ボディガード (Bodyguard) 

提供: Netflix 

プレミア提供日: 10/24/2018 (Wed)  

製作: ワールド・プロダクションズ 

製作総指揮: サイモン・ヒース、ジェド・マーキュリオ 

クリエイター/脚本: ジェド・マーキュリオ 

出演: リチャード・マッデン (デイヴィッド・バド)、キーリー・ホーズ (ジュリア・モンタギュー)、ソフィ・ランドル (ヴィッキー・バド) 

  

物語: 中東での戦闘経験もある元軍人のデイヴィッドは、別居中の妻ヴィッキーの元に二人の子供を連れて行く途中、列車内で不穏な動きを察知、テロリスト行為を未然に防ぐことに成功する。デイヴィッドは功績を認められて政府要人のモンタギューのボディガードに抜擢される。とはいえ、デイヴィッドにとってはこれも単に職務の一つであり、与えられた仕事は黙々と遂行するだけだった。一方、私生活ではデイヴィッドは別居中の妻ヴィッキーとまだ縒りを戻したいと思っているが、ヴィッキーにはその気はない。さらにデイヴィッドには戦争時のPTSDがあるなど、必ずしも心身すべて万全というわけではなかった‥‥


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Bodyguard


ボディガード  ★★★1/2

「ボディガード」、どうするか迷ったのだ。基本的にNetflix作品は世界同時提供であるため、当然これも日本でも既に提供済みだ。その上、さらに「ボディガード」は英BBCとの共同製作、というかBBC主導の製作であるため、既に夏にBBC Oneで放送済みだ。別にアメリカにいなければ見れないというわけじゃない。 

 

とはいうものの、この手のサスペンス・ミステリに目がない私としては、非常に気になる。一方、amazonが提供している「ジャック・ライアン (Jack Ryan)」も同様に気になっており、せめてどちらか一本だけでも見たい。こちらも既に世界提供済みであり、どうしよう、どっちか、と思い、僅かだが評価がこちらの方が高かった「ボディガード」に決める。 

 

見始めてすぐ、これがNetflixでよかった、と思う。というのも、アメリカ英語に慣れた私の場合、本家の英語はいまだにヒアリングに問題があって、よく聞きとれない。最初、列車内のデイヴィッドが喋る言葉がほとんど聞きとれず、なんか、Netflixの設定間違えてフランス語かドイツ語かの吹き替え版をストリーミングしているのかと思った。キャプション設定をオンにして、やっと彼が英語を喋っているのを理解する。思わず、お前の英語、訛っているぞと言いたくなる。TVやNetflixだと、画面にキャプションが出せるので本当にありがたい。 

 

さて、列車をテロリズムの対象にするというのは、近年では珍しいことではない。特に、アメリカ人青年がパリに向かう列車の中でテロリストを阻止した事件、それを映画化したクリント・イーストウッドの「15時17分、パリ行き (The 15:17 to Paris)」によって、列車内でテロを企むという冒頭のプロットにはかなり説得力があり、思わず手に汗握る。 

 

そのテロを未然に防いだのが主人公のデイヴィッドで、アフガン従軍の経験があるデイヴィッドは、現在警察で奉職していたが、その功績が認められて、タカ派の政府要人のジュリア・モンタギューのボディガードに任命される。上司からこれは昇進だと言われても、デイヴィッドにとってはただ職務を忠実に遂行するだけのことだった。 

 

職務においてはストイックに取り組み、非常に優れた能力を発揮するデイヴィッドだったが、実は私生活においてはすべてがうまく行っているわけではなかった。別居中の妻ヴィッキーと、彼女が養育している二人の子供には、折りを見て会いに行っている。実際、冒頭の列車内での事件は、デイヴィッドがヴィッキーの元に子どもたちを送り届ける最中の出来事だった。 

 

デイヴィッドはヴィッキーをまだ愛している、というか未練を持っており、できれば復縁したいが、ヴィッキーにはもう既にその気はない。それで時々未練たらたら電話して、ただお喋りがしたいだけだと言っても、ヴィッキーにすげなく電話を切られる。デイヴィッドがストーカーとして犯罪者になるまでは、もうあと数歩のところに来ている。 

 

私は、家族と仕事関係以外の予告なしの電話は暴力だと思っているので、ヴィッキーの気持ちがよくわかる。特に近年は、ロボ・コールによるセールス・コールには非常に頭に来ているので、TPOをわきまえずに電話してくるやつには、本気で腹が立つ。一度、まったくデイヴィッドと同じように、こちらの事情も考えずに電話してきたやつに、ただ声が聞きたいというだけで電話しちゃだめなの、と言われたことがあるが、もちろんだ、と怒鳴り返したいのを必死でこらえた。オレはあんたの無二の友人でも保護者でもない。そういうやつに限って、つまらないことを延々とだらだら話す。こっちはそうそう暇じゃないのだ。 

 

脱線したが、デイヴィッドのそういう一徹なところが仕事の面で長所として出てくると、有能なセキュリティ・オフィサー、もしくはボディガードとなる。一方で、戦争のPTSDから完全に回復したわけではなく、思いつめやすいデイヴィッドは、サイコロが裏目に出ると、ヤバそうでもある。その感じがぴりぴりと伝わってくる。デイヴィッドはいつか切れるんじゃないかという危うい雰囲気が濃厚にする。 


アクションとしては第2回のトラック・テロや狙撃事件は、近年のTVでは白眉と言えるテンションで、その後もいかにも英国スリラーという感じで裏切りや陰謀が渦巻き、誰を信頼すればいいのか次の犠牲者は誰かと、息もつかせない。特に最終回は自爆ヴェストを着せられたデイヴィッドの一挙手一投足から目が離せず、緊張を強いられる。番組が誉められているのもわかる。

 










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