放送局: WB (シンジケーション)
プレミア放送日: 9/16/2002 (Mon) 13:00-13:30
製作: ファイアワークス・ピクチュアズ、カミング・アップ・ローゼス、トリビューン・エンタテインメント
ホスト: ジェイムズ・ヴァン・プラーグ
内容: 死者の霊と話ができる霊媒としてつとに知られているジェイムズ・ヴァン・プラーグがホストの心霊トーク・ショウ。スタジオに一般観客を招き、故人となった親類知人の霊と交信したり、プラーグが全米に飛んで霊と交信する模様等をとらえる。
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とにかく人が見さえする番組であるならばどんな番組であろうとも製作されるアメリカTV界においては、時に本当に突拍子もない番組が登場する。最近ではその筆頭に挙げられるのが「クロッシング・オーヴァー・ウィズ・ジョン・エドワード (Crossing Over with John Edward)」という番組であろう。この番組、自称霊媒のジョン・エドワードがスタジオに招いた一般観客を前に、なんと既に亡くなった人物と霊界通信を行ってコミュニケーションを図ろうとするという、前代未聞の番組である。もちろん冗談ではなく、本気でやるのだ。最初、SF番組専門のケーブル・チャンネルSci-Fiで放送され、口コミで噂が広まり、シンジケーション番組として地上波で放送されるまでになった。
そしたらそれにあやかってかどうかは知らないが、今度はペットと会話ができるというこれまた自称超能力者が、ペットの言いたいことを飼い主に伝えてあげるという「ペット・サイキック (Pet Psychic)」という番組が、アニマル・プラネットというケーブル・チャンネルに登場した。これまた無垢な視聴者を騙して? それなりの人気番組になっている。
これらの番組に共通しているのが、やる方はともかく (私の意見では彼らはビジネスと割り切ってこういう番組を製作しているように思える)、スタジオに集まる観客やTVを見る視聴者は、わりとマジで見ているということである。最初は大マジでやってるふりをして逆受けを狙うギャグ・ヴァラエティ・ショウかとも思っていたんだが、「クロッシング・オーヴァー」を見て本当の本当にマジにやっているのを見て、なんか、気持ち悪くなった。こういうのって、まだ限られた、あまり人に知られていないサークルの中で秘密裏にやっているのなら逆に信憑性もあるかとも思うのだが、ホスト兼霊媒がスタジオの中央に出てきて、いきなり霊と交信し出したりなんかしたら、私にとっては胡散臭い番組以外の何ものにも見えない。
こういう番組が成功している唯一の理由は、どうしても死んでしまった者とコンタクトをとりたい者、どうしても自分のペットが何を感じているか知りたい者が結構大勢いるからなんだろう。しかもそういう人たちの思いは結構切実に見える。さもなければ常識で考えて、あなたの死んだ父はいまだにあなたのそばにいてあなたのことを見守っている、とか、あなたの可愛い猫チンが最近元気がないのは、新しいキャット・フードが気に入らないからです、というホストの言葉をふんふんと真面目に聞く気になんか到底ならないだろう。
ところがスタジオにいる者たちは、感動のあまり涙を流しながらこういう霊媒や超能力者の言うことを聞いているのだ。そして今「ビヨンド」である。一応サイキックとしては「クロッシング・オーヴァー」のジョン・エドワードよりも年季の入っているジェイムズ・ヴァン・プラーグは、実際に有名な霊媒である。本当に霊の力を借りて刑事事件解決に尽力したことがあるそうで、それらの事例は何冊もある彼の著作に述べられている。今春にはCBSで彼のドキュドラマ「リヴィング・ウィズ・ザ・デッド (Living with the Dead)」というミニシリーズが放送され、わりといい視聴率をとっていた。因みにその時プラーグを演じたのはテッド・ダンソンで、実生活でのダンソンの奥さんであるメアリ・スティーンバージェンやジャック・パランスも出ていた。番組としては、やはり本職の俳優であるダンソンは本物よりも何倍も格好よい。実物のプラーグは小太りで童顔、早口の、はっきり言ってどこにでもいるような、道ですれ違ったとしてもまったく記憶に残らないタイプの外見である。
いずれにしても、そういうドラマ仕立ての番組だと、いかにもお話という感じになるから、こちらも気にならないし、わりと面白いと思いながら見ていられる。しかし、これが本人が観衆の目前に出てきて、指名された観客のそばに立っている (とプラーグは言っている) 霊が手を振って合図をしている、なんてことを言っているのを実地に見聞すると、こちらとしては面食らうだけである。私は完全にプラグマティックな人間であるので、自分自身の目に見えないものは、たとえ誰がなんと言おうと信じる気になんか到底なれない。
しかし、こういうスタジオにわざわざ自分から足を運んできた聴衆は、もう最初から彼がなんと言おうと信じる気でいるみたいで、番組が始まって数分で、あなたの死んだ祖母は‥‥とか、死んだ義理の妹さんは‥‥なんてことをプラーグが言い始めた途端、もう目が潤んでハンカチを手にしているのだ。私は呆気にとられてしまった。これって詐欺じゃないのか。なんか、街角で5ドルで未来を占いますと看板を出している、ぼったくりのいかさま霊媒より性質が悪いような気がする。あるいは観客までぐるになったやらせか? こういう番組がいくつも編成され、どれもそれなりに視聴率を稼いでいるのを見ると、皆、何か信じるものを求めているのか、あるいはこれまでとは異なる娯楽に飢えているのか、判断に迷う。できれば視聴者は単純に新種の娯楽としてこの種の番組を見ていると考える方が、私には気が楽だ。
