ビュイック招待

2003年2月13-16日   ★★★

カリフォルニア州ラ・ホヤ、トリー・パインズ・ゴルフ・コース

膝の手術で昨年末から休養中のタイガー・ウッズが約2か月ぶりにコースに復帰する。その上、そのウッズの使っているナイキのクラブに、あんなクラブが使えるのはタイガーしかいないよと冗談混じりのコメントを寄せたら、それがナイキの怒りを買って大きな問題となってしまったフィル・ミッケルソンもプレイする。ただでさえマスコミの加熱ぶりは凄まじいのに、さらにLPGAのアニカ・ソーレンスタムもPGAのコロニアルに参加を表明、にわかにアメリカのゴルフ界はかまびすしくなる。やっと今年のPGAツアーが本格的にスタートしたという感じだ。


初日は雨に祟られ誰も18ホールを終了できないが、注目のウッズはフロント9を終わった時点で1アンダー、しかしウッズらしくないショットが目立ち、この時点でアメリカのマスコミのウッズに対する評価は、「ラスティ (rusty、錆びついている)」と、手厳しい。


しかし段々勝負カンを取り戻したか、2日目は初日の残り9ホールをやはり1アンダーで回った後、その後の18ホールを6アンダー66で回る。特にこの日最後のホールとなった9番パー5でのグリーンそばからの第3打は直接カップに放り込むイーグルとなり、初日の2アンダー70と合わせ、この時点で通算8アンダーで10アンダーで首位のマルコ・ドーソンとブラッド・ファクソンにたった2打差の8位タイに浮上。休養明けだから優勝に絡むのは無理としても、それなりのプレイを見てみたいとは思っていたが、こうなってはもう行くしかない。頑張れ、タイガー、エルスの進撃を止めるのはやっぱりあんたしかいない。


そして3日目はついに、ウッズが12アンダーとスコアを伸ばして単独首位に浮上する。ティ・ショットはそれほどフェアウェイをとらえてはいなかったが、特に5-10フィートのパー・セイヴのクラッチ・パットをことごとく沈めていたのが大きかった。そしてそのすぐ後ろ、10アンダーには渦中のミッケルソンも続いている。ウッズとミッケルソン、そしてミッケルソンと同じく10アンダーのファクソンが最終日の最終スリーサムだ。願ってもない展開とはこのこと。思えば3年前、ツアー6連勝中で、7連勝がかかったウッズの連勝街道をこのトリー・パインズで止めたのが、誰あろうミッケルソンだった。また、ウッズは3日目終了時点で単独首位か首位タイに立っていた場合、これまで28戦26勝と抜群の逃げ切り率を誇る。しかし、2年半前のツアー・チャンピオンシップで、逆転でウッズにその数少ない黒星をつけたのもまたミッケルソンだった。これはまたまた劇的なドラマを期待してしまう。


しかしこの二人が同じパーティになった場合、どちらかの調子がよくないというのもこれまでによくあることで、今回は最終日、ミッケルソンがまったく精彩を欠く。ボギーこそないもののミッケルソンはフロント9をオール・パーで上がり、さらに11番パー3、12番パー4と連続ボギーで8アンダーまで後退した時点で、15アンダーのウッズと7打差。これはもう勝負あっただろう。


ウッズはその後も、これは2オンは無理だろうと思われた15番パー4での右ラフからのバンカー越えショットをぴたりとグリーンに乗せ、ここでもバーディを奪う。さらに18番パー5では、ティ・ショットを右ラフに入れ、第2打も木に当ててさらにグリーンまで170ヤードの池越えの第3打を、ダートの上から綺麗にグリーンに乗せるスーパーショットを見せギャラリーを沸かすなど、ウッズとミッケルソンのデュエルのはずが、ウッズのワン・マン・ショウとなってしまった。膝の方はまったく問題なかったみたいだ。


結局ウッズは最終日4アンダー68でスコアを16アンダーまで伸ばし、この日69で通算12アンダー単独2位に入ったカール・ピーターソンに4打差をつけ、今季ツアー初出場初優勝。3位が11アンダーのファクソン、ミッケルソンはその後少し挽回したものの、ブレイニー・バード、アアロン・オーバーホルザーと共に10アンダーの4位タイに終わった。


さて、今季これまでのところ絶好調のアーニー・エルスも、今回はオーストラリアでのジョニー・ウォーカー・クラシックで、2位に10打差をつける29アンダーでまたまた優勝、これで今季5戦4勝である。次エルスがPGAでプレイするのはいつだ? 早くウッズとの一騎打ちを見せてくれ。







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