放送局: CBS

プレミア放送日: 10/11/2000 (Wed) 20:00-20:30

製作: ミス・M・プロダクションズ、D・トレイン・プロダクションズ、CBSプロダクションズ

製作総指揮: ジェフリー・レイン、ボニー・ブラックハイマー、ベット・ミドラー、アンドリュー・ワイマン

監督: アンドリュー・ワイマン

脚本: ジェフリー・レイン

撮影: ギル・ハブス

編集: マルコ・ザッピア

音楽: アルフ・クローセン

出演: ベット・ミドラー(ベット)、ジョアンナ・グリーソン(コニー)、ケヴィン・ダン(ロイ)、ジェイムス・ドレイファス(オスカー)、リンジー・ローアン(ローズ)、マルコ・グールド(ハービー)


物語: ベットはゲスト出演した「JAG」での好演が認められ、TV界の表彰式でベスト・ゲスト・パフォーマンス賞を受賞することに。しかしベットは大喜びのあまり、受賞スピーチで自分の夫のロイに感謝の意を表明することを忘れてしまう。夜中にいきなりそのことを思い出し、ロイを叩き起こして怒ってないかを確認するが、怒ってないというロイをよそに、ベットは勝手に機嫌を損ねていると決めつけてご機嫌とりに終始する。ロイが教えている大学の授業中にまでお邪魔して愛想を振りまくベットだったが、そういうベットに慣れているロイはてんで相手にならない。一方、ベットはゲスト・パフォーマンス賞じゃなく、もっと大きい賞が欲しいとその筋に訴え、ちょうど今年最も活躍した女優に与える「ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞」がまだ空いていると聞いて、名乗りを上げるが‥‥


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今シーズン始まった30分枠のシットコムは、ベット・ミドラー主演の「ベット (Bette)」、ジーナ・デイヴィス主演の「ジーナ・デイヴィス・ショウ (Geena Davis Show)」、ゲイブリエル・バーンの「マディガン・メン (Madigan Men)」という、映画界のスターという、世界的に知名度のある俳優を主演に起用した番組が3本も並んだところに特色があった。これ以外にも、ジョン・グッドマンの「ノーマル、オハイオ (Normal, Ohio)」なんてのもある。


基本的に、映画俳優はTV番組には出ない。もちろん、「フレンズ」に出たジュリア・ロバーツや「マッド・アバウト・ユー」の常連だったブルース・ウィリスのように、ゲスト出演としてTVに顔を出すというのはよくあることではあるが、レギュラー出演したり、自分の番組を持つというのは滅多にない。それはもちろん、基本的にアメリカ国内向けのTV番組より、世界を視野に入れている映画の方が格が上だからであり、映画スターがTV番組に出たりすると、人気が落ちてきたことを自ら証明しているようなものだからである。それとは逆に、TVで人気が出ると、皆先を争って映画に出る。出演者の全員が映画スターを狙っている(が、これまでは成功しているとは言い難い)「フレンズ」の面々や、「マッド・アバウト・ユー」以降、完全に映画スターの仲間入りを果たしてTVには出なくなったヘレン・ハントなんていい例である。


ベット・ミドラーの主演する「ベット」は、今シーズンのそれらの映画界出身のスターによるシットコムの中では、最も注目されていた。ミドラーは日本ではそれほど知名度が高いとは言えないかも知れないが、デイヴィス、バーン、グッドマンあたりと較べると、やはり一枚格上である。ジョニー・カーソンがホストを担当していた、アメリカで最も人気のあった長寿深夜トーク番組「トゥナイト」の最終回の最後のゲストがミドラーだったということでも、彼女の人気、実力のほどが知れる。現在はコメディエンヌとして知られているミドラーであるが、若い頃はシリアスな役柄も多く、現在でも歌って踊れる、なんでもこなせるマルチ・タレントとして評価が高い。私は若い頃、「ローズ」を見て大層感激した口だが、そのミドラーが、いざアメリカに来ると大口開けてがはがは笑うお笑いタレントでもあるということを知って、結構衝撃を受けたものだ。


実は、ミドラーが自分のシットコムを持つ、という話は昨年からあった。いや、2、3年前から話自体はあったといってもいい。そういう話が出るたびに、すわ、ミドラーTV出演か、という記事が業界紙を賑わせていた。要するに、彼女のTV出演は、やはりアメリカのマスコミにとっては一大事だったのである。今シーズン、最も注目を集めたシットコムであるのもむべなるかなで、プレミア放送時前後の様々な媒体の彼女への注目度は非常に高かった。ミドラー自身も注目されていることをはっきりと自覚しており、また、映画で主役を演じることができなくなったためにTVに衣装替えをしたと言われることも覚悟していた。本人は、「TVも悪くないものよ。また違う世界で頑張ってみる」と言っていたが、そういう発言こそが、やはりTVは下に見られてるんだなと改めて思わせてくれた。


「ベット」でミドラーが扮するのは、実生活同様の、(落ち目になりかかった) やや脅迫神経症的な女優兼歌手兼主婦という設定で、教授である夫と13歳の娘がいる。半自伝的な要素が強く、つまり業界の楽屋落ち的なギャグが多いのが特徴。私が見逃したプレミアでは、デニー・デヴィートがTVシリーズを企画していて、その中でミドラーを自分の母親役としてキャスティングしたいと考えているのを、それを聞いたらミドラーが激怒するのは間違いないと恐怖した周囲の者たちが必死でそのことを本人に隠そうとする、という完全な内輪ギャグとなっている。


私が見た回でも、大ヒットした自分の持ち歌である「ウィンド・ビニース・マイ・ウィングス (Wind Beneath My Wings)」をギャグとして使用したり、同じCBSで放送されている「犯罪捜査官ネイビーファイル (JAG)」(元々は若者の視聴者の多いNBCで放送されていたのだが、意外にも高齢者層に人気が出たため、平均視聴者年齢層の高いCBSに移ってきたという変わり者番組である)をパロったりしている。もちろんそのため、彼女の持ち歌を知らなかったり、「ネイビーファイル」を見たことがなければ面白くも何ともない。アメリカでは大スターであるミドラーの経歴を知らない視聴者はまずいないし、私も番組内でいきなりミドラーが「ウィンド‥‥」を歌い出して自分で自分をパロった時は、うひょー、ここまでやるか、この番組に賭けてるなあと、感心しながらもやはり笑ってしまったが、海外では難しいだろうなあ。


夫のロイに扮するのはケヴィン・ダン。色んなところにちょい役で出ており、今回パロディネタにされた「ネイビーファイル」にもゲスト出演したことがある。彼も絡んでパロディにしたら一層おかしかっただろうにと思うが、いくらなんでも数年前のゲスト出演までは視聴者は覚えてないか。私も資料を見るまでは全然知らなかったし。娘のローズには、プレミアと2回目は「ファミリー・ゲーム (The Parent Trap)」のリンジー・ローハンが演じていたが、3回目から新人のマリナ・マロタに代わった。なんでも最初の方だけはニューヨークで撮影したが、3回目からの撮影はLAに移動したため、ニューヨークを生活の拠点としているローハンは、学校もあるし、引っ越しを嫌がってのことらしい。おかげで、子役が3回目からまったくの別人になってしまったのだが、だからといって誰も別に文句を言うわけでもないのは、視聴者が作り物としてのシットコムを受容しているからだろう。アメリカの視聴者は変なところでやけに民度が高いというか、寛容なところを見せる。因みにローズという名前は、もちろんミドラーのキャリアの最大の転機となった「ローズ」から借用している。



追記 (2001年3月):

好調な出だしを見せた「ベット」だったが、視聴率は次第に降下、ついに3月に番組のキャンセルが発表になった。最近はセットでも製作者や出演者の息も合ってなくて、ミドラーも最後の方は結構投げやりになっていたらしい。そんなこんなでキャンセルが決定してしまったわけだが、今シーズン、CBSが最も成功に近いと思っていた番組がキャンセルになって、「C.S.I.」みたいに意外な番組がヒットしてしまった。ま、こういうこともあるでしょう。  






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Bette

ベット   ★★1/2

 
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