第133回全英オープン
第133回全英オープン
2004年7月15-18日 ★★★1/2
スコットランド、アイシャー、ロイヤル・トゥルーン・ゴルフ・クラブ
3日目終了時点で8アンダーで首位はトッド・ハミルトン、1打差7アンダーでアーニー・エルス、さらに1打差にフィル・ミッケルソン、レティーフ・グーセン、トマス・ルヴェイ、そして4アンダーにタイガー・ウッズらがおり、いかにもメイジャーらしいメンツが揃う。全米やマスターズとダブる名前が多いが、それがまたいかにもメイジャーらしい雰囲気を添える。そういう中でほとんど必ず入ってくるアンダードッグは、今回はハミルトンだ。とはいえハミルトンは既に今年一勝しており、昨年のベン・カーティスのようなまったくの無名ゴルファーというわけではないが、それでも今年ホンダ・クラシックで勝つまではほとんど聞いたこともなかった。いずれにしても荒れやすい全英は、誰が勝つか終わってみるまでわからない。
最終日はそのハミルトンが踏ん張り、ミッケルソン、エルスが絡む。エルスは全米最終日最終組で崩れていったという記憶も新しいが、今回は粘る。ブッシュに打ち込んで枝に引っかかっているボールを打つなんて滅多に見られないショットもあった。ミッケルソンも一時首位に並ぶ。いつも攻めのゴルフのミッケルソンは、いったんつかまると大叩き間違いなしのフェスキュー草に苦しめられるため、これまではどちらかというと全英を苦手としてきたのだが、やはり今季は調子がいい証拠だろう。
一方、クールなゴルフで全米を制したグーセンが、今度は全米のエルスと立場を逆にしたように苦しむ。ウッズも最初、もしかしたらと思わせたが、結局最後まで本当に首位を脅かすことはできなかった。こちらも今季のウッズを象徴しているが、しかし、それでもほとんどのメイジャーで一応上位に絡んでも、勝てないとやっぱりスランプと言われてしまう。それでも、なんか、やっとそろそろ復調の気配が見えてきたような気がする。
さて、勝負の方はまずミッケルソンが9アンダーでレギュレイションを終えるが、ハミルトンはその時11アンダーで17番パー3をプレイしており、まずチャンスはなさそうだ。一方、そのハミルトンと最終組でプレイするエルスは、16番、17番と意地で連続バーディを奪い、10アンダーとなって首の皮一枚残す。
そして迎えた18番パー4で、ハミルトンのティ・ショットは右ラフ、第2打も引っかけて、今度はグリーンまで30ヤードもある左ラフへ。一方のエルスは、完璧なティ・ショットと第2打で、15フィートのバーディ・チャンス。追いつくどころかハミルトンの第3打次第では逆転サヨナラだ。ハミルトンは第3打をピン奥20フィートに乗せるも、パー・パットをはずす。これを入れれば優勝のエルスのパットは下側にそれ、10アンダーで並んだ二人の勝負は、1、2、17、18番を回るプレイオフとなった。
1番パー4、2番パー4は二人ともパーで上がるが、17番でエルスがティ・ショットを引っかけ、そこからのアップ&ダウンに失敗し、ボギー、1打差となる。18番ではエルスがまた先ほどの再現のような完璧なショットで、ほとんど同じ位置でバーディ・チャンスを迎えるも、ハミルトンの第2打はグリーンまで10ヤードショート。もうちょっとでポット・バンカー入りで、そうなればほとんどボギーは確実だったが、間一髪で逃れる。
そしてハミルトンは、そこからこの日何度も絶妙のタッチを見せていた、グリーン周りからのドライヴィング・アイアンを使用したパッティング? で、第3打をまたまた綺麗にカップまで2フィートに寄せる。これで今度はプレッシャーはエルスへ。先ほどのパットでラインはほとんど読めていたはずなのに、エルスは今度もまた下側にパットを外してしまう。ハミルトンは2フィートのパー・パットを沈め、メイジャー初優勝を手にした。いくらJPGAで何勝かしていても、この半年でツアー初優勝のみならずメイジャーまで手にしてしまうとは大したものである。9アンダー3位のミッケルソンの下は、6アンダーでリー・ウエストウッド、5アンダーにルヴェイとデイヴィス・ラヴ3世、4アンダーにグーセンとスコット・ヴァープランク、結局この日1オーヴァー72のウッズは、マイク・ウィアーと共に3アンダー9位タイに終わった。