放送局: ABC

製作: ホールマーク・エンタテインメント/Hallmark Entertainment

プレミア放送日: 4/30/2000 (Sun) 20:00-22:00、5/1/2000 (Mon) 21:00-23:00

製作総指揮: ロバート・ハルミSr.、ロバート・ハルミJr.

製作: ダイソン・ロヴェル

監督: スティーヴ・バロン

脚本: ピーター・バーンズ

撮影: レミ・アデファラシン

音楽: リチャード・ハーヴィ

編集: デイヴィッド・ヤードリー

美術: トニー・バーロウ

出演: ミリ・アヴィタル(シェエラザード)、ダグレイ・スコット(シャリアー王(サルタン))、アラン・ベイツ(ストーリーテラー)、ジェイソン・スコット・リー(アラジン)、ジョン・レグイザモ(魔人ジーニー(ランプの精/指輪の精))、ルーファス・セウェル(アリ・ババ)、チェキー・カイヨ(ブラック・コーダ)、アレクセイ・セイル(バクバク)


物語: バグダッドの王は自分の留守に妃が自分を裏切って乱痴気騒ぎを起こしたことを知り、その首を刎ねた挙げ句、その後毎晩宮殿に処女を連れてこさせ、夜明けに首を刎ねることを繰り返す。ある日宰相の娘シェエラザードが宮殿に呼ばれる。シェエラザードは自分の命を守るためにも、そして王の愛を勝ち得るためにも、毎夜新しく面白い夜伽話を王に聞かせ続ける。その話がサルタンの興味を引き、注意を他のところに向けている間はシェエラザードも命も奪われずに済むのだった‥‥


_______________________________________________________________


ミリ・アヴィタル 「アラビアン・ナイト」は、現在ミニ・シリーズ製作の重鎮として知られるロバート・ハルミSr.が息子のハルミJr.と共に製作総指揮を務める最新のミニ・シリーズである。世界中の誰もが知っている古典中の古典「アラビアン・ナイト」は、「千夜一夜物語」という別題が示すように1,000もの物語が詰め込まれているが、番組ではそのうち最もよく知られている、「アリ・ババと40人の盗賊」、「アラジンと魔法のランプ」、「床屋の第三の兄バクバクの物語」、他、王様と乞食が身分を入れ替える話、空飛ぶ絨緞を含む世界の七不思議の話等のその他のよく知られている話を繋ぎ合わせた計6話を映像化している。「船乗りシンドバッドの冒険」は含まれていない。


監督はハルミSr.製作の「エクスカリバー 聖剣伝説 (Merlin)」でも演出を担当したスティーヴ・バロン、脚本はやはり「エクスカリバー」他、「不思議の国のアリス」のピータ・バーンズ。撮影は「スライディング・ドア」、「エリザベス」のレミ・アデファラシン。音楽は昨年のTNTオリジナル映画「動物農場」の評価が高かったリチャード・ハーヴィと、ハルミ作品の常連が製作陣を固めている。


番組の実質上の主人公シェエラザードに扮するのは、イスラエル出身のミリ・アヴィタル。「自由な女神たち」ではクレア・デインズらと共演しており、イスラエルでは既に有名女優らしいが、アメリカでは、「フレンズ」の主人公の一人であるデイヴィッド・シュウィマーのガール・フレンドであることの方で知られている。濃厚なエキゾシズムを漂わせており、シェエラザードとして適役。と思っていたら、ニューヨーク・タイムスはこのアヴィタル演じるシェエラザードのパートが番組で最も弱いという私と正反対の意見だった。そうかなあ。私は結構いいと思ったんだけど。意地になってハリウッド・レポーターを見たら、こっちはアヴィタルを誉めていた。ほら、やっぱり。


ニューヨーク・タイムズの意見って時々市井の人々の意見とまったく食い違っていることがある。私の同僚は、映画を見に行く時はこのニューヨーク・タイムズの批評を逆の意味で大いに参考にしているという。つまり、タイムズが誉めたらもしかしたら面白くないんじゃないかと思い、タイムズが貶したら安心して見に行くんだと言っていた。天下のタイムズでもあり、私はそこまでタイムズに敵意を抱いてはいないが、時々私もタイムズの意見って参考にならないと思うことはあるぞ。


ジョン・レグイザモ 番組の中の一話、「アラジン」に出てくる魔人ジーニー、すなわちランプの精と指輪の精の両方に扮しているのがジョン・レグイザモ。元々コメディアンだが、「エグゼクティブ・デシジョン」での兵士役や最近はスパイク・リーの「サマー・オブ・サム(Summer of Sam)」でミラ・ソルヴィノと共演と、コメディアンの枠を超えて活躍している。番組では家の天井を突き破る巨大なランプの精はともかく、コミカルなリングの精によく似合っている。大昔のアニメーション、「ハクション大魔王」を彷彿とさせる顔形で、私は彼を見て思わず「アラビン・ドビン・ハゲチャビン」というセリフを思い出した。このエピソードの主人公、アラジンに扮するジェイソン・スコット・リーよりよほど印象的。まあ、アラジンのエピソードでは魔人ジーニーが実質上の主人公というのは最初からわかりきったことではあったんだが。


ところで、2日連続で放送された「アラビアン・ナイト」の初日の放送は、その「アラジン」の途中で翌日に続くとなった。いいところでお次は明日、というのがいかにもシェエラザードのお話みたいでそれはそれでいいのだが、翌日、またABCにチャンネルを合わせたら、いきなり真っ青な画面に一面の文字が。時々ケーブルの調子が悪くてこういうことが起きることがよくあるので、またかよ、タイム・ワーナーのばか、と思っていたら、文字をよく読むとディズニー (ABCの親会社)がタイム・ワーナーにシグナルを供給しないのでABCは放送できませんと言っている。要するにディズニーとタイム・ワーナーというアメリカの2大メディア・コングロマリットの意地の張り合いでそうなったというのが真相のようだ。


ディズニーは子供のいる家庭に絶大な人気のあるペイTVチャンネル、ディズニー・チャンネルを持っている。しかし、金勘定に厳しいアメリカでは、どんなにディズニー・チャンネルのネーム・ヴァリューを認めようとも、金を出してまでは見ようとはしない世帯の方が多い。ニッケルオデオンとかカートゥーン・チャンネル、FOXファミリー・チャンネルのように、別にブランド名を気にしさえしなければ同様の番組を流しているチャンネルは他にもたくさんあるのだ。1年に数回しかないディズニー映画のプレミア放送のためだけに、金出してまでディズニー・チャンネルと契約しようとする一般家庭はあまりないのである。


ディズニー・チャンネルはもちろんそれを知っているから、これ以上視聴世帯数の増えないペイTVとしてのディズニー・チャンネルはご破算とし、追加料金のかからないベイシック・チャンネルでディズニー・チャンネルを再建したいと目論んでいた。しかしこれをアメリカで最大規模のケーブル・オペレータであるタイム・ワーナー・ケーブルが嫌がったのだ。


ディズニー・チャンネルがペイTVであると、ディズニーにも、そのチャンネルを供給するケーブル会社のタイム・ワーナー・ケーブルにも、両方に視聴料が分配される。多くの人々が契約してくれるならそれで両者とも文句ないのだが、契約世帯数が頭打ちのディズニー・チャンネルの場合、ディズニーはその視聴料を無視ししてでも、視聴世帯数が増えるベイシック・チャンネルに格下げすることがチャンネルの将来のためになると判断した。しかしタイム・ワーナーはそれが気に入らない。ディズニー・チャンネルの将来のことなんかどうでもよく、今現在金が入ってくることの方が重要だからである。あれやこれやで両者の言い分が衝突した挙げ句、ディズニーはタイム・ワーナーに対し、シグナルの供給を停止したのであった。


さて、もちろんその割りを食ったのは我々視聴者である。ある日TVをつけてみると、ディズニー傘下のネットワーク、ABCがまったく映らないという状態にびっくりするという状況を強いられたのであった。アメリカでは、特にニューヨークのような高層ビルが建ち並ぶ都市部では、屋外アンテナ受信によるTV視聴はほとんど不可能だから(アンテナを立てることすら禁止しているビルも多い)、必然的にほとんどの視聴者はケーブルTV経由でTVを視聴している。ニューヨークでは寡占のタイム・ワーナー・ケーブルがシグナルを供給してくれないことには、どのチャンネルも見るのはほとんど不可能なのだ。


タイム・ワーナーにシグナル供給停止を決めたディズニーのこの強気は、今、アメリカで最も人気のある番組が、ABCの放送するクイズ番組「フー・ウォンツ・トゥー・ビー・ア・ミリオネア」ということとも大きく関係している。この番組を見たさに視聴者はタイム・ワーナーを糾弾し、ディズニーは自分の言い分が通ると踏んだのだ。実際、この週の「ミリオネア」はセレブリティ特集で、有名スターがゲスト出演するということで楽しみにしていた視聴者が多く、タイム・ワーナーでは苦情の電話が鳴りっぱなしだったという。


しかもディズニーはこんなケーブル会社となんか契約するのは止して、衛星放送経由でABCをどうぞと視聴者に呼びかけた。衛星放送では既にディズニー・チャンネルはベイシック・チャンネルである。しかも視聴者が衛星放送に切り替えるのなら、パラボラ・アンテナやチューナー等の必要機材購入費、約200ドルは当社で負担しましょうと提案したのだ。何という太っ腹。流石にタイム・ワーナーはここまでやるのかとびっくりしたらしく、いきなり態度を変えたタイム・ワーナーがほとんどディズニーの言い分を認めたような形で、ニューヨーク市民は約1日ちょいでまたABCを見ることができるようになったのであった。ニューヨークでもディズニー・チャンネルが追加料金なしに見れるようになる日も近い。


しかしまったく、これくらいで引っ込むくらいならタイム・ワーナーも最初から変な抵抗なんかするなよと私なぞは思ったものだが。どうせ他にも両者に言い分はあるだろうから、この際余分な膿を出すためにも徹底的に腹を割って話し合った方がよかったのでは。別に私としては「ミリオネア」が見られないからって痛くも痒くもないし、この際だ、「NYPDブルー」が見られなくても、「プラクティス」が見られなくとも我慢しよう。マイケル・J・フォックスが出る最後の回の「スピン・シティ」が見られなくてもよしとする。その他のABCの番組なんて大したことないし。


と、私がこう感情的になるのも、市場の寡占状態をいいことにやりたい放題やるタイム・ワーナーにほとほと愛想を尽かしているからだ。タイム・ワーナーは、天候とかまったく関係のないはずのケーブルのくせに時々シグナルが途切れることがあり、画面に何も映らなかったりする。電気とかガスなんて使った分を払う後払いなのに、なぜだかケーブルTVだけは見てもいない番組に対しての前払いである。その上この間は、請求書を送ってもこなかったくせに、私の視聴料の支払いが遅れたからといっていきなり延滞料をつけられた。ふざけんなよ馬鹿野郎、おまえらがちゃんと請求書を送っていたらこちらも期限内にちゃんと払ってるよ。


もちろん郵便事情が当てにならないアメリカでは、請求や支払いが到着しないということが往々に起こる。そのため消費者がクレームをつけたらその手の延滞料は取り下げられるのが普通なのだが、タイム・ワーナーに関しては絶対にそういうことをしない。こっちも腹が立ったからカスタマー・サーヴィス相手に粘り、延滞料は取り下げるという言質は取ったのだが、それも口先だけで、私がいったんは払った延滞料はいまだにクレジットされてこっちに帰ってきていない。最低の会社である。そういう経験があるから、私はタイム・ワーナーに関していい感情を持っていない。本当に衛星放送に切り替えたいくらいなのだが、ニューヨークの市街地はパラボラ・アンテナを立てる規制だとか、衛星放送は都市部にはネットワークを放送できないとかいう細々とする規制が色々あって、それもままならないのだ。


だいぶ話が感情的に流れてしまったが、「アラビアン・ナイト」はわりと楽しんだ。2日目の放送は見れなかったため、アラジンがこの後どうなったかということが見れなかったし、話題となっていたジム・ヘンソンズ・クリーチャー・ショップが担当した空飛ぶ絨緞のCGシーンも見れなかったのだが、この辺り大まかな内容を知っている古典のことだから、どういう展開になるかは想像がつくし、見れなかったからといってあまり気にならない。シェエラザードを演じるアヴィタルをこれ以上見れなかったのが少し残念だというくらい。ま、いいか。  






< previous                                    HOME

 

Arabian Nights

アラビアン・ナイト (千夜一夜物語)   ★★★

 
inserted by FC2 system