アメリカン・ターザン   American Tarzan

放送局: ディスカバリー

プレミア放送日: 7/6/2016 (Wed) 22:00-23:00

製作: シャープ・エンタテインメント

製作総指揮: デヴォン・プラット、ダン・アドラー


内容:カリブ海に浮かぶドミニカの孤島でのサヴァイヴァル+体力勝負レース。


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American Tarzan


アメリカン・ターザン  ★★1/2

ここ数年来、サヴァイヴァル系のリアリティ・ショウは、参加者を一人にしたりペアにしたりグループにしたり裸にしたり勝ち抜きコンペティションにしたりと、様々なマイナー・チェンジを施したりギミックを取り入れながら枝分かれしてきた。参加者はどんどん過酷な条件下に置かれることが多くなり、これでは本当に近いうちに死人が出るのではと思うことすらある。


一方、近年、NBCの「アメリカン・ニンジャ・ウォリアー (American Ninja Warrior)」を筆頭とする体力勝負系の勝ち抜きリアリティも市民権を得ており、結構人気がある。元々サヴァイヴァル系も体力勝負系も、両方とも身体が資本の体育会系のリアリティ・ショウだ。方向性は似ている。では両ジャンルを合体させて番組を作ったらどうだろうということで登場したに違いないのが、「アメリカン・ターザン」だ。


つまり、サヴァイヴァルをさせながら、ついでに要所要所に体力や運動神経を競う障害物も置いて競わせるタイム・レースにする。サヴァイヴァル技術と体力持久力身体能力のすべてにおいて高いレヴェルが求められる、総合格闘技ならぬ総合体力勝負リアリティだ。いわばTVリアリティ・ショウ版十種競技と言えるかもしれない。


場所はカリブ海に浮かぶ、だいたい南北50マイルほどのドミニカ領の孤島だ。参加する男5人女2人の計7人の男女は島の3マイル沖に降ろされ、そこからそれぞれカヤックを漕いで島の北端に接岸、後は数日間サヴァイヴァルしながら、川や岩壁岸壁洞窟を綱渡りしたりクライミングしたり数々の自然の障害物をクリアしながら移動、島の南の突端にそびえる頂上のゴールを目指す。


長丁場のレースというのに、キムは最初から全開でカヤックを漕いで島に一番乗りする。どうやら女性という身体的なデメリットを補うために、とにかく最初に時間を稼いで先行逃げ切りに持ち込みたい考えのようだ。しかし案の定、すぐにバテバテになって後続に追いつかれ始め、しかもハチの巣に引っかかってハチに追われる羽目になる。泣きっ面にハチとはこのことだ。


川下り、岩登り等の障害物でこの日一番の難関は岩壁登りだ。蔓が岩肌を舐めるように垂れており、それをよじ登る。言うは簡単だが、ストロングマン系の、体重が250パウンド超のブランドンにとってはこれはきつい。ただただ力をつけるためにとにかく食って筋肉をつけてきたのだ。力ということだけに関しては参加者の中で一番だろうが、自分の重い身体を腕の力だけで引き上げるのは至難の業だ。


それでブランドンは蔓を伝ってよじ登っていくのではなく、岩肌にしがみついてロック・クライミングの要領で足も使って登って行こうとするのだが、それだって容易ではない。もうちょっとで頂上というところまで行きはするのだが、それが限界で、もうこれ以上は握力がもたないと断念して降りざるを得なくなる。結局彼一人岩壁を克服できず崖下で夜を明かし、翌朝再度トライするもやはり結果は同じで、途中リタイアせざるを得なかった。サヴァイヴァルとか体力勝負は、バランスのとれた身体の方が重要で、ただガタイが大きくて力があればいいというものではない。


その他の者は無事岩壁をよじ登って夜を明かす。数日間のサヴァイヴァル+体力勝負とはいっても南の島のことでもあり、自生のココナッツやバナナがあるようで、腹減ったとは言いつつ、それで生死を分けるほど食い物に困っているわけではなさそうだ。シロアリを食ってみたりする者もいたが。これが一週間とか一か月以上に及ぶ長丁場のレースなら、計画的な食の調達が不可欠だろう。皆自分で火を熾こすとか、椰子の葉でねぐらを作るとかそのくらいのことはしていたようだが、おかげで番組は、サヴァイヴァルという点では特に難しそうではなかった。


とはいえ今後、こういったハイブリッド的な番組は、サヴァイヴァル+体力勝負に限らず、さらに装いを新たにしてどんどん新しいものが出てくると思う。自然の川や岩や壁を利用した障害物というのは、見ていてこう言っちゃなんだがなんだか楽しそうで、自分もやってみたいと思わせさえする。番組に第2シーズンがあるかは微妙だが、もし次があるとすれば、もっと面白くできるだろう。ちなみに今回優勝したのは、パルクール経験者のジェレミー。やっぱり全体的に必要なのは、バランスのよさだよなと思わせた。










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