アメリカTV界の今年の印象を決定づけた重要なポイントを振り返る。



1. ジャネット・ジャクソンのスーパーボウルでのおっぱいぽろりとその波紋


今年2月のアメリカのスポーツ/TV界最大のイヴェント、NFLスーパーボウルのハーフ・タイム・ショウにおけるジャネット・ジャクソンのおっぱいぽろり事件は、アメリカのTV界の屋台骨を揺るがせかねない大事件へと発展した。近年、アメリカTV界、特にネットワーク番組においては、番組の描写はどんどん過激なものへと向かう徴候があった。ペイTVの「ザ・ソプラノズ」等のせいで、視聴者の感覚も麻痺しつつあるというのもあったかもしれない。そこへ降って湧いたかのようなこの事件は、今度は、こういった傾向をあまり快く思っていなかった保守的な視聴者を激昂させ、それまでの反動もあり、今度は一斉にこの種の、ヌード、暴力が跋扈する番組群を排斥する方向へと向かった。


アメリカでこの種の規制を行うのはFCC (連邦通信委員会) であるが、この種の行政機構がだいたいそうであるように、保守的な志向が強く、世論や上の議員の鶴の一声に左右されやすい。FCC委員長のマイケル・パウエル (コリン・パウエル元国務長官の息子だ) ももちろんその例に漏れず、FCC宛てに届いたという20万通にも及ぶ苦情のe-メイルや上からの圧力を無視することができず、スーパーボウルを中継したCBSに対して、55万ドルという、いくらなんでも厳しすぎるんじゃないかと思えるくらいの罰金を課した。


とはいえ、話がそれだけで済めば、CBSには悪いがまだ納得できた。しかし、たった一瞬のおっぱいぽろりで罰金なら、半ケツや4文字言葉など、既にネットワークにおいてかなりの頻度で現れるようになっていたこの種の描写のせいで、今後罰金刑が連発されるかもしれない。これに恐怖を感じたネットワークは、進んで番組を自主規制し始めた。グラミー賞やアカデミー賞等、多くの生放送の中継番組では、もしなんらかのハプニングが起きた場合、その時点で対処できるよう5秒間のタイム・ラグが置かれた (たとえ5秒でも時差があるならそれは既に生放送とは言えないような気もするが。)


「ER」では、番組のストーリー展開上、必要と思われた乳癌患者の胸の描写がカットされ、「NYPDブルー」や「ウィズアウト・ア・トレイス」でも微妙なシーンがカットされた。ABCは、これまで「プライベート・ライアン」を既に何度か放送していたのだが、そのまた何度目かの放送で、作品の血飛沫飛ぶ悲惨な戦争描写や汚い言葉使いがひっかからないかいきなり怖気づいて、放送を取りやめると言い出した。果ては公共放送のPBSが放送する大真面目なドキュメンタリー番組で、女性の胸の谷間が見えた見えないでカットするかどうかが問題になるなど、ちょっとこれは過剰反応と感じる場面も多々出てきた。


一方、攻勢に回ったFCCも、今度はどこから見てもくだらないとしか思えないものにまで、罰金刑というお札を振りかざして強気に攻めた。既に昨年放送が終了済みの、ほとんど誰も見てないような視聴率しか稼げなかったFOXの「メアリード・バイ・アメリカ」で、女性の身体にホイップ・クリームを塗りたててそれを舐め回したというシーンが、たった数通の苦情メイルのせいでなぜだか今さら取り沙汰され、罰金が言い渡された。


極めつけは秋のアテネ五輪で、オープニング・セレモニーのマス・ゲームで行進する誰かの胸が見えたか見えなかったかという一瞬が槍玉に上げられた。オリンピックを中継したNBCも驚いただろうが、これにはゲームを主宰したギリシアも怒った。当然だろう。世界何十億人もの人間が見ていて、ほとんど誰も猥褻などとは露ほども感じなかったセレモニーに対し、たった2、3人が目ざとく誰かの乳首が見えたとか騒ぎ立てたせいで、ゲームそのものにけちをつけられたのだ。はっきり言って、そういう時にたとえ乳首が見えたとして、それを猥褻だと感じる人間の方がよほど猥褻だとしか言いようがない。そういう奴はミロのヴィーナスを見ても興奮するんだろう。そういうのに苦情を申し立てるなんて、自分の性根が腐っているのをわざわざ世界に知らしめているようなものだ。しかもそんなのを鵜呑みにして本気で調査なんかするな、このFCCのタコ!


こういうFCCの恐怖政治に対して最も果敢に立ち回ったのは、誰あろうジャネット本人だ。ジャネットはスーパーボウルの後、TVに現れて、事件はあくまでも偶発的に起こったことであり、視聴者を不快な気持ちにしたことに対して謝罪する旨の記者会見を行った。表面上は反省の色を示しているジャネットだったが、内心はまったくそんな殊勝なことは考えてなかったことは、その後のジャネットの「サタデイ・ナイト・ライヴ (SNL)」のゲスト・ホスト出演で明らかになる。


ジャネットは、当時、大統領補佐官という立場にいながらテロリスト情報の取捨選択に失敗、9/11テロを未然に防げなかったことに対しての責任を追及されていたコンドリーザ・ライスをおちょくった番組冒頭のスキットで、そのライス補佐官に扮して登場した。これがまた、ちょっと前歯が出っ歯気味のライス補佐官を大いに誇張したものすごい出っ歯で、これだけでも充分、おまえ反省しているのかという外野からの声が聞こえてきそうだが、さらに、公聴会で自分の罪を突っ込まれたライス (ジャネット) は、なんとか追及の手を逃れようといきなりおっぱいをおっぴろげにして周囲の度肝を抜く。そしてお決まりの「ライヴ・フロム・ニューヨーク、イッツ・サタデイ・ナイト!」のかけ声と共にショウが始まるという趣向になっていた。


ライヴとはいえ、そこはジャネットがまたおっぱいを見せるというのが事前にわかっているから、当然そこにはぼかしがかかっていたのだが、もちろん、問題はそういうところにはない。結局、ジャネットは反省などこれっぽっちもしていなかったのだ。視聴者はスーパーボウルでおっぱいを一瞬見せたくらいなんだと思っているジャネットの本心がはっきりとわかった。


ジャネットはスーパーボウル後のグラミー賞でもゲスト・パフォーマンスが予定されていたのだが、これまたCBSが中継するグラミーで、さも何もなかったかのようにジャネットを出演させるのはまずすぎるという判断が当然あった。CBSはジャネットに番組内で視聴者にまた謝罪することを要求したが、ジャネットはこれを突っぱねた。既に公に謝った、重ねて謝罪する必要なぞないというわけだ。CBSも視聴者やFCCの手前、引くことができず、結局ジャネットの出演は取り消された。一方、その時は既に忘れられていたジャスティン・ティンバーレイクがグラミーで謝罪してその後パフォーマンスを行ったことにより、一層ジャネットの強情さが際立つことになった。


もちろん、私に言わせてもらえれば、これは強情さと言うよりも自分自身のポリシーに従ったまでであって、CBSの立場もわからんではないが、ここは我を通してグラミーを降りたジャネットを断然擁護する。一度筋を通したことに対してまた後からつけられたいちゃもんに答える必要なんかない。ジャネットに較べれば、慌てて何度も何度も謝ったり言い繕いをしたりして保身に走ったティンバーレイクがなんと情けなく見えることか。第2、第3のジャネットがどんどん現れてくれることを、私は密かに期待するものである。



2. リアリティ・ショウ全盛時代は終焉を迎えたか -- スクリプト番組の復権


ここ数年、アメリカTV界はリアリティ・ショウを中心に回っていたといっても過言ではない。基本的に99年のABCの「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」以来、ヒット番組はほとんどがリアリティ・ショウであり、ドラマやシットコムの出る幕はほとんどなかった。実際の話、2000年のCBSの「CSI」が、ドラマ/シットコム等のいわゆる脚本に則ったスクリプト番組として、誰の眼から見ても成功したと言える最後の番組であった。


一方、とはいえリアリティ・ショウがすべてヒットするわけではないのも明らかだ。しかし、それでも「ミリオネア」以降、CBSの「サバイバー」、FOXの「アメリカン・アイドル」「ジョー・ミリオネア」、NBCの「ジ・アプレンティス」等、ほとんどヒット番組のないスクリプト・ショウに対し、リアリティ・ショウはヒット番組、それも特大のヒット番組を連発した。これでは各ネットワークが次のリアリティ・ショウ探しに血眼になるのも無理はない。


しかし、それでもさすがにアイディアの種は尽きたか、最近ではリアリティ・ショウも一時ほど話題を提供することはできなくなっていた。年明けの「アプレンティス」以来、リアリティ・ショウに新しいヒット番組は出現せず、それに対して、失敗してキャンセルされるリアリティ・ショウの方が圧倒的に多くなった。「アプレンティス」ですら、第2シーズンは第1シーズンの3分の2ほどの視聴率しか稼げていない。


そういう時に出現したのが、「デスペレイト・ハウスワイヴズ」と「ロスト」という、ABCが放った起死回生の2本の番組である。コメディ仕立てのソープ・ドラマ「ハウスワイヴズ」と、ノン・ストップのパニック・アクション「ロスト」、さらに中程度のヒットとなっているデイヴィッド・E・ケリーの新作「ボストン・リーガル」まで含め、ABCは今季、スクリプト番組で業界関係者の誰をもあっと言わす大番狂わせをやってのけ、一挙にアメリカTV界の勢力地図を塗り替えた。


これでまたスクリプト・ショウとリアリティ・ショウの勢力が逆転と言い切ってしまうのは時期尚早だが、最近ほとんど顧みられていなかったスクリプト・ショウが、ここへ来て息を吹き返したのは確かだ。視聴者だって、そうそうリアリティ・ショウばかりでは飽きがくる。要はあれもこれも、バランスのとれた番組が見たかったのだ。というわけで、ABCは「ミリオネア」のキャンセル以降低迷していた時期からやっと抜け出し、光明を見出し始めている。今後、リアリティ・ショウもスクリプト・ショウも、面白い番組がバランスよく編成されるならば、視聴者にとっても万々歳だ。



3. メイクオーヴァー・ショウの新たな支流、人間メイクオーヴァー・ショウの勃興


一時期アメリカTV界を席捲したメイクオーヴァー系のリアリティ・ショウは、昨年はTLCの「トレイディング・スペイスズ」に端を発する家屋リニューアル系のショウが全盛だったが、今年は、人間のメイクオーヴァーに的を絞ったリアリティ・ショウが、新たなブームとしてしのぎを削った。このジャンルだけに焦点を当てると、その本家本元のABCの「エキストリーム・メイクオーヴァー」は今でも人気があり、このジャンルを代表する番組として君臨している。


次に知られているのがブラヴォーの「クイア・アイ・フォー・ザ・ストレート・ガイ」で、スピンオフの「クイア・アイ・フォー・ザ・ストレート・ガール」を生み出すほどヒットした。その次に話題になったのが、散々悪趣味と言われながらも人々の興味を惹くことに成功したFOXの「ザ・スワン」で、FOXがこの手の番組を製作するとなんでいつもこんなに下衆になってしまうのか。


これらの主要な番組以外にも同工異曲の番組は数多く現れた。MTVの「アイ・ウォント・ア・フェイマス・フェイス (I Want a Famous Face)」、E!の「Dr. 90210」、TLCの「ア・メイクオーヴァー・ストーリー」、「ボディ・ワーク」、「ホワット・ナット・トゥ・ウェア」、ディスカバリー・ヘルスの「プラスティック・サージェリー: ビフォア&アフター」、ブラヴォーの「マイアミ・スライス」、ライフタイムの「ヘッド・2・フォー (Head 2 Foe)」、シンジケーションの「アンブッシュ・メイクオーヴァー」、など、実際に整形手術を行うか行わないかの違いこそあれ、あとからあとから似たような番組が現れた。


その中でもさらに、VH1の「フラブ・トゥ・ファブ (Flab to Fab)」、NBCの「ザ・ビギスト・ルーザー (The Biggest Loser)」等、ただ単に減量を競うだけの番組まで現れるところが、いかにも肥満が社会問題になっているアメリカらしいと思わせた。今後もこの手の人間メイクオーヴァー系の番組は、手を変え品を変えぞくぞくと現れてくるものと思われる。



4. セレブリティ・リアリティ・ショウの興隆


現在人気のリアリティ・ショウの中でも、メイクオーヴァー系と並ぶもう一つの傍流が、セレブリティ系のリアリティ・ショウだ。いわば古くからある芸能界ニューズの亜流と言えるが、特に一人または一つのグループだけに焦点を当て、日常生活の一部始終に密着するというところにポイントがある。


新セレブリティ系リアリティ・ショウとしてこのジャンルを定着させたのは、まず、なにはともあれMTVの「ジ・オズボーンズ」だろう。その後このジャンルでは、ジェシカ・シンプソンとアシュリー・シンプソン姉妹の「ニューリーウェズ」「ジ・アシュリー・シンプソン・ショウ」(共にMTV)、およびFOXの「ザ・シンプル・ライフ」がこのジャンルの定着を決定づけた。さらにWBで始まってVH1に移り、「ストレインジ・ラヴ」というスピンオフまで登場した「ザ・サーリアル・ライフ」等、本当は音楽専門チャンネルのはずのMTVとVH1という二つの姉妹チャンネルが、特にこのジャンルを牽引している。VH1は最近では自らセレブリアリティ・チャンネルと名乗り、恥も外聞もなくこの手の番組ばかり放送している。


またこの系統は、ドナルド・トランプがホストの勝ち抜きリアリティ「ジ・アプレンティス」というヒット番組も生み出し、その成功を受けて、ヴァージンのリチャード・ブランソンがホストの「ザ・レベル・ビリオネア」、同様に億万長者のマーク・キューバンがホストの「ザ・ベネファクター」という物真似番組も即座に現れた。


他には、NYのマフィア王ジョン・ゴッティの後家さんヴィクトリアとその息子たちに迫る「グロウイング・アップ・ゴッティ」(A&E)、ユワン・マグレガーによるオートバイ大陸横断の模様をとらえた「ロング・ウェイ・ラウンド」(ブラヴォー) 等の番組が登場した。変わりどころでは、イランの皇族アン・クレアがお婿さん探しをする様をとらえた「ラヴ・イズ・イン・ジ・エア (Love Is in the Heir)」(E!) なんてのもあった。このような、特に超大物というわけではないヨーロッパや中央アジアの皇室の人間が登場する番組の企画は、さらに何本か俎上に上がっている。



5. ギャンブル・オン・TV -- ポーカー中継


元々ゲーム・ショウは、ほとんどTV誕生と時を同じくして生まれた、歴史のあるジャンルである。これらのゲーム・ショウは多くにおいて、なんらかの賞金が賭けられるのが普通だ。しかしここ数年のゲーム・ショウは、そのギャンブルとしての側面だけに焦点を当てた、もはやゲーム・ショウではない、ギャンブル番組としての新たなサブ・ジャンルを構築している。


それを代表するのが、最近雨後の竹の子のようにあちらこちらで放送されているポーカー中継だ。これらの番組の特色は、エンタテインメントとしてのポーカーではなく、ギャンブルとしてのポーカーに注目していることがポイントで、出演者も実際ポーカー・フェイスで無駄口を叩かず、ただ勝負に勝つことのみに専念する。最初は確かトラヴェル・チャンネルがプロのポーカー・プレイヤーの選手権を中継した「ワールド・ポーカー・ツアー (World Poker Tour)」がその口火を切ったと記憶しているが、すぐに他のチャンネルにも飛び火し、今ではスポーツ専門チャンネルのESPNまでもがこのツアーを中継している。確かに勝負事には違いない。


他にもブラヴォーによるセレブリティのプレイヤーを起用した「セレブリティ・ポーカー」や、GSNの「ポーカー・ロイヤル: ザ・WPPAチャンピオンシップ」等が現れているだけでなく、ブラック・ジャックの中継番組なんてのも登場してきた。ただ番組の数が増えてきたのみならず、どれもそれなりに視聴率を獲得しているというのもポイントで、要するに、それなりの人気を博していると言っていい。


これらの番組とほぼ時を同じくして、ドラマやリアリティ・ショウの方でも、NBCの「ラス・ヴェガス」、FOXの「ザ・カジノ」、ディスカバリーの「アメリカン・カジノ」等、カジノやギャンブルの世界を描いたりとらえたりする番組が増えた。人々の懐に余裕ができ、ギャンブルに金を使える人々が増えたのか、あるいは一攫千金に頼るしかないやばい人々が増えたのか、ただ一つ言えるのは、人間はやはりギャンブル好きだということだ。



6. ネットワークのワールド・ニューズにおける二人の代表的アンカーの引退


2004年、米TV界を代表する二人のニューズ・アンカーが引退を表明した。NBCの「ナイトリー・ニューズ」のトム・ブロコウと、CBSの「イヴニング・ニューズ」のダン・ラザーである。既にブロコウはアンカーの座を降り、ラザーも2005年3月に番組を降りる。もちろん二人共今後も特番やらなんやらでまたぞろ顔を見せるだろうし、ラザーは「60ミニッツ」は今後も続けるそうだから、「トゥナイト」を引退後、どこで何しているかとんと消息の知れなかったジョニー・カーソンのように、悠々自適の生活に隠棲するわけではない。それでも、30年もの間、ほとんど毎夕顔を見せていたアメリカを代表する二人のアンカーがほぼ同時期に引退を表明したことは、大きな事件だ。


ブロコウの「ナイトリー・ニューズ」は、ラザーの「イヴニング・ニューズ」、ABCのピーター・ジェニングスの「ワールド・ニューズ・トゥナイト」と並ぶ3大ネットワークのワールド・ニューズの中で、最も人気があった。次に視聴率が高かったのが「ワールド・ニューズ」で、「イヴニング・ニューズ」は最も視聴率獲得に苦労していた。ブロコウの引退は、視聴率1位の座を維持したままの勇退という印象が強く、一方、ラザーの方は視聴率狙いに走りすぎ、スキャンダルを起こした挙げ句の引責という見方が強い (下項10参照。)


ジェニングスはここらでなんとかして差を詰めておきたかったところだろうが、ブロコウの後任ブライアン・ウィリアムスはブロコウの後をスムースに引き継ぎ、今のところ視聴率争いに大きな変動はない。一方のラザーの後任は、複数アンカーで番組を進めるという案が浮上しているが、まだ正式な発表はない。ニューズ・アンカーではないが、これを書いている2005年初頭、上に記したジョニー・カーソンが死去するというニューズがあった。米TV界の懐深く鎮座ましましていた本当の大物が引退するか鬼籍に入る。こうやってTV界も変わっていくんだろう。



7. 「ジェパディ」の救世主、ケン・ジェニングス


ゲーム・ショウはアメリカTV界、特にシンジケーションで主要なジャンルであり、その中でも「ホイール・オブ・フォーチュン」と「ジェパディ」の2本は、人気と歴史を二分するクラシック・ゲーム・ショウだ。あまりにも当たり前に毎夕放送されているので、今さら特に両番組が人気があるとは感じなかったりするのだが、もし、いきなり両番組が編成から消えたら、アメリカの夕方はだいぶ印象が異なる時間帯になるに違いない。


とはいえ、これらの長寿ゲーム・ショウがたとえ高視聴率を維持していようとも、近年、ほとんど大した話題を生み出すことができなかったのもまた事実だ。つまり、これらの番組はコアの視聴者だけで持っているのであり、今後、視聴率が大きく上向きになる可能性はほとんどないと言ってよかった。そこへ降って湧いたかのように現れたのが、「ジェパディ」のケン・ジェニングスだ。


元々単純に知識の優劣を競う勝ち抜きゲーム・ショウの「ジェパディ」は、本当の切れ者が一人いれば、そいつが延々と勝ち抜いていってしまう可能性が常にある。番組としてはそれは避けたいところであり、そのために、連勝キャップ制を設けて、続けて勝ち抜ける回数は一週間までと上限が決められていた。それだけを勝ち抜いてしまうと、次の回からはメンツは一新される。常勝する者は減点するミスもあまり犯さないため、一回で稼ぐ額もかなりの額になる。そのため、その点からも連勝キャップ制は番組製作会社にとって有効なシステムと思われていた。


しかしある時、製作者の一人が、もしかしたらそうじゃないんではないかと考えた。いくら常勝者が平均からはいくらか高い賞金を獲得しようとも、そんなに目くじら立てるほどの差ではないし、それよりも、いったん勝ち始めた常勝者が、どこまでその記録を伸ばしきれるかという点こそが視聴者を最もエキサイトさせることになるのではと考えた。それで昨年から「ジェパディ」の連勝キャップ制は廃止され、その力がある限り、負けるまでいつまでも勝ち続けてよいという新システムに則った新生「ジェパディ」が誕生した。そして今年、ケン・ジェニングスが現れたのだ。


ユタ州のソフトウェア・エンジニアであるジェニングスは、童顔でオタク面した30歳の妻子持ちである。番組には6月2日に登場、あれよあれよという間に「ジェパディ」だけではなく、すべてのゲーム番組が持つ記録を塗り替えた。獲得賞金が100万ドルを超えた7月中旬から人々の噂となるようになり、視聴率が飛躍的に伸びた。特に地元のソルト・レイク・シティでは、「ジェパディ」の視聴率は普段の倍に跳ね上がったそうだ。そして9月15日には、1980年に「ティック・タック・ドー (Tic Tac Dough)」のトム・マッキーが持っていた全ゲーム・ショウにおける連勝記録である45連勝という記録を塗り替えた。


11月3日には2001年に「フー・ウォンツ・トゥ・ビー・ア・ミリオネア」で2度ミリオネアの頂点に登りつめたケヴィン・オルムステッドが持つ218万ドルという獲得賞金記録に追いつき、そして11月30日、74連勝で記録に終止符を打つまで、獲得した賞金は252万700ドルに達した。因みに「ジェパディ」だけに限ると、最高獲得賞金記録は特別シリーズでブラッド・ラターが獲得した1,155,102ドルである。ジェニングスはその他にも、1エピソードにおける獲得賞金の新記録 (75,000ドル) も達成している。


因みにジェニングスが誤答してしまった最後の問題は、「この企業の7万人に及ぶホワイト・カラーの季節従業員は、年間で4か月しか働かない」というものだった。私ですらもしかしたらH&Rブロックかなと思った。税金申告の書類準備専門のこの企業は、毎年申告締め切り間際しか仕事がないのだ。アメリカ市民ではない私ですら知っていたというのに、こんな簡単な問題を知らなかったジェニングスは、こともあろうにフェデックスと答えてしまった。もしかしたらこいつは脱税の常習犯かと考えたのは私だけではあるまい。なんて、もちろん妬んでいるだけだよ。私にも少し金くれーっ。



8. 「ロウ&オーダー: クリミナル・インテント」、二つの結末


長寿人気番組の「ロウ&オーダー (Law & Order)」には、「SVU (スペシャル・ヴィクティムス・ユニット)」と「CI (クリミナル・インテント)」という2本のスピンオフ番組がある。特に「CI」の方は、それまでの事件主導型で登場人物はほとんど将棋の駒でしかない「ロウ&オーダー」シリーズとは異なり、主人公を演じるヴィンセント・ドノフリオが、まるで名探偵のような推理を披露して犯人を追いつめていくところがポイントとなっている。


とはいえ「CI」はそういった前シリーズの成功の枠組みを踏襲していなかったために、視聴率という点では少し苦戦していた。そこで考えられたのが、視聴者投票によって番組の結末を決めてしまおうというスタントである。番組ではドノフリオ演じるゴレン刑事の天敵であるニコール・ウォレス (オリヴィア・ダボ) が、番組の最後で死ぬヴァージョンと生き延びるヴァージョンの2通りのヴァージョンが製作され、10月17日に東海岸と西海岸でそれぞれ別ヴァージョンが放送された。


その後NBCのホーム・ページで両ヴァージョンのエンディングがウェブキャストされ、それらを見た視聴者に、死亡ヴァージョンと生存ヴァージョンのどちらがいいかをインターネットを通じて投票を促した。その結果、62,074票対54,224票、約8,000票差で、ニコールは生き延びることになったものである。今回は一回限りのスタントであったわけだが、今後、このように視聴者の意見を参考にするというインタラクティヴ型の番組製作の試みが増えてくるかもしれない。



9. 「サタデイ・ナイト・ライヴ」におけるアシュリーの口パク暴露


土曜夜11時半から始まるNBCの長寿ギャグ番組「サタデイ・ナイト・ライヴ (SNL)」は、毎回、レギュラー・パフォーマーだけでなく、ゲスト・ホストとゲスト・ミュージシャンを迎えるのが慣例になっている。ミュージシャンの方はただ歌うだけだが、ゲスト・ホストに迎えられた者は、ギャグ・スキットもレギュラーに混じってこなさなければならない。


10月23日放送分の「SNL」は、ゲスト・ホストがジュード・ロウ、ゲスト・ミュージシャンがアシュリー・シンプソンという、若い者に人気の二人を揃えた、いかにも「SNL」らしい人選だった。番組は滞りなく進み、アシュリーも一曲目の「ピーセス・オブ・ミー (Pieces of Me)」を無事歌い終え、2曲目を歌う段になった (通常ミュージック・ゲストは番組内で2曲披露する。) その時、アシュリーが予定してたのは最新シングルの「オートバイオグラフィ (Autobiography)」だったが、バンドが演奏を始め、アシュリーがマイクを口元に持っていく前に、バックでなんとアシュリー自身の「ピーセス・オブ・ミー」の歌声が流れ始めた。


アシュリーはパニクったんだろう、どうしていいかわからず、少しの間アドリブでダンスなんか披露していたが、結局らちがあかず、途中で舞台を降りて退場してしまった。観客席がざわつき、番組はすぐコマーシャルに飛んだ。この日アシュリーはのどの調子が悪かったために急遽録音を使うことにしたらしいのだが、「SNL」は基本的に音楽ゲストもライヴで、これまでパフォーマーに口パクなどさせたことがなく、慣れないことに連絡が不徹底だったため、こういうことが起こったらしい。番組の最後のクロージングではロウが「What can I say... It's live tv」と諦め顔で言い、アシュリーも出てきて無茶苦茶恥ずかしいとかなんとか言っていた。


実はこのシーン、私はその時の「SNL」を実際に見ていたわけではない。それでも詳しく説明できるのは、実はちょうどその回の放送時に、人気番組「SNL」の内情を紹介するべくCBSの「60ミニッツ」が取材で楽屋裏に入り込んでおり、その一部始終をカメラにとらえていたからだ。おかげで私を含めアメリカの視聴者は、なぜどのようにこういった事態が起こってしまったかということを詳しく知ることができた。アシュリーも可哀想だったが、少なくとも「60ミニッツ」を見た限りでは、最もショックを受けていたのは「SNL」の番組関係者で、その瞬間、舞台袖であんぐり口を開け血の気が引いている関係者の姿が見てとれ、そちらの反応の方がよほど劇的で面白かった。因みにこの回の「60ミニッツ」は、ほぼ4年ぶりという高視聴率を獲得している。


ミリ・ヴァニリじゃあるまいし、タイミングが悪かったら歌手生命の存続にかかわる大事件であったわけだが、現在でもアシュリーの人気は高い。一応彼女は他の場所では実際に歌っているわけだし、考えれば、コンサートになると必ず口パクになるブリトニー・スピアーズよりは、もしかしたら罪は軽いかもしれない。それにまた、そういうブリトニーのような先例もあるから、視聴者もこのような事例には寛容になっているというのもあるかもしれない。


しかし、それよりもなによりも私が最も感心したのは、「SNL」の2日後にやはりNBCが生中継した「レイディオ・ミュージック・アウォーズ」で、いきなりパフォーマーとしてアシュリーが登場、歌い出そうとしたら彼女がまだ歌い始めてもいないのにバックに彼女の声で歌が流れ始め、アシュリーが慌てふためく‥‥という展開だった。もちろん自分で自分をパロったギャグで、しばらくしてアシュリーが、「冗談、冗談」と言って今度はちゃんと歌い始めたのだが、こういう自分を笑い者にできるギャグ・センスには感心してしまう。こういうジョークを認めるネットワーク側も大人だ。少なくとも転んでもただでは起きないアシュリーのこういった図太さや立ち直りの早さ、機転の利かし方や前向きな姿勢こそが、彼女が人気がある理由の一つでもあることは確かだろう。



10. 収まらないCBSの受難


今年初っ端にスーパーボウルでジャネットの「ワードローブ・マルファンクション」で躓いたCBSの受難は、それだけでは収まらなかった。特に年度も後半になって、CBSにとっては痛い事件が続けて起こった。まず9月、CBSを代表するニューズ・アンカーのダン・ラザーが「60ミニッツ」内で、ソースに疑惑のある情報であるにもかかわらず、それを鵜呑みにして、ジョージ・ブッシュ大統領がテキサス州兵時代にインチキをして軍務を軽減したというニューズを報道した。間を置かずブッシュ側は反駁、現実にその情報ソースが嘘八百であることが証明されるに及んで、CBSは窮地に立たされた。


結局、ラザーは自分の非を認めざるを得ず、釈明したのだが、私が痛く感心したのは、ラザーはその釈明会見において、自分たちの間違いを認めたが、最後まで謝らなかったことだ (悔やむとか残念だとかいう言葉で濁し、ごめんなさい (Sorry) とは一度も言わなかった。) 自分は間違ったかもしれないが、悪いことはしていないという気持ちがあるんだろう。しかしそれでも、結果として周囲に多大な迷惑を及ぼしたことには変わりないのに、この倣岸さは大したものだ。このくらい我が強くないとネットワークで長年アンカーなど勤め上げてなぞいられないということか。


いずれにしてもCBSはこの事件を真面目に受け止め、番組プロデューサーを含む何人かが責任を追及されてクビになった。しかし、その張本人であるラザーはクビを免れている。たとえ最後に番組にゴー・サインを出すのがプロデューサーの責任だとしても、やはりこの場合、最も責任を背負ってしかるべきなのはラザーだと思うんだが。事件後の人事をめぐって、いろいろな内部のパワー・ゲームが炸裂したことは想像に難くない。


一方、ジャネット以降、FCCの風紀紊乱に対する監視の目は厳しくなったが、9月放送のCBSの「ビッグ・ブラザー」において、参加者の一人が「Fxxk」と言ったのが明らかに聞こえるのをそのまま放送したとして、これまた調査の手が入った。こういった風紀問題に関しては、ジャネット以降すべてのネットワークがなんらかの影響を受けているのだが、スーパーボウルを中継し、さらにその後もこういう問題が続くということで、特にCBSに対する風当たりは強い。


そして泣きっ面に蜂というわけではないが、11月にPLOのアラファト議長が死亡した時にもごたごたがあった。この時、ネットワークの中でCBSだけが、番組途中で画面を臨時ニューズに切り替えた。その時米東海岸では夜10時57分。CBSが放送していたのは人気番組「CSI: NY」で、最後も最後、大詰めの瞬間に、アラファト死亡のニューズが画面下にテロップで流されるわけでもなく、番組自体が切り替わってしまった。


これが大きなニューズであることに私も異議を差し挟むわけではないが、しかし、あと3分後には11時のニューズが始まるという時間に、わざわざ進行中のドラマを無視してまで臨時ニューズを挿入する必要があったのか。「CSI: NY」のファンは怒った。番組がクライマックスにさしかかっている時に、あと3分くらい待つのはなんでもない。一方、11時のニューズの番組スポンサーも怒った。大きなニューズである。それこそ自分たちがスポンサーになっているニューズ枠で特集して放送してもらいたい。それなのに主要な部分はニューズが始まる前に大方放送を終えてしまった。


結局誰の利にもならないことをやってしまったことが明らかになってしまったため、この臨時ニューズ挿入にゴー・サインを出したニューズ責任者も、後日クビになった。なにもそこまでと思うが、ジャネット以降、CBSは不用意なミスをする者は厳罰に処すという方針で対応しており、そのプロデューサーも例外ではなかった。しかし、情報自体には「間違い」はなかったんだけどねえ。失敗した時期が悪かった。そんなこんなで、今年のCBSは、たとえ視聴率ではネットワークでトップの座に着こうとも、厄年という感がつきまとっていた。はてさて来年はどうなることやら。



番外: 突然人気のジャパニーズ・カルチャー


それほど遠くない昔、アメリカにおける日本製の番組、あるいは日本が関係する番組といえば、アニメ、および「アイアン・シェフ」こと「料理の鉄人」しかなかった。それが最近、いきなりなにやらTVで日本関係の番組や話題をやたらと (というほどのものでもないかもしれないが) 目にする機会が増えた。昨年来でも「MXC」こと「風雲たけし城」、「デイティング・エクスペリメント」こと「未来日記」という日本産の番組の吹き替えやリメイクがアメリカでも放送されているが、今年は、アメリカ産の番組の中で、日本が関係したり言及される展開が増えたのが大きな特徴だ。


NBCの人気ドラマ「ロウ&オーダー」では、「Gaijin」と題された回で日本のヤクザがテーマになり (演じたのは韓国系のウィル・ユン・リーだが、わりといい味を出す役者なので許す)、ブラヴォーの男性モデルを選ぶ勝ち抜きリアリティ・ショウの「マンハント (Manhunt)」では、男性モデルにさせる仕事の一つにもずくを食べさせて日本語でキャッチ・フレーズを叫ばさせるってのがあって、もずくなんか生まれて初めて食うに違いないハンサムなにーちゃんたちが、ヘンな味にビビって口の端からモズクを垂らし、ハンサムな顔を台無しにしながら演技するのがなかなか面白かった。


モデルといえば、元祖モデル発掘リアリティ・ショウのUPNの「アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル」では日本ロケを敢行、ふーん、さすが人気番組、金使っているじゃないのと思っていたら、それが1エピソードだけでなく、シーズンの後半のほとんどを日本ロケに費やしてしまうという荒技を見せていた。東京の、ホテルではなく旅館にモデルたちを泊まらせ、慣れない畳の部屋でカルチャー・ギャップを感じさせながら番組を進めていく体裁になっており、こいつも楽しませてくれた。世界を駆け回っての勝ち抜きリアリティ、「レベル・ビリオネア」でも東京が舞台となって登場した。「Doki-Doki」なんてのもあった。


その他、CBSのミニシリーズ「カテゴリー6」の日本人ツーリストや「CSI: NY」での大食い小林の話題等、番組の中でちょい役で日本人が出たり日本の話題に言及されるシーン等は、それこそ数え切れないほどあった。そういった中で最も注目されるのは、パフィーが主演の「ハイ・ハイ・パフィー・アミユミ」ではないかと思われる。この番組はプリティーンの女の子が主要視聴者であることもあり、将来、カルチャーの垣根を取り払う可能性で言うと、最も影響力を持つ番組になりうる。


TVだけに限らなければ、平成中村座の歌舞伎NY公演の連日大入り満員の大盛況、宮本亞門のブロードウェイ・ミュージカル「太平洋序曲 (Pacific Overture)」、谷口吉生の新生MOMA等、特にニューヨーク近辺では日本人大活躍といった印象を強く受けた。さらに、なぜだか誉められまくりの村上春樹の「Kafka on the Shore (海辺のカフカ)」、タイム・ワーナー・センター内の寿司レストラン「Masa」がニューヨーク・タイムズで20年ぶりの4つ星獲得、日本を舞台の「The Juon」の大ヒットと、日本関係のニューズは枚挙に暇がない。あ、そうそう、忘れちゃならないイチローと松井の活躍なんてのもあった。


こういった人気は実は日本だけに対するものではなく、ヴィデオ・ゲームやカンフー映画に端を発する中国ブームも含めた、アジア全般に関する注目度が高まったことの表れの一部でもある。実際の話、日本、中国、韓国、台湾、さらに東南アジアを含めたカルチャーが一緒くたになってアメリカに押し寄せており、本当のところを言うと、いったいアメリカ人のどのくらいの部分が日本と中国、韓国の区別ができるかというと、さらさら疑問ではある。


こないだスーパーマーケットで買い物をしている時、ほとんど英語を解さないチャイニーズのおばさんが必死に何かキャッシャーの黒人の女の子にアピールしていたが、その女の子は音を上げて、私にこの女性が何言ってるか教えてくれと訊いてきた。私が、私は日本人であって中国人ではないので、あんた同様、彼女が言っていることはさっぱりわからないと言うと、驚いていた。たとえば南米出身だと、ポルトガル語とスペイン語を中心にかなり地方特有の言葉こそあれ、どこの国出身だろうと、言っていることはだいたい通じたりする。そのような感覚で、アジアの近寄った国々の者同士はある程度コミュニケーションはとれるんだろうと思っていたのがありありで、要するに、だいたい一般的アメリカ人がアジアに持っている知識というのは、多かれ少なかれこの女の子とどっこいどっこいだ。


こういった状況ではあるが、アジアの波は確実にアメリカにも浸透しているというのは、近年、肌で実感する。そして、その先鋒を担っているのがTVというメディアであることも、また確かだと思う。そして2004年はアメリカのTV界における日本元年だったともまた言えるのではないだろうか。さて、2005年のアメリカのTVは、今度はどういう展開を見せてくれるのか。








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2004年アメリカTV界10大ニュース

 
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