放送局: FOXファミリー
プレミア放送日: 6/2/2001 (Sat) 12:00-12:30
製作: ネルヴァーナ、テレトゥーン、ジェイド・アニメーション
製作総指揮: アリシア・シルヴァーストーン、マイケル・ハーシュ、メリッサ・クラーク、パトリック・ルーバート
クリエイター: メリッサ・クラーク
監督: チャールズ・バスチャン
声: アリシア・シルヴァーストーン (シャロン・スピッツ)、ダン・ペトロニャヴィッチ (アダム・スピッツ)、ヴィンス・コラツァ (エイダン・ジョーンズ)、ピーター・オールドリング (コナー・マッケンジー)、マイケル・セラ (ジョッシュ・スピッツ)、マーニー・マクファイル (マリア・ウォン)、タマラ・バーニャ (ママ)、ケイティ・グリフィン (ニナ・ハーパー)
物語: 中学生のシャロンは、そろそろ歯にブリッジ (ブレイス) をする年頃になった。みっともないとは思いつつも、誰もが一度は通る道。しかしシャロンのブリッジは、鉄板に反応して電磁波を出したり、磁石になったり、なぜだかシャロンに反抗しているように見える。家では兄と弟は敏感な年頃のシャロンのナイーヴな気持ちにはまったくおかまいなく振る舞い、ママも娘の気持ちなんかわかっちゃくれない。学校では親友のマリアはともかく、チアリーダーのニナとはどうもそりが合わない。今日も年頃の女の子に特有の悩みや不満とつき合いながら、シャロンの一日が始まるのだった‥‥
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エアロスミスのミュージック・ヴィデオに続け様に主演して、誰、あの女の子と注目を集め、続く映画「ダリアン (The Crush)」でさらに人気を獲得、「クルーレス」の主演によって人気を不動のものにしたアリシア・シルヴァーストーンは、しかし、次の「エクセス・バゲッジ」、「タイムトラベラー (Blast from the Past)」、「恋の骨折り損 (Love's Labour's Lost)」と今度は続け様にこけ、おかげで最近、彼女の話をまったく聞かなくなった。この年頃の子の人気の浮沈というものは、何をきっかけに上がったり下がったりするのかまったく読めず、たった一発のヒット作/失敗作ですべてが変わる。
そのシルヴァーストーンがプロデューサーとなって挑戦したのが、このTVアニメーション・シリーズである。私が最近のハリウッドの若い俳優に感心するのが、演技するということを一つの職業として見る姿勢を幼い時から身につけている者が多いことで、シルヴァーストーンもその例に漏れない。彼女は俳優というのは多分に運に大きく左右されることをはっきりと自覚しており、そういう者の常として、番組に出る方ではなくて作る方、つまりプロデューサー業にも進出している。彼女が初めてエグゼクティヴ・プロデューサーとなって製作するTV番組が、この「ブレイスフェイス」だ。
シルヴァーストーンは現在まだ24歳だが、彼女に限らず、10代とか幼い頃からデビューした俳優で、プロデューサー業も兼業する俳優は多く、特に女性にこの傾向が強い。実はまだ14歳のオルセン姉妹は、自分たちの新作、「ソー・リトル・タイム」のプロデューサーでもあるし、番組製作会社のデュアルスター (双子星) とは、ずばり彼女ら自身のことであり、彼女らの会社である。「サブリナ」にしても、製作会社のハートブレイク・プロダクションズは、主演のメリッサ・ジョーン・ハートと彼女の家族によるファミリー・カンパニーだ。
こういうふうにプロデューサーも経験しておくと、自分が出演する番組が失敗しても、後で色々と役に立つ。なにしろ、アメリカの映画/TV製作でその権利を代表するのはプロデューサーであるから、当たれば当たったで利益も大きい。そういうことをちゃんと見越して、たとえ最初は肩書きだけのプロデューサーで、実務は親や周りの経験者に任せていようとも、若いうちからプロデューサー兼業という経験を積ませて、しっかりと業界内部に根を下ろしておくのだ。彼女らは映画/TV番組製作をまずビジネスとして見る視点を最初から教え込まれている。それにしてもこういう風に自分のキャリアを着実に計算して積み上げていくタイプが女性の方に多いのは、女性の方が真摯なのかそれとも計算高いのか、あるいは男の方が演技に真面目過ぎるのかそれとも幼くて頭が回らないのか、どっちなんでしょうかね。
さて、「ブレイスフェイス」であるが、タイトルのブレイスとは、日本でいう歯列矯正用のブリッジのこと。つまりブリッジをした多少間抜けな顔が、「ブレイスフェイス」だ。主人公シャロンのブレイスは、時に自分の心があるように振る舞い、その度にシャロンに災難が降りかかる。今日もシャロンはブレイスのことだけでなく、ボーイ・フレンドのことや自分の将来等、ティーンエイジャーらしく、時には悩み、時にはハメを外したりしながら、一日一日を過ごして行くのだった‥‥というのが大まかなストーリー。シルヴァーストーンは、もちろん主人公シャロンの声の吹き替えも担当している。
アメリカのアニメーションって、時々不思議になるくらい絵に魅力のない番組を堂々と放送することが多い。私の意見では、残念ながら「ブレイスフェイス」もその類いだ。誇張が過ぎて、シャロンに可愛さをまったく感じない。いや、なにもアニメーションは可愛くある必要があると言っているのではない。「シンプソンズ」みたいなのでもまったく構わない。しかし、それでも絵にそれなりの魅力は必要であると思うのだ。でなければなんでわざわざアニメーションにするのかまったくわからなくなる。特に子供からティーン向けのアニメーションならなおさらだ。
近年、アメリカの子供向けアニメーション番組が和製アニメに押されているのは、やはりその絵柄という点が大きいと思う。いまや「ポケモン」だけでなく、「デジモン」、「カードキャプター・サクラ」、「ドラゴンボールZ」と、平日午後に子供向けアニメーションを編成するチャンネルの主要番組は和製アニメが多くを占めており、しかも人気が高い。一方、「バットマン」、「スパイダーマン」的な、ムキムキマンが主人公のアクション・アニメは数が減る傾向にある。ディズニー映画でも、私が絵に魅力がないなあと思った「ヘラクレス」とかはやっぱり興行成績は大したことなかったし、今公開されている「アトランティス」の人気が今一つなのも、やはり同じ理由だと思う。リアルというのでもないし、単に魅力のないカリカチュアなのだ。アメリカ製アニメーションで、今最も人気を誇る「ラグラッツ」を見ると、絵に魅力があってこそのアニメーションだということがよくわかる。あるいは極端に戯画化した「パワーパフ・ガールス」でもいい。あのくらいやれば、それなりに味のある番組になる。
大人向けのアニメーションでは特にこういう、絵自体に魅力を発揮させるわけではないという傾向は余計強くなる。昨年、同名カルト映画をアニメ化した「クラークス」も、絵柄という点ではまったく可愛げのないものであった。中味はそれほど面白くないというわけでもないのに、あの絵をずっと見ていたいという気にはまったくさせてくれなかった。「ブレイスフェイス」は対象がロウ・ティーンということもあり、絵の可愛さということよりも内容で勝負しに行っていることはよくわかる。敏感な年頃の子の日常を描くアニメーションであるため、単に可愛くするだけでは意味がないと思ったのも事実であろう。
しかし、これじゃあなあ。シルヴァーストーン本人が何かの役で出る実写ならともかく、声だけの担当で、しかも絵に魅力がない。この番組がアピールするのは、主人公と同じ年頃の女の子だけでしょう。まあ、FOXファミリーとしては最初からそのターゲット層にアピールすればいいと思っているのかも知れないが、それ以外の層の視聴者がこの番組を見て面白いと思うとは到底思えない。私はシルヴァーストーンが実写で出る次の映画かなんかの方に期待します。
