放送局: FOX
プレミア放送日: 3/28/2001 (Wed) 21:00-22:00
製作: LMNOプロダクションズ、グラナダ・エンタテインメント
製作総指揮: スコット・メシック・ビル・パオラントニオ、マーカス・プランティン、エリック・ショツ
監督: スコット・メシック
音楽: ケヴィン・カイナー
編集: シャリ・ハマーマン、スコット・レイノルズ
美術: ヘンリー・コタ
参加者:
ダナ・ジャクソン (28歳。大学院生)
ジャック・ローナー (50歳。配管工)
マーク・マイヤー (27歳。スノーボード・インストラクター)
アルフォンソ・モレッティ (26歳。ジムのトレイナー)
ジョン・パーク (26歳。高校のアート教師)
デイヴィッド・トムソン (29歳。不動産業)
ライアン・ウルフ (22歳。学生)
ショーン・ヤニー (27歳。グラフィック・デザイナー)
キャシ・ブラウン (26歳。女優)
ケイティ・コディントン (23歳。奨学金カウンセラー)
レベッカ・アン・ハー (35歳。養豚業)
ジョディ・フタック (25歳。保安官)
ジェイン・キャサリン (31歳。リース仲介業)
ジェニファー・モレッティ (29歳。主婦)
スー・イェン・プーポ (28歳。パブリック・ディフェンダー)
ジェン・ウィスロウ (25歳。セールス・アナリスト)
インストラクター:
デイヴ・フランシスコ (40歳)
トニー・ローゼンバウム (33歳)
アネット・テイラー (37歳)
リオ・マクスウィーニー (31歳)
内容: 軍事教練所 (ブート・キャンプ) に総勢16人の参加者を募り、軍隊並みの教練を強制しながら段々人数を減らしていく勝ち抜きゲーム/リアリティ・ショウ。毎回番組の終わりに投票によって一人を追放、選ばれた一人は同様に教練所を去る道連れを一人選ぶことができる。最後まで残ったものが優勝賞金50万ドルを獲得する。
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ブート・キャンプとは、軍隊に入る若者が基礎をみっちりと叩き込まれる軍事教練所のことを言う。そういう元々の機能から転じて、不良化した青少年の素行を直すための、スパルタ教育の施設のようなものもこう呼ぶこともある。要するに戸塚ヨット・スクールのようなものだ (これってもう知らない人の方が多いのだろうか)。アメリカでは素行の悪い子供をたしなめる時、あまり態度が悪いとブート・キャンプに叩き込むぞと脅す親が多い。
「ブート・キャンプ」は、その軍事教練所に公募から選ばれた16人の参加者を送り込み、体力の限界までしごきながら毎週毎週追放者を決め、最後まで残った者が優勝賞金50万ドルを獲得するというサヴァイヴァル・ゲームである。参加者は実際の軍隊の教練所同様リクルート (新兵) というランクがつき、例えばパークはリクルート・パーク、というように呼ばれる。これまた教練所に付き物の4人の鬼のしごき教官が、常時リクルートにつきっきりでみっちりとしごくという手筈だ。
感じとしては、CBSの「サヴァイヴァー」をさらに強力にしたようなものに近い。しかし「サヴァイヴァー」と最も異なる点が、毎回選ばれて追放される者が、自分と道連れにもう一人を選んで一緒にブート・キャンプを去る、というルールだ。つまり、裏で画策してある者を追放しようとし、それが成功したとしても、そいつから恨まれて逆指名されてしまうと、結局自分も去らなければならなくなる。だからそういった裏工作はもっと陰湿に完璧に裏に隠れてやるか、さもなければ一応誰にも公平に接する態度を見せなければならない。たとえ一人からでも恨まれてしまえば、もしそいつが追放される羽目になってしまった場合、とばっちりを食うのは自分なのだ。
プレミアの回では、まだしごきが始まってもいないのに、既に戦意喪失してしまった女性が出てくる。その女性キャサリンは、まだ迷彩服への着替えすら終わっていないのに、バスルームから出てくる素振りを見せず、結局何もしないうちにリタイアしてしまった。それでこの回は、キャサリンがリタイアということで一人脱落者が決まってしまったため、その後選ばれて追放されたパークは、道連れを選ぶ決定権はなくなってしまった。そのため、既に敵対していたメイヤーを自分の道連れにすることができず、完全な追われ損である。可哀想に。
このメイヤーが、実は本当に嫌な奴だった。遊びで番組に参加したと言って憚らず、その癖、泣き真似をして周りの同情を買おうとする。あとでけろっとして、あそこではうまくやったよなんてカメラの前では白状しているんだが、この芝居に完全に女性陣が騙された。そのため、こういう性根の腐った奴が大嫌いなパークがメイヤーと対立してしまうのだが、メイヤーに同情的な女性陣は、パークに票を入れて追放しようとするのだ。一方、同じ屋根の下で寝起きしている男性陣は薄々とメイヤーの性根がわかってきているので、こちらはメイヤーに票を入れる。プレミアは1票差でパークが追放されたのであった。
パークは、実は現在アメリカのTV界を席捲している勝ち抜き系のゲーム/リアリティ・ショウであまり見かけないアジア系アメリカ人だったので、私は最初に見た時から彼を応援しようと思っていた。名前からもわかるように完全な韓国系である。パーク (Park) という名字は、要するにパク (Pak) さんなのだが、アメリカでは発音のしやすさもあって、パークと表記する者が多い。ゴルフのLPGAで、韓国生まれのセ・リ・パクと、アメリカで生まれたグレイス・パークのどちらも本当はパクという名字である。
話がそれたが、格闘技もやっているというパークは、ガタイもよく、皆がぜいぜい言う教練もわりと簡単にこなしており、その上、最もフェアに立ち回っているように見える。しかし、そのことが皆、特に女性から最も強敵として怖れられたということもできるだろう。早くこの男を追放しておかないと、あとあと大きな壁として立ちはだかるのは目に見えている。うまい具合にちょっと肩入れしているメイヤーと対立してしまった。とっとと追放してしまえ。まあ、こんな感じの心理だったのではないか。
その上、まだまだアメリカではマイノリティのアジア系は、やはり何考えているかわからないと思われやすい。パークも一重の細い目で、キャンプ入りする時に髪を切ったら完全なやくざ面で、もっとこわもてになった。こういう顔に慣れているはずの私の目から見ても結構怖い。パークは最初メイヤーと対立して目立ったりしなければ絶対いいとこまで行ったと思うのだが、彼は戦略を間違えたよ。
この番組、実はそういう参加者よりも、意外に彼らを叱咤罵倒する4人の鬼教官に人気が出てきてしまった。3人の男と一人の女性から成る教官連中は、初めて登場した瞬間から、とにかく大声で怒鳴りまくる。理由はなんでもいい。完璧な体育会応援団系で、態度が悪いといっては怒鳴り、態度が悪くないといっては怒鳴る。教練をこなしきれなくては怒鳴られ、教練を無事こなしても怒鳴られる。とにかく彼らの存在理由はただ一つ、怒鳴りまくることだけなのだ。そして彼らの命令には絶対服従である。
こいつらがなぜだか人気が出ちゃったんだなあ。これが「サヴァイヴァー」か「誘惑の島」なら、雑誌で特集されるのは当然参加者なのだが、「ブート・キャンプ」に限っては、この番組を特集する記事に登場するのは、なぜだかいつもこの4人の教官なのだ。でも、それもわからないではない。とにかくこの4人の印象が参加者より強烈なのだ。画面に映る時間も彼らの方が参加者よりもずっと多い。おかげでこの4人は、今では一時的にセレブリティの仲間入りである。
私は全8回のこの番組の3回まで見たのだが、3回目ではやっとというか、案の定というか、メイヤーが追放された。当然でしょう。本当ならこの時彼が道連れにするもう一人を選ぶはずだったのだが、この回ではなんとトムソンがドクター・ストップでリタイアになってしまった。彼は第1回のマイル走ですら息も絶え絶えだったからな。しかしそれを言うなら、そのマイル走に皆の倍以上の時間がかかり、最後は泣きながらゴール・インしていたハーが最初の回で追放されなかったというのも、パワー・ゲームの面白さと言うか、不可思議なところである。あれだけ努力しているというところを見せられると、やはり情けをかけちゃうんだよなあ。
これが番組も押し詰まってくるとそうも言ってられなくなるんだろうが、最初からあまり人非人に徹すると、逆に嫌われて自分が飛ばされかねない。そうは言ってもハーはちゃんと2回目では追放されたんだけどね。さて、「ブート・キャンプ」で優勝するのは誰か。私は最初からシリアスに優勝を狙っているというウルフと、女性陣ではリーダーシップをとっているブラウンが最も可能性が高いと見る。理由はないがブラウンという気がする。まあ、私の予想はいつも外れますが。
追記 (2001年5月):
「ブート・キャンプ」最後の2回は、最後に残った二人 -- ウルフとウィスロウ -- による、「ガントレット」と命名された1対1の勝負が放送された。単純な長距離走から記憶力を競うものまで、48時間に7種の精神的肉体的限界に挑戦する試練が二人に課され、一つ勝つごとに勝った方に一個ずつのドッグ・タッグ (認識票) が与えられる。ガントレットが終わった後、最後の投票になり、今度は番組の後半戦まで残った6人が一人一人自分のドッグ・タッグを優勝に値すると思う者に与える。全13個のドッグ・タッグのうち、最終的に多くのドッグ・タッグを獲得した者の勝ちだ。
しかしガントレットでは、7種目のうちなんと6種目でウルフが勝ってしまう。ウィスロウは‥‥気の方が焦ってしまって、体力勝負では男性のウルフの方に分があるとはいえ、記憶力勝負でも焦りからミスを連発してしまった。これでウルフはその後の6人による投票のうち、たった一人でもウルフに投票すれば勝ちだ。こりゃもうほとんど勝負は決まったか。
そしたらこれからが面白いというか意外な展開になるのだが、ガントレットで負け続けても根性だけは見せるウィスロウに6人が同情して、あるいは展開を面白くしようとして、ことごとくウィスロウに投票する。特に途中のブラウンのスピーチは、その後に投票する者の選択を大きく左右したような気がする。結局最後に投票するヤニーを残して、ついに勝負は6対6のタイに。そしてなんとヤニーまでウィスロウに投票し、彼女の劇的な逆転優勝ということで番組は幕を閉じた。まさかウルフも6人全員がウィスロウに投票するとは思ってもいなかっただろう。思うに、彼はガントレットであまりにもウィスロウに差をつけ過ぎた。そのため、同情票と番組を面白くしようとする思惑が、最後の投票で逆に彼女に票を集めることになってしまったと言えるだろう。
さて、この「ブート・キャンプ」、番組の構成自体は「サヴァイヴァー」によく似ているというのは上にも書いた通りだが、「サヴァイヴァー」のプロデューサーが、「ブート・キャンプ」は「サヴァイヴァー」の剽窃だとして番組を訴えた。最近のリアリティ・ショウ関係の訴訟沙汰は、参加者が番組を訴えるものから番組同士の訴訟まで、とにかく引きも切らない。実は昨年暮れにも、CBSが企画していたリアリティ・ショウがFOXが企画中のリアリティ・ショウ「レース・アラウンド・ザ・ワールド (Race Around the World)」にそっくりだということで、FOXがCBSを相手取って先に訴えていたという経緯がある。
今回のCBSによる訴訟は、その時の意趣返しという意味も大きい。FOXは、現在「サヴァイヴァー」元参加者のステイシーが番組はヤラセだったとして「サヴァイヴァー」プロデューサーを訴えていることを挙げ、「ブート・キャンプ」はヤラセではないとか、CBSの態度は寡占であり独禁法に違反しているとか、一時CBSの「シカゴ・ホープ」とNBCの「ER」という似たような医療ドラマがまったく同じ時期に始まったことを挙げ、似たような番組が同時に編成されるということは有りうる、などととにかく思いつく限りの理屈をこねて反論している。
まったくどっちもどっちだ。本当にガキの喧嘩だね。私の印象から言うと、「ブート・キャンプ」が「サヴァイヴァー」から基本的なアイディアを拝借しているのはまず間違いないところだが、別にいいじゃないかそれくらい。これでもっと面白い番組が出てくるなら、視聴者の立場から言えば願ったり叶ったりだ。しかし「サヴァイヴァー」製作者から見れば、自分らの番組の真似をした番組がもしかしてもっと人気が出たりしたらなんてことを考えると、とにかく悪い芽は早いうちに摘み取るに限るとでも思ってるんだろう。いずれにしても「ブート・キャンプ」はまだ第2弾製作の発表はないが、若者視聴者層に受けたことを考えると、ほぼ7-3の確率で第2弾も製作される可能性が大きいと私は見ている。裁判で負けない限り。
