴァン・ペルト、ダフィ・ウォルドーフ、ジャスパー・パーナヴィクの計6人が入った。ウッズは8アンダー10位タイで、これは面目を保ったと言えるかどうか。


18番パー5のプレイオフでは、唯一デイリーだけが2オンを狙える位置に着ける。しかしそのデイリーの第2打は、グリーン右奥のバンカーへ。カップはグリーン左手前、池のすぐ後ろに切ってある。グリーンのスロープは池の方に向かって下っており、これで逆にデイリーの位置からの第3打は非常に難しくなった。一方のライリーとドナルドは共に第3打をピンに絡ませたため、今度はいきなりデイリー、ピンチ。


しかしデイリーはこの70フィートのバンカー・ショットを1フィートにつけるスーパー・ショットを見せてギャラリーを沸かせ、先にパットを入れてバーディで上がる。直後、ドナルドの8フィートのパットが高い方にそれ、ライリーの6フィートのパットがカップに嫌われて縁を一回転してこぼれた時、デイリーの久方振りの優勝が決まった。デイリーは最終日75という決してよくはないスコアだったのだが、完全にグリーンを外したショットがいい具合にバウンスにして乗ってきたり、完全にミス・ヒットしたショットが木の根っ子に当たってこれまたグリーンに乗ってきたりと、はっきり言って、ツイていた。そういうのがなければもっと大叩きしていたはずだが、勝つ時というのはそういうものだろう。ギャラリーも久し振りに首位に絡むデイリーをライダー・カップ並みの応援でサポート、異様な盛り上がりを見せた。いやあ、最近聞くデイリーの話題といえば、アル中のためのリハブに入ったとか、女房がドラッグで逮捕されたとかそんな話ばっかりで、そういった中での悪童デイリーの優勝は、なんか、痛快である。







< previous                                    HOME

 
 
inserted by FC2 system