American Ninja Warrior: USA vs Japan   アメリカン・ニンジャ・ウォリアー: USA vs ジャパン

放送局: NBC

プレミア放送日: 1/13/2014 (Mon) 20:00-22:00

製作総指揮: アーサー・スミス、ケント・ウィード

ホスト: マット・アイズマン、アクバー・バジャ-ビアミラ

フィールド・レポーター: ジェン・ブラウン

出演:

アメリカ選抜: ブライアン・アーノルド、ポール・カシミア、ジェイムズ・マグラス、トラヴィス・ローセン、ブレント・ステッフェンセン

日本選抜: 山本進悟、又地諒 、朝一眞、菅野仁志、漆原裕治


内容: 日本代表の「SASUKE」選抜メンバーをアメリカに呼び、ラスヴェガスのマウント・ミドリヤマ施設でアメリカ代表のニンジャ・ウォリアー・チームと戦わせる。


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American Ninja Warrior: USA vs Japan


アメリカン・ニンジャ・ウォリアー: USA vs ジャパン  ★★1/2

東京放送の「SASUKE」こと「ニンジャ・ウォリアー」は、アメリカでも人気がある。元々はケーブルのオタク向けチャンネルのG4で放送されていたが、人気を受けて親チャンネルのネットワークのNBCと共同で放送するようになった。今ではラス・ヴェガスに緑山と寸分違わないコースを構築して、アメリカ版の「アメリカン・ニンジャ・ウォリアー (ANW)」を独自に製作放送している。


そのANWで上位の成績を残した者を毎回本家の「SASUKE」に送り込んでいたのだが、ヴェガスに緑山と同じコースを作ったわけだから、もうなにもわざわざ日本まで遠征する必要もない。だったら逆に日本のSASUKEオールスターズを呼んで勝負すればいいのではないか、という発想でたぶん企画されたのが、今回の「USA vs ジャパン」という特別編なのだった。


日本から5人、アメリカからも5人を選抜してヴェガス・コースで競う。このコース、ヴェガスにあってもやはりマウント・ミドリヤマと呼ばれている。しかし緑山なのだから、本当はマウント・ミドリヤマではなく、マウント・ミドリと呼ばれるべきではないのか。富士山だって英語読みの時はマウント・フジヤマあるいはマウント・フジサンではなく、マウント・フジと呼ばれている。これでは赤いレッド・シューズと同じく同語反復だ、と思っても詮のないことなのだった。


勝負は各ステージ毎のポイント制で、まず第1ステージでは両チームから一人ずつ出して一対一で競わせる。むろん早く障害物をクリアしてゴールした方、あるいは両者共クリアできなかった場合は、より遠くまで行けた者の勝ちだ。それで先に3人勝ったチームが1ポイントを獲得する。第2ステージも同様で、ここでは勝ったチームは2ポイント獲得する。第3ステージでは勝ったチームは3ポイント獲得する。この時点でもし獲得ポイント数が同数で並んだ場合、タイ・ブレイカーとして第4ステージで最終決戦を行う。


日米のメンツの人選にはほとんど異議はない。アメリカ代表にリーヴァイ・ミューエンバーグがいないのは寂しい気がしないでもないが、本人が既にSASUKEに興味をなくしているようだから、しょうがない。日本チームだって本来なら長野誠が欲しいところだが、本職の漁の関係もあるだろうし、彼は初めてのものにはポカをするという癖がある。初期の頃のANW製作時にアメリカに呼ばれて来て、ほとんどデモンストレーションで簡単な最初の方の障害物に失敗して落ちたという経緯もある。わざわざ経歴に傷をつける必要もあるまい。代わりに漆原がいる。


その一方、新旧オールスターズから、なぜだか山本がいるのがちょっと解せんと言えないこともない。ポカをするというなら、この手のポカを最も多くかましているのが誰あろう山本だ。しかもその山本が日本チームの先頭バッターとして先陣を切る。不安が頭をもたげないこともない。チーム監督は誰で、どういう作戦でこの順番になったのか。新オールスターズによるリスペクトの顕われだとしたら、むしろ逆効果になりそうな気がする。


そして当然の如く、その不安は的中する。山本は途中まで危なげなく進むが、ハーフパイプ・アタックで着地に失敗、あわや池に落ちそうになったところを、ロープにしがみついてやっとのことでこらえる。しかしその時片方の靴が水の中に脱げ落ちてしまう。なんだってこんなバカなことしてんだ。靴ってのは靴紐をしっかり結んでおけば、そう簡単に脱げ落ちるものではない。だいたい、靴をへりに引っ掛けて落ちないようにするのではなく、そこで腹筋で身体を持ち上げてこそのオールスターズじゃないのか。


山本はなんとかここはこらえるが、しかし片方の靴がなく、踏ん張りの利かない状態で続く反り立つ壁を登り切れるわけもなく、まったくチャンスのないままここで無念の失格。やっぱりどこに行ってもポカするやつはポカするか。一方のアメリカ・チームはマグラスが危なげなくファースト・ステージをクリアする。続く日本二人目は菅野、こちらは無事ゴールするが、アメリカ・チームのカシミアはそれより0.6秒速いタイムでゴール、うーん、惜しかった。


これで2連敗となった日本は朝が登場、普段からエモーショナルな朝は、負けられないと力が入っているのがありあり。これが競馬なら入れ込み過ぎで敬遠されるなと思っていたら、案の定アドレナリン分泌しまくりで、なんと2番目の障害物であるジャイアント・サイクルで勢いつけて飛びすぎ、ホイールをつかめず水に落ちた。なんだってまたそんな初心者みたいなミスをする。一方のステッフェンセンは逆に最速ゴールで、これで日本は3連敗で第1ステージを落とし、アメリカが1ポイントを先取。


第2ステージは一人目、アメリカ・アーノルドは無事ゴールするが、日本・又地はダブル・サーモン・ラダーでいきなり失敗する。日本二人目は漆原が、これも信じられないことにサーモン・ラダーで落ちる。日本ではこんなの軽々とクリアしていたのに。一方のローセンはメタル・スピンまで達し、これでアメリカの5連勝。日本の第2ステージでのポイント奪取に黄信号が点る。3人目はアメリカのマグラスが無事ゴールしたのに対し、日本は再度朝を投入。そして朝もまた、3人連続でサーモン・ラダーで失敗して落ちた。なんなんだ、これ。ヴェガスのマウント・ミドリヤマにも魔物が住んでいたか。これで信じられない日本チームの6連敗で、既にポイント3-0と大差がつく。どうした本家オールスターズ。もう後がない日本チーム、どんよりと重い空気がチーム内に立ち込める。


第3ステージの第一戦は再度又地とアーノルドとの勝負になり、二人とも最終障害物のフライイング・バーの、しかも同じ場所で落ちるという接戦になる。そしてそこまで達したのが僅かたったの1秒早かったために、又地が初めて日本チームに勝利をもたらした。


この日の勝負で最も意外なドラマを提供したのが次のマグラス-漆原戦で、マグラスは2番目の障害物のフローティング・ボードの2枚目で、ボードをつかめず落下。このチャンスに登場した漆原は、いくらなんでもここで落ちることはあるまいと思われたそのフローティング・ボードの、まったく同じ2枚目で同じように落ちた。なんだ、それは。まったく信じられない。アンビリーバボー。しかも漆原が落ちたのはマグラスより0.1秒遅かったという10分の1秒差で、この勝負はマグラスの勝ちとなった。これって別に脚本があってその通りにパフォーマンスしてるわけじゃないよな。


続く第3戦には山本が登場。対戦相手はステッフェンセンとあってまったく期待はしてなかったが、山本、案の定、予想通りにこれまた漆原と同じようにフローティング・ボードで落ちて楽々とステッフェンセンに勝たせる。こんなところで期待に応えなくていいのに。これでアメリカは2対1のリードとなり、王手。第4戦にはやはりフライング・バーまで行ったカシミアに対し、菅野はアルティメット・クリフハンガーで落ちて3対1、勝負を決した。全体でアメリカが6ポイント対日本0ポイント、全勝負ではアメリカの9勝1敗という大差がついた。落胆の日本チーム、朝は地面に突っ伏し、漆原も悔しさのあまり泣いている。


しかしここで意見を述べさせてもらうと、勝負の内容は、実は数字の差ほどは開いてはいなかったのではという気がする。日本はまずムードメイカーの山本が本当にムードメイカーとしてだけに終わってしまい、結果を残せなかったことと、第3ステージで漆原がフローティング・ボードでまさかの敗戦を喫したところが勝負の分かれ目だったと思う。あそこで漆原が勝っていたら、勝負はまだまだわからなかった。


全体としては、ホームとアウェイの違いがこういう展開にさせたという印象が濃厚だ。日本チームはラス・ヴェガスといういかにもアメリカ的な場所において、敵地の雰囲気に飲まれ、気負い過ぎて実力を出せなかった。今度はアメリカ・チームを聖地緑山に呼んで勝負‥‥というか、それは今でも毎年やっていることか。やはりアメリカ・チームは強い。











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