過去4年の15のメイジャーのすべてで異なるゴルファーが勝っているゴルフ界、群雄割拠といえば聞こえはいいが、強いゴルファーがいなくて軸がなく、大味で薄まっているというのが本当のところ。


そして今回の全英、折り返し時点で10アンダーで首位はブラント・スネデカー。9アンダーでアダム・スコット、6アンダーにタイガー・ウッズ、5アンダーにソービョーン・オルセンが続く。ウッズは全米でも折り返し地点では首位だったが、それから転がり落ちた。しかし2日目最終ホールでサンド・ショットをカップに直接放り込んだショットは昔のミラクル・ウッズを彷彿とさせ、やはりお前が魅せないとツアーは面白くならないと思わせる。


3日目最も印象的だたのはウッズよりもスネデカーで、途中までは盤石に見えたのに、あるホールから突然崩れ出していきなり雪崩のように後退していった。それでも最後の最後に持ち直したのは大したもの。結局3日目を終わって11アンダーで首位はスコット、7アンダーにスネデカーとグレム・マクドウェル、6アンダー、ウッズ、5アンダー、アーニー・エルス、ザック・ジョンソン、4アンダー、オルセンが続く。


最終日は上位陣でスコアを伸ばせる者が誰もなく、それでもその中で最も安定しているように見えるスコットと後続との差が縮まらない。ウッズも6番パー4で第2打がグリーン左のポット・バンカーに目玉で捕まり、トリプル・ボギー7。それよりもなによりもアイアンの距離感が今一つで、これじゃバーディがとれない。スネデカーもマクドウェルも今一つのできで、そのままスコットが逃げ切るかに思えた。


上位陣で一人だけアンダー・パー・プレイを続けていたのがエルスだが、そのエルスだって特に好調とは言えず、パットがもう少し入っていればこの日のベスト・スコアだろうという感じで、本気でスコットに届く気はしなかった。


しかしそのエルスが最後の最後に18番パー4でバーディを奪って7アンダーになる。とはいえまだスコットには3打差。と思った時点から、スコットは15番パー4、16番パー4、17番パー4と3連続ボギーでエルスと並んでしまう。そんなのありか。それまでほとんどフェアウェイを外さなかったティ・ショットがポット・バンカーに捕まるなど、最後の最後に来ていきなりツイてない。


18番もティ・ショットがポット・バンカー入りで、第2打はほとんど後ろに出すだけ、第3打をカップまで10フィートにつけるが、入れてなんとかプレイオフだ。しかしこの日のスコットはグリーンまではほとんど文句なしのできだが、パットがほとんど決まらない。そしてパー・パットは‥‥さすがに根性でねじ入れたかと思った瞬間、左にするりとそれた。


いつぞやのカーヌスティのジャン・ヴァン・デ・ヴェルデの崩壊を彷彿とさせる最後の最後の逆転劇。これだからツキもないと勝てない全英はわからない。というか、エルスがツイてたから勝ったというよりも、スコットが勝利の女神に見放されたので勝ちを逃したという感じだ。しかしやはり全英って、勝った者より負けた者の方が印象に残る。前回のロイヤル・リザム&セント・アンズでも、ツイてて勝ったデイヴィッド・デュヴォールより、ツイてなくて負けたイアン・ウーズナムの方が記憶に残っている。


7アンダー、エルス、6アンダー、スコットの下は、3アンダーにスネデカーとウッズ、2アンダー、マクドウェルとルーク・ドナルド、1アンダー、トマス・エイケンとニコラス・コルサーツが入った。ところで最後の方になるまで気づかなかったのだが、スコットのキャディって、スキャンダル前までウッズのバッグを担いでいたスティーヴ・ウィリアムズじゃないか。同日程でミシシッピ、マディソンで行われたトゥルー・サウス・クラシックは、スコット・ストーリングスが24アンダーで勝った。









 

第141回全英オープン   ★★★★

2012年7月19日-7月22日、英国、ランカシャー

ロイヤル・リザム&セント・アンズ・ゴルフ・クラブ

 
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