America’s Got Talent

アメリカズ・ガット・タレント -- 第10シーズン・ファイナル

2015年9月16日  ニューヨーク、レイディオ・シティ・ミュージック・ホール

NBCの勝ち抜きタレント・リアリティ・ショウ「アメリカズ・ガット・タレント (AGT)」は、ライヴ中継番組であり、基本的に入場料はタダだ。通常は観客は主催者側で集めるが、席に余裕がある場合、チケットが欲しい人は、登録しておけばチケットを手に入れる方法がE-メイルで送られてくる。とはいえ、いかにタダであろうとも収録は平日であり、しかも早い者勝ちなので、3時からフリー・チケットを配布すると言われても、宮仕えをしている者は、はいそうですかと列に並ぶわけにも行かない。


ところが今回、第10シーズンのフィナーレの当日になって、チケットは6時にも配る、6時までに列に並べば入場を保証するとするE-メイルが来た。どうやら大口のどたキャンが出たらしい。いずれにしても、これは、と思ってできるだけ早めに仕事を切り上げ、女房と待ち合わせして6番街のレイディオ・シティ・ミュージック・ホールに足を運ぶ。因みに番組収録会場はシーズン毎に異なり、だいたい西海岸と東海岸とを行ったり来たりしており、今回はニューヨーク収録だ。


さて、30分ほど並んでチケットを受け取ると、番組が始まる9時まで時間があるので、近くの安いフレンチのスープ屋で腹ごしらえし、8時半頃レイディオ・シティに戻る。そしたら、ホストのニック・キャノンがフライングで、後で番組内に挿入されるモノローグを既に撮っていた。なるほど、ライヴだからといって、放送されるすべてのものが今現在起こっているわけではないんだな。


その後、胃の中に何でも呑み込んでみせるザ・プロフェッショナル・リガージテイターことスティーヴィ・スターがステージに出てきて、マジシャン・ペアのペン&テラーと共に掛け合いで芸を見せる。それが終わったと思ったら、ディレクターに、今のはカメラの調子がおかしくて録画できなかった、もう一度やってくれと言われて、同じことをもう一度繰り返した。放送時はその部分が録画で放送され、その時会場内では、次のステージの準備をしながら、現在放送されているその録画分を流していた。おかげで会場にいた者たちは、この芸を都合三度見せられたことになる。


我々夫婦はほとんどの場合、TVでAGTを見る時はDVR録画を、コマーシャルや不要と思われるジャッジのコメントは飛ばして見る。実際の会場ではコマーシャル時には観客は手持ち無沙汰になるわけだが、観客を飽きさせない、だれないようにするために、その時だけキャノンとは別のMCが出てきて、色々盛り上げようとする。何千人もの客の注意を一手に引き受けなければならないのだ。本人もかなり大声早口で、しかもアドリブを交えながらショウを進行させる。しゃべりっぱなしで声がかすれそうになっている。キャノンが表のホストならこのMCは裏のホストと言える。よくやっていると非常に感心した。せめてキャノンの半分くらいのギャラは与えてもいい。


MCのおしゃべりの時やCM明けの時は、観客が結構盛り上がることを要請される。うちの女房はせっかくだから乗らなきゃ損と、声を限りに叫んでいた。おかげでかなりエネルギーを消費したようで、後半はバテバテになっていた。歳を考えろ。


優勝者を決めるシーズン・フィナーレということもあり、ステージの上には最後まで残った参加者が立っているのだが、コマーシャル時にも彼らはずっと同じ場所に立たされていた。その時会場内ではMCがショウを進行させているのに、少し暗くなったステージ上では、参加者がずっと立たされたままで結果待ちでドキドキしている。彼らも大変だ。


さて、どんどん絞り込んで最後の二人まで残ったのは、吃音のコメディアン、ドリュウ・リンチと、腹話術師のポール・ザーディン。AGTではなぜだか結構腹話術師が勝ち残る場合が多い。そして勝ったのはザーディン。ウィナーとしてザーディンの名が発表され、場内に紙吹雪が飛び交う中、私たち夫婦はレイディオ・シティを後にしたのだった。日付けの替わる前に自宅にたどり着けるかは微妙なところだが、明日はまた会社だ。










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