3日目が終わった時点で、首位は14アンダーで昨週に続いて2週連続優勝を狙うデイヴィス・ラヴ3世。1打差でまたフィル・ミッケルソンら5人が並び、さらにまた1打差でタイガー・ウッズら4人が並ぶ。今年のPGAはこれまで本当にエキサイティングな展開がなかったから、やっと面白くなってきたかとわくわくする。特にウッズが優勝に絡まないと、勝負はやっぱり面白くならない。


最終日はやっぱり上記の3人に、ツアー未勝利のフランク・リックライターが絡むという展開。バック9に入って順調にスコアを伸ばすミッケルソンが、一時は2位のラヴに3打差をつけて首位を走る。しかしラヴもじりじりと追い上げ、ウッズも本調子には見えないがすぐその後から離れない。それにリックライターがぴたりとついている。


この中で一番最初にホール・アウトしたウッズは17アンダーまでスコアを伸ばしたが、その時点でも首位には並べず、多分今回も優勝は無理だろう。案の定、次にホール・アウトしたミッケルソンとリックライターは共に19アンダーで、最終パーティのラヴのホール・アウトを待つ。そしてラヴも19アンダーでホール・アウトした時点で、勝負は3人のプレイオフとなった。しかし最終18番パー5は3人ともイーグル・チャンスがあり、それぞれに勝つチャンスはあった。特にミッケルソンのパットは大きな弧を描いてこれは入ったかと思った瞬間にカップのわずか1インチ横をすり抜け、ギャラリーから大きな溜め息が漏れた。ウッズは結局単独4位。


その18番で行われたプレイオフもまたそれぞれにイーグル・チャンスがあったが、今度は一番近いのはラヴ。ラヴはレギュレイションでも15フィートの充分入れ頃のイーグル・パットを残していたが、今度は10フィートとそれよりもさらに近い。しかしラヴも含め、3人ともまたもやイーグル・パットを外し、勝負は16番パー3へ。ここでラヴはティ・ショットをバンカーに目玉で入れてしまい、ボギーでまず一人脱落。一番勝利に近い位置にいたのに、勝負は非情である。せっかく先週久し振りに勝ったのに、また万年2位癖がぶり返さないか気になる。


次の17番パー4では、まずミッケルソンが左のブッシュに打ち込んでしまう。ロスト・ボールかそれでなくてもまずドロップは堅い。それなのに、リックライターはそれを目にしているのに、安全策で3ウッドかアイアンでティ・オフすればいいものを、同じようにドライヴァーを使って、釣られたようにまったく同じところに打ち込んでしまった。二人ともプロヴィジョナルがフェアウェイをキープしているため、どちらかというと最初のボールのことは忘れてプロヴィジョナルで行きたいところだが、リックライターのボールは既にTVカメラがとらえており、まったく次打の打ちようがないことがわかり切っているため、早々に諦めて第3打目を打ちにティに戻る。


一方ミッケルソンは、プロヴィジョナルで行った方が有利なのがわかりきっているためボール探しにも熱が入らないが、よりにもよって誰かがボールを見つけてしまい、結局やはり第3打を打ち直しにティに戻る。その第3打も、ミッケルソンはあわやまたもやブッシュ入り寸前の左ラフへ。リックライターはフェアウェイをキープして、断然リックライター有利。ミッケルソンは根性で第4打をグリーンに乗せるが、30フィートを残す。リックライターはピン・ハイの8フィートで、これをねじ込めば勝ちだ。


まず先にパットしたミッケルソンはルーティン通りの2パットでホール・アウト。この時点で8割方勝負は諦めたと見えた。ところがリックライターは勝ちを意識して力が入ったか、8フィートのパットを外しただけでなく、5フィートもオーヴァー。返しのパットまでがカップの左をかすめて通り過ぎた瞬間、ミッケルソンの昨年に続くバック・トゥ・バックの優勝が決まった。結局ミッケルソンはプレイオフの最終ホール、ダブル・ボギーを叩いたのにトリプル・ボギーのリックライターに勝ちを譲ってもらった格好。勝負というのは本当に最後まで終わってみないとわからない。







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ビュイック招待

2001年2月8-11日   ★★★1/2

カリフォルニア州ラ・ホヤ、トリー・パインズ・ゴルフ・コース

 
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