ベイ・ヒル招待

2003年3月20-23日   ★★★

フロリダ州オーランド、ベイ・ヒル・コース

毎年面白い勝負を演出するベイ・ヒル、今年は今季絶好調のアーニー・エルスとタイガー・ウッズの初の直接対決が見られるかもしれないと期待は高まる。ウッズは今回勝てば、ジーン・サラゼンが1930年のマイアミ・オープンに勝って以来という、同一トーナメント4連勝という偉業もかかる。マイアミ・オープンは間に1年ブランクがあり、4年連続という場合だと、1927年にPGAチャンピオンシップを勝ったウォルター・ヘイゲン以来76年ぶりという快挙である。


それなのに戦争という暗雲はツアーにも立ちこめ、本来ならベイ・ヒルを中継予定のNBCは、事態の進展次第では中継はケーブルのCNBCに振り替えるかもしれないと発表している。今年最初の最もエキサイティングなゴルフになりそうなのに、水を差された格好だ。


そして勝負は案の定、ウッズとエルスが3日目の最終パーティで早くも同組になる。それなのに、ああそれなのに、エルスが簡単に崩れてしまって (とはいってもイーヴン・パーの72では回っているのだが)、エルスとウッズの差は広がるばかり。3日目終了時点でウッズ 15アンダーで、10アンダーのブラッド・ファクソンに既に5打差をつける。エルスは5アンダーと集団の中に沈む。ただでさえ逃げ切り率抜群のウッズに5ストロークスのハンディキャップを与えたら、最終日にひっくり返せる奴はこの世にいないだろう。


最終日は雨の中、食中毒のために体調を崩して一打打つごとに座り込むウッズを誰もとらえることができない。前の晩に食ったパスタにあたり、夜通し吐き通しだったそうだが、体調が万全でなくともじりじりとスコアを伸ばす。そのウッズに後続は誰もチャージをかけられず、既にフロント9を終わった時点でウッズの優勝は揺るがないものとなった。後はどれだけ差をつけて勝つかだ。


問題のそのパスタはウッズのガール・フレンドのエリン・ノルデグレンが作ったもので、そのノルデグレン自身、2日目にこちらは脱水で倒れ、雨のために一時順延となっていたトーナメントの合間を縫ってウッズがノルデグレンを病院に連れていくという一幕もあった。その翌日に今度はウッズが食中毒になろうとは。このカップルにとってはとんだ厄日である。結局ウッズは、病院に行っても退院が認められなくてリードしているトーナメントの最終日に出れなくなることを怖れ、一晩中自宅で苦しい思いをしていたということだ。


その意味で言えば、暑苦しくなることを抑えてくれた雨は、もしかしたら天の恵みと言うことができるかもしれない。結局ウッズはこの日4アンダー68の通算19アンダーでレギュレイションを終え、8アンダーで2位のファクソン、スチュワート・シンク、ケニー・ペリー、カーク・トリプレットに11打差をつけ圧勝、既に今季4戦3勝となった。強いなあ。そういえば今回最終組でウッズと一緒に回ったファクソンは、こないだのビュイック招待でも最終日、最終パーティだった。でも、あまり勝てる気がしないだろう。







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