2日目にタイガー・ウッズが首位に着いた時点でまず優勝は間違いないとは思っていたが、絶対勝つとは思っていても、ウッズのスペクタクルなゴルフは勝負の行方など関係なしに目の保養になる。それにPGAのツアーばかりを見ている身にとっては、普段見れないようなショットが随所に見れて実に面白い。あの、全英独特のポット・バンカーはほとんどアンフェアと言いたいほどだが、だからこそあれに捕まったゴルファーの四苦八苦は、本人には可哀想だがドラマになる。最終日、既にウッズに追いつくのは無理とわかっていたとはいえ、17番のロード・バンカーに捕まって出るまで4度もボールを叩かなければならなかったデイヴィッド・デュヴォールの心中は、察するにあまりある。


グリーン手前からのパッティングなんて、全英特有の見物である。特にグリーン手前50ヤードからもパットし、ボールが沈んで、現れて、また沈んで、また現れてピンそばにつけるなんて、オールド・コース以外じゃ見ることができない。2つのフェアウェイが交差しているホールがあるのもオールド・コースくらいだし、進行をスムースに行うために、パー5でグリーンにいるゴルファーがいったんグリーンを空けて後続のパーティに先に打たすなんて、パー3じゃあるまいし素人ゴルフですらないぞ。私が特に全英で好きなのは、芝が密生しているわけじゃないフェアウエイのアイアン・ショットで、地面を抉った砂ぼこりや土のかけらが真上に勢いよく上がる瞬間である。格好いい。絵になる。特にウッズあたりがこれをやると、スウィング・スピードが普通じゃないため、常人ゴルファーでは2、3フィートの砂ぼこりが5、6フィート上がり、めちゃ格好いい。


最終的に差がついてしまったが、デュヴォールだって最終日アウトの9ホールはバーディ・ラッシュで、6打差で始まったのがあっという間に3打差になり、これはもしかするともしかするかもとどきどきしながら見ていたのだが、やはり逆転は無理だった。しかしメイジャーで初めての世界ナンバー1とナンバー2の最終日最終組のペアリングは、それなりにやはり見物だった。また、アーニー・エルスはこれでメイジャーで3連続2位という不本意な?記録を残してしまった。エルスが今年ずっとウッズの後塵を拝するだろうというのは、シーズン幕開けのメルセデス・チャンピオンシップで既にわかりきっていたが、可哀想に。ウッズさえいなければ今頃全米と全英を勝って2冠だったかも知れないのに。これでウッズは史上最年少のグランド・スラマーとなり、エリート・クラブの仲間入り。19アンダーというのも記録だそうだ。来月の全米プロも期待してます。







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129回全英オープン

2000年7月20-23日   ★★★

英国スコットランド、セント・アンドリュース、オールド・コース

 
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