American Beauty

アメリカン・ビューティ  (1999年10月)

ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング主演の「富めるアメリカ」を風刺したブラック・コメディ。いや、コメディではなく、悲劇かも知れない。ケヴィン・スペイシーが出るからというので内容なんかどうでもよく最初から見に行こうと思っていたのだが、いや、この人が出ているなら監督の名を知らなくても安心して見られるという役者を知っていると便利だな。実際、非常によかった。


監督のサム・メンデスは何とこれが初監督作。本当かよ、堂に入ったもんじゃない。と思っていたらこの人は舞台演出出身で、ニコール・キッドマンがヌードになるので話題となった「The Blue Room」や「キャバレー」の再演等を演出しているのだった。納得。ベニングもこの間のニール・ジョーダンの「In Dreams」よりずっといい。今回も「In Dreams」やエドワード・ツウィックの「The Siege」よろしくいつも通りの少しオーヴァー気味の演技だったのだが、こちらは役柄、内容にすっぽりはまった。


新人男優のウェス・ベントリーも拾い物。役に興味を示した並みいる若手スターを蹴散らしてのキャスティングだったそうだがこれも納得。スペイシーの主人公家庭の隣りに引っ越してきた家族の一人息子という役柄で、いつもヴィデオカメラを手から離さず目に映るものなら何でも撮るという、学校では変わり者で通っている若者。家庭内では親を悲しませないように真面目に学業に勤しんでいるふりをしながら、実は幼い頃からドラッグ販売で小金を貯めているというしたたか者でもある。


しかしそれよりも、彼の親に扮している、元マリーンのマッチョな男親を演じるクリス・クーパーがたまりません。彼はジョン・セイルズの「Lone Star」での保安官役が渋くて格好よかったのでそのイメージが私の中では固まっていたのだが、いやあこういう役もできるのね、私の目に狂いはなかったという感じである。元軍人であり、規律を守り、ゲイを毛嫌いしているのだが、その彼が息子と隣人 (スペイシー) が男色行為をしていると勘違いしてから彼の中の何かが崩れていく。実は彼はその気があったのだが、それを内部に押し込めるために逆にゲイに強く反発していたのだった。この時のクーパーの表情は見事です。


彼らに較べて、スペイシーの一人娘と、その親友に扮する二人の若手女優はまったく私の好みではない。ま、作品がよければ個人の好みなんかどうでもよいのだろうが、しかし、最近の映画に出てくる若手女優は皆、「Go」にしろ「American Pie」にしろ「Dick」にしろ「Drop Dead Gorgeous」にしろ、押し並べて皆全然よいとは思えない。これはどうしたものか。私の好みがオジンになってきたということか。しかし中堅女優はますますよくなってきているように思える。これって私の年齢と近いから?でも、もてまくる役のメナ・スヴァリなんて足も短いしどう見たって大したプロポーションでもないし、美人にも見えないんですが。でも確かに最近の流行りの顔だという気はする。要するにそういうことで私は流行とはもう関係ない年になったということか。とほほ。






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