放送局: ショウタイム

プレミア放送日: 3/28/2004 (Sun) 21:00-22:30

製作: フェアリー・ゾーン・プロダクション

製作総指揮: ブリトニー・スピアーズ、ラリー・ルドルフ、ジェイ・ラーキン

製作: イアン・スチュワート、ジョック・マクリーン

監督: ハミッシュ・ハミルトン

出演: ブリトニー・スピアーズ


内容: フロリダ州マイアミ、アメリカン・エアラインズ・アリーナで行われた、ブリトニー・スピアーズの「オニクス・ホテル・ツアー (Onyx Hotel Tour)」コンサートの中継。


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若者間における人気の流行りすたりのスピードは速い。若者に人気のあるいわゆる御三家が、イン・シンク、ブリトニー・スピアーズ、クリスティーナ・アギレラだったのがそれほど昔だったという気もしないのに、そのうちのイン・シンクは、もはや存在していない。今ではジャスティン・ティンバーレイクが一人頑張っているだけだ。


一方アギレラはマイ・ペースで仕事を続けているようで、見るたんびにがらりと変わる外見で、それなりに楽しませてはくれる。とはいえアギレラだって、今ではどっちかっつうとアヴリル・ラヴィーンに取って代わられたという感じはしないでもない。若者の支持をキープするというのは、並大抵の所業じゃないのだ。


その点、現在でも衰えない人気を保っているという点に関しては、ブリトニーが頭一つ抜け出ているということには誰も異論はあるまい。ティンバーレイクは、幼い頃から芸能界でブリトニーと付き合いがあり、実際に交際もしていたようだが、結局はブリトニーから振られてしまい、その痛手を隠そうともしていなかった。やはりブリトニーの方が一枚上手だ。


そのブリトニーの、2年ぶりのアルバムとなる「イン・ザ・ゾーン」発売に合わせた「オニクス・ホテル・ツアー」のフロリダでの公演を中継したのがこの番組だ。2年前のラス・ヴェガスでのコンサートのような、健康なお色気で売っていた時代から少し成長し、大人となったブリトニーを強調している。とはいえブリトニーは、まだ隣りの妹的な清純派から完全に脱皮したわけではなく、こないだFOXのニュースを見ていたら、あのブリトニーが煙草を吸っているところを激写! みたいな感じの追っかけニュースの映像が、ほとんどトップ・ニュース的な扱いになっていた。こういのがニュースになるのは、まだまだ彼女に清純派のイメージを重ね合わせて見ているファンや視聴者が多いからだろう。とはいえ、彼女、もう成人してんだろ、煙草吸おうが吸うまいが本人の勝手だろうに、こういうのを大々的にニュースとして報道してしまうFOXこそ恥ずかしいとしか私には思えないが。


さて、その「オニクス・ホテル・ツアー」、摩訶不思議なオニクス・ホテルに滞在する摩訶不思議な滞在客と共に繰り広げる摩訶不思議なパーティというのがショウのテーマであるようだ (オニクス・ホテルというのは、ボストンに実在する。)「イン・ザ・ゾーン」からのファースト・シングルである「トキシック (Toxic)」で幕を開けるのだが、第一声を張り上げた途端、やはり口パクであるのが一目瞭然でわかってしまうのが、ブリトニーのショウの最大の難点だ。踊りながらでは歌えないという欠点は、実際にあの激しいダンスをしながらでは歌いにくいだろうというのはあるが、それでも他のプロが踊りながら歌っている前では、その理由は通るまい。


それでも彼女は実際に歌ってはいるようで、時々は録音ではなく、マイクが彼女が今歌っている声を拾ったりする。しかし、録音と較べてあまりにも声量が小さく、ほとんど途切れ途切れにしか聞こえないため、また録音に切り替わるのだ。これはやはり声に臨場感を持ち込みたいため、ディレクターがブリトニーの生の声を使えそうだなと判断したら、その場で録音と生とを切り替えるんだろう。しかし、基本的にブリトニーの生の声を聞くことができるのは、MCとバラードを歌っている時だけと断言して差し支えあるまい。そのバラードでも、ちょっとでも振りが入ると、もういけない。歩くだけでもすぐ声がぶれるのは、声帯が弱いのだろうか。


いずれにしても、おかげで録音からマイクに切り替わって休みながらMCに入るブリトニーの声の方が、踊りながら歌っている時よりもぜいぜい震えている。ハードに動いている時の方が声が安定するなんてなあ、やっぱりちょっと騙されているような気がする。さらに、ステージ上にピアノを置いて、ピアノの弾き語りのような体裁にしておきながら、ブリトニーは手だけを前に出して鍵盤の上に置いてはいても、実はピアノを弾いていない。口パクの上に手パク (という言葉があるかは知らないが) なのだ。


そういう一大欠点があるのにブリトニーがいまだに高い人気を誇るパフォーマーであるというのは、一つの謎だ。誰もが彼女は口パクとわかっていて、それでも生ステージを見に出かけるのだ。つまり、観客はブリトニーの歌としてのパフォーマンスはそもそも最初からそれほど期待してないわけで、ダンス・パフォーマンス、およびスターとしての生のブリトニーを見るためだけに高いチケット代を支払っているわけだ。ブリトニーは、シンガー/ミュージシャンというよりはパフォーマー、あるいは、端的に言ってスターということなんだろう。


第一、相変わらずのダンス・パフォーマンスは、やはり若手ではトップ・クラスだ。はっきり言って私もそれが目的で見ているわけだし。ショウとしては、初々しさが消えて、ダンス、群舞といったところのショウマンシップが以前よりも前面に強く出てくる印象が強くなった結果、どんどんマドンナやジャネット・ジャクソンのショウに近くなった気がする。オープニングで風に髪をたなびかせながら現れるところなんかは、まるでマイケル・ジャクソンを思い起こさせる。


ステージが進むに従ってブリトニーの衣装が段々薄くなっていくところは、特に男性ファンにアピールするに違いない。最後の方に至っては、ブリトニーはピンクのブラとパンティ、黒い網タイツにガーター・ベルト、白黒のハイ・ヒールという格好で、男性ダンサーを相手に挑発的なポーズを決めてみせる。ブリトニーは間違いなく、顔の前に前髪を垂らした格好が世界で最も似合うエンタテイナーだろう。クライマックスでは、ブランコに座ったブリトニーがステージ上に高く吊り上げられていく。15mは上がったんじゃないか。


つまり、ブリトニーのコンサートは一つのスペクタクル・ショウで、観客は、まあ、ブリトニーの生の声を聞ければそれにこしたことはないが、しかし、必ずしもそれが必須条件であるとは考えていない。誰もが口パクであると知っていても、それでも客を会場に集めることのできる、TVの前に視聴者を集めることのできる集客力、それこそが彼女がスターであるということなんだろう。もっとも、ブリトニーのコンサートはネットワークでも何度か中継されているが、いつも高い視聴率を獲得するというわけではない。スターといえども、いつでもどこでも誰にでもアピールできるわけではないということか。


ところでブリトニーは、確かに可愛いいが、スタイルはむしろぽっちゃり型に近く、特に見事なプロポーションを持っているわけではない。しかし、実は、一緒にTVを見ていた女房によると、ブリトニーは胸にシリコンを入れているというのだ。そういう話はまったく知らなかったので、それって本当かと訊いたら、少なくとも、ある時突然ブリトニーの胸が大きくなったというのは、巷では有名な話だそうだ。私は女性の胸にはほとんど目が行かないので、そんなことまったく気づかなかった。さらに、鼻にもいくらか手を入れているのは間違いないんじゃないかということだ。あんなに可愛いのに、それでも満足していないのか。


まあ、しかし、芸能界で人気を維持するのは非常に難しいことではあり、それはたとえブリトニーといえども例外ではないだろう。たとえちょっとした見かけだけでも、少しでもよくなるんなら、それにこしたことはないと考えるのは充分理解できる。実際、現在でもまだまだ人気の衰えないブリトニーではあるが、思いもがけないところから虎視眈々と追撃を受けている。


実はブリトニーには妹がおり、その妹ジェイミー・リンは、ニコロデオンの「オール・ダット (All That)」等で、既にTVデビューを果たしている。まさにデビュー当時のブリトニーそっくりの可愛い子なんだが、今秋には、彼女を主人公に起用した番組も企画されている。たぶん、歌手デビューも間近だろう。91年生まれというから、まだ13歳にしかならない。


また、ブリトニーとは関係ないが、昨年、天然ボケで話題をさらったMTVの「ニューリーウェズ」のジェシカ・シンプソンの妹、アシュリーがこれまたデビューしてくる。そしてこちらの方は、完全にジェシカよりもアシュリーの方が可愛いのだ。どっちかっつうとブリトニーにも似ている。そしてジェシカの妹だからして、歌唱力の方も既に折り紙つきだろう。そういう、ブリトニーやジェシカとほとんど同等の才能を持ったロウ・ティーンの可愛い子がこうやって次々としてデビューしてくるのだ。いくら今人気があるからといって、ブリトニーだってうかうかしてもいられまい。実は正直言うと、私も今からジェイミー・リン主演の番組の登場を心待ちにしてたりするのだ。






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