放送局: CBS
プレミア放送日: 7/5/2000 (Wed) 21:00-22:00
製作: エンデモル・エンタテインメント
製作総指揮: ポール・ロメール、ダグラス・ロス
共同製作総指揮: グレッグ・ステュワート、J. ルパート・トンプソン、キャスリーン・フレンチ
クリエイター: ジョン・デ・モル
製作: ドン・ウォルマン、ジョン・カリッシュ
監督: テリー・ドノヒュー
ホスト: ジュリー・チェン
フィールド・レポーター: イアン・オマーリー
アナウンサー: デイヴ・ウォルシュ
参加者:
ウィリアム (青少年カウンセラー、27歳)
カーティス(弁護士、28歳)
カレン(政治家秘書、43歳)
ブリタニー(セールス・レプリゼンタティヴ、25歳)
エディ(学生、21歳)
カサンドラ(国連職員、27歳)
ジョーダン(学生、27歳)
ジョッシュ(学生、23歳)
ジェイミー(セールス・レプリゼンタティヴ、23歳)
ジョージ(左官業、41歳)
左からウィリアム、ブリタニー、エディ、カレン、カーティス、ジョーダン、ジョージ、カサンドラ、ジョッシュ、ジェイミー
内容: カリフォルニア州スタジオ・シティのCBSの敷地内に特設家屋を建て、その中で全米各地から選ばれた男女10人の参加者を7月5日から9月30日までのほぼ100日間にわたって生活させる。彼らの毎日の生活は28台のカメラ(一部隠しカメラ)と60本のマイクにより、一部始終が録画される。建物に囲まれた中庭以外には外に出ることも外部と接触することも許されない。隔週毎に参加者が追放したい2名を選び出し、2人の中から実際に追放される参加者をTV視聴者が電話やインターネットを使用した投票で決定する。最後まで残った優勝者が賞金50万ドルを獲得する。
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オランダで大ヒットを記録したゲーム/リアリティ・ショウ「ビッグ・ブラザー」の噂は、遠くアメリカまで聞こえていた。見ず知らずの赤の他人10人を1軒の特設家屋の中に閉じ込め、外部と完全に接触を絶った中での勝ち抜きゲームで、最後まで残ったものが多額の賞金を獲得するというその番組は、オランダ中を熱狂させたヒット番組となったらしい。既にドイツ、スペインでも現地版が製作/放送され、人気番組となっている。オランダでは昨年9月から始まり、優勝者が決まった12月30日に放送された最終回は、記録的な視聴率を上げたそうだ。因みにこの視聴率は年間第2位の記録で、1位はコソボ戦争勃発時のニュース放送である。
さて、その番組のアメリカで製作して放送する権利を、今「サヴァイヴァー」人気で波に乗るCBSが買い取り、「サヴァイヴァー」の後に続く人気番組に仕立て上げようと目論んだ。それがこのアメリカ版「ビッグ・ブラザー」である。基本的に内容はオランダ版オリジナルとほとんど同じ。違う点といえば、アメリカらしく参加者の人種が多岐にわたっているということくらいか。流石にオランダ版ではアジア系なんていなかっただろう。
その内容は、とにかく、参加者の毎日の生活の一部始終、1日24時間をもれなく記録し、隔週毎に脱落者(追放者)を決め、最後に残った者が勝ちというものである。バス・ルームの中にまでカメラが設置され、参加者は決められた時間以外の時間にシャワーを浴びるならば、そのシーンを撮られることを覚悟しなければならない。寝室も消灯後はカメラは赤外線カメラに切り替わり、暗がりで何か企もうとしても駄目である。オランダ版では番組収録中にできあがったカップルのベッド・シーンまで映していた。アメリカ版でもそういう事件が起きるかは予測できないが、とにかく何かハプニングが起きることだけは確実である。
ホストを担当しているのは、朝のニュース/ヴァラエティ番組「アーリー・ショウ」のアンカー、ジェリー・チェン。実は一応は名前の通ったニュース・キャスターであるチェンがこのようなリアリティ・ショウのホストを担当することに対し、結構反対の声が多かった。どんどん事実と虚構の境目が曖昧になり、報道の価値が危うくなるのでは、という懸念があちらこちらから聞こえた。チェンは毎回登場するわけではないが、隔週毎に追放者を決める段では、通常は毎日の記録のダイジェスト版放送が生放送となり、チェンがホストとなって追放者が決まる瞬間のその生の反応をとらえるという筋書きになっている。
番組は基本的に毎日放送という建前だが、実際は週5日放送になったり週6日放送になったりしている。私はプレミアとその後に放送された数回をちらちらとしか見ていないのだが、まず、最初の回が参加者の紹介だけで終わってしまってがっかりした。追放者を決めるのは隔週毎と最初から説明されており、「サヴァイヴァー」のようにプレミアから誰かが追放されるような急激な場面展開やドラマがあるとは思っていなかったけど、実際の番組(共同生活の模様)が全然始まらなかったので、なんか騙されたような気がした。もちろん「ビッグ・ブラザー」はほぼ毎日放送であり、週一の「サヴァイヴァー」と単純に比較はできないが、もうちょっとテンポよく進んでいかないかと思った。しかし、毎日の赤の他人の生の私生活の覗き見というのは、こういうゆっくりとしたテンポの方がいいのかも知れない。はまるとこういう日常のようなリズムがしっくり来るのかも。
また、「サヴァイヴァー」では、明らかに誰が見ても美人とか可愛い、あるいはハンサムとか格好いいとか言える参加者がいたが、なぜだか「ビッグ・ブラザー」ではそういう参加者がいないのも、私にとっては今一つ本気で見る気になれないマイナス材料である。ミス・ワシントンに選ばれたとかいうジェイミーって、嘘だろう、まさか、あれで?としか思えなかったのだが、これは私の美的感覚の問題か、それともワシントン州のミス・コンの審査官の審美観の問題か。私が少しは気になったのは、片足のないエディ、ウォール街で働いているという唯一のアジア系のカーティス、とにかく派手好きのブリタニーくらいだが、前回「サヴァイヴァー」でした優勝予想がことごとく外れているので、今回は予想するのはやめておこう。でも上記3人はいい線行くと思うよ、うん。
「サヴァイヴァー」人気にあやかりたい「ビッグ・ブラザー」ではあるが、放送開始後一と月間の視聴率を見る限り、「サヴァイヴァー」並みの人気を得ているとは言い難い。「サヴァイヴァー」直後に編成されたプレミアは、「サヴァイヴァー」人気におんぶしてあっと驚く高視聴率を獲得したが、その後はじり貧である。ただし、この文章を書いている8月上旬現在、最初の追放者ウィリアム、次の追放者ジョーダンが決まった7月後半辺りからまたじりじりと盛り返しており、予断は許さない。因みにオリジナルのオランダ版でも、最初の追放者が決まった辺りから段々視聴率が上向きとなり、最後の一と月で爆発的に話題となったらしいから、アメリカ版も似たような動きをする可能性は充分にある。私もなにもわざわざ「サヴァイヴァー」があるのにまた似たような勝ち抜きゲームを編成しなくても、と思っていたのだが、でもやはり、優勝者が絞られてくる段階になったらついつい見ちゃうような気がする。
ABCの「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」、CBSの「サヴァイヴァー」とこの「ビッグ・ブラザー」に追いつき追い越せとばかりに、現在のアメリカの放送界はかつてないリアリティ・ショウのブームとなっている。今日もオフィスから帰る時に、サブウェイのホームにFOXが製作する新リアリティ・ショウの参加者を募集する張り紙があちこちにべたべたと貼られてあった。
つらつら読んでみるに、参加者の資格は未婚、子供がなく、同居者がいないカップルということとなっていた。「テンプテイション-- 誘惑」というタイトルになっていたことから考えるに、これも同様の勝ち抜きゲームであるらしい。この秋から来年春まで、既に十指に余る新リアリティ・ショウの製作が発表になっているというのに、またまた新しいリアリティ・ショウか‥‥最初は目新しくてよかったけど、週何本も同工異曲のリアリティ・ショウが編成されたら、視聴者も飽きるんじゃないかなあ。既にその兆候は現れていると思うけど。
追記(2000年10月):
さて、「サヴァイヴァー」に追い付き追い越せるかと注目を浴びた「ビッグ・ブラザー」であるが、CBSの意に反して番組はいっこうに盛り上がらないまま続き、なんとそのまま約100日後に最終回を迎えてしまった。それでも私は最終回くらい見ようと思っていたのだが、折り悪く日本への帰省時期と重なり、見そびれた。アメリカに戻ってきてからも、「ビッグ・ブラザー」の余韻はどこにも残ってなく、結局、今回に限っては私の予想通りエディが勝ったらしいのだが、誰も話題にしないのでなんかつまらない。ちぇっ、滅多に当たらない私の予想が当たったというのに。
要するに、「ビッグ・ブラザー」は話題作りには完全に失敗したわけだが、それでも再放送ばかりで視聴率ががくんと沈む夏場にあっては、それなりに健闘していると言える数字を稼ぎ出した。そのためCBSは、番組がほとんどマスコミから無視されたのにもかかわらず、来夏また続編を製作すると発表している。はっきり言って、これはうまい考えだ。基本的にこの種のリアリティ・ショウは製作費がかからない。今回のセットはCBSの敷地内に建っており、一度建てたら今後番組製作にかかる費用はほとんどないと言っていい。出演者は自分から競って番組に出ると言っている奇特な奴等ばっかりでギャラはただみたいなもんだし、その上結構なCMのスポット料が稼げるのだ。視聴率が低いといっても他の再放送番組に較べれば高いわけだし、楽して金が転がり込む仕掛けになっているのである。どうしよう。今回最終回見そびれたから次回は見てみようかなー。
