ブラインドスポット   Blindspot

放送局: NBC

プレミア放送日: 9/21/2015 (Mon) 22:00-23:00

製作: バーランティ・プロダクションズ、ワーナー・ブラザーズTV

製作総指揮: マーティン・ゲロ

出演: ジェイミー・アレグザンダー (ジェイン・ドー)、サリヴァン・ステイプルトン (カート・ウェラー)、マリアン・ジャン-バプティスト (ベサニー・メイフェア)、ロブ・ブラウン (エドガー・リード)、オードリー・エスパーザ (タッシャ・ザパタ)、


物語: ニューヨークのタイムズ・スクエアに、人間も入るくらいの大きなダッフル・バッグが置き去りにされているのが発見される。しかし、誰が、いつ、なぜ、どのように、誰にも見咎められず、セキュリティ・カメラ網をかいくぐってそのようなことをしたのか、できたのか、謎だった。爆弾や危険物の可能性があるため、人払いをした深夜、防護服に身を包んだ処理班の男がバッグの中身を確認しようとすると、突然何かが動き出し、中から人間、成人女性が姿を現す。彼女は一糸まとわない身体の隅々にまでタトゥーを施されていた上、記憶を失っていた。背中にFBIのカート・ウェラーの名が彫り込まれていたため、ウェラーが呼ばれるが、しかしウェラーにはこの女性の記憶はなかった。果たして彼女はいったい何者なのか、全身に彫り込まれたタトゥーは何を意味するのか‥‥


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Blindspot


ブラインドスポット  ★★★

実はNBCが夏中派手に宣伝していた「ブラインドスポット」の番宣コマーシャルのアクション・シーンはあまりできがいいと言えるものではなく、なんでこんなシーンを使うかな、これじゃまったくそそられないと思っていた。

しかしある時突然、ニューヨークの中心地タイムズ・スクエアに、正体の知れないダッフル・バッグが置き去りにされ、中から記憶をなくし、全身にタトゥーを彫られた女性が現れるという設定は、気になるのは事実だった。

タイムズ・スクエアでロケするというのは、たとえそれがどんな番組、映画であろうとも、製作者にとってはやってみたくなるというのはあろう。ニューヨークが舞台となれば多かれ少なかれそうだろうし、特にそれがNBCの
「スマッシュ (Smash)」やFOXの「グリー (Glee)」みたいなパフォーマンスものだったりするとなおさらで、共に印象的なタイムズ・スクエアでの屋外撮影シーンがあった。映画なら、最近なら「バードマン (Birdman)」がすぐに思い浮かぶ。

ブロードウェイ関係でなくとも、ごく最近ではUSAの
「ミスター・ロボット (Mr. Robot)」やMTVの「ミドル・オブ・ザ・ナイト・ショウ (Middle of the Night Show)」ではタイムズ・スクエアという場所が密接に内容と関係していたりする。さらにいったいどれだけの番組がニューヨークを舞台にしているかということを考えると、タイムズ・スクエアをTVで目にしない日はないというくらいのもんだ。

一方、その逆に、24時間人出の絶えることのない、世界の中心地とすら言えるタイムズ・スクエアで、群衆をバックに撮るのではなく、その群衆を消して、人っ子一人いないタイムズ・スクエアを撮れないものだろうかという真逆のアイディアは、倒錯的な魅力がある。

実際にそれをやって見せたのが、トム・クルーズが主演した「バニラ・スカイ (Vanilla Sky)」で、いまだにこのタイムズ・スクエアの人払いシーンを最もよく覚えている。視覚的に強烈な印象を残すのは間違いない。ブリティッシュ・エアウェイズの、あまりにも航空運賃が安いので人がヴァカンスに出かけてしまい、ロンドンに人がいなくなってしまったというコマーシャルも、同様に印象に残っている。

人がいるべき場所に誰もいないという映像は、人がいるべきでない場所に誰かがいるという映像と同じくらいか、それ以上に目に残る。というわけで、やはり「ブラインドスポット」の第1回、このタイムズ・スクエアの人払いシーンだけはとにかく見てみなくてはと思ったのだった。

日中人混みのタイムズ・スクエアで、大型のダッフル・バッグが見つかる。中に何が入っているのか皆目見当もつかないため、最も人足の落ちる深夜まで待って、危険物処理班が事に当たる。

これだけ大掛かりな撮影でTVだからな、もしかしてCGでごまかすという可能性もなきにしもあらずと思っていたのだが、これはちゃんと現地で撮っている。感心した。後でプロデューサーのインタヴュウを読むと、タイムズ・スクエアに人っ子一人いないというシチュエイションを撮ってみたくてたまらなかったんだ、みたいなことを言っていた。やっぱり。

その、バッグの中から現れたジェイン・ドー (日本風に言えば名無しの権兵衛さん) は、記憶を完全に失っていた上、身体中にタトゥーが彫られていた。しかもその後の検査で、この記憶喪失は、薬による人為的なものであることがわかる。いったい、誰が、なんのために? 背中には人の名前が彫られており、その男、FBIのカート・ウェラーが呼ばれるが、彼はこの女性に面識はなかった。

しかし彼女は耳の後ろに彫られていた中国語を解することができた。それは住所と日付けで、それからチャイナタウンに住む中国人がテロを企てていることが発覚する。果たしてジェインとウェラーは無事テロを阻止することができるか、という風にストーリーは展開する。


どうやら、彼女の全身に彫り込まれているタトゥーは、テロや犯罪を未然に防ぐ意味があるようなのだ。しかし、なぜ、どうしてそれがわかるのか。なぜ彼女はその仲介役として選ばれたのか。かつてのABCの「ロスト (Lost)」とはまた異なるスタイルで、謎が謎を呼ぶというストーリーが展開する。


プレミア・エピソードの最後では、ジェインに薬を注射して人為的に記憶を失くさせたのは、誰あろう彼女自身であったことが明らかになる。また、咄嗟にアクションに反応し、格闘する戦闘スタイルから、どうやら彼女は海兵隊のSWATと関係がありそうだということもわかる。とはいえそれらはまだまだ謎を解明する糸口に過ぎず、はっきり言ってほとんどまだ何もわかっていないに等しい。


私が「ブラインドスポット」を見て思い出したのは、実は手塚治虫の「どろろ」で、百鬼丸が怪物を一人倒すと作り物の身体のパーツが本当に生えてきたみたいに、ジェインがテロ一味の企みを一つ潰す毎にタトゥーが一つずつ消えて行き、全部の悪企みを解決すると、身体からタトゥーが消えてなくなるというものだ。当然最後の大物は背中に大きく彫られているカート・ウェラーということになるわけだが、今のところどうやら、タトゥーを元に問題を一つ解決しても、タトゥーは自動消滅するわけではないらしい。考えたらそんなことあるわけないか。












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