放送局: ショウタイム

プレミア放送日: 1/20/2001 (Sat), 1/27/01 (Sat) 20:00-22:00

製作: リー・ローズ・プロダクション

製作総指揮: リー・ローズ、ロバート・ハルミJr.

脚本/監督: リー・ローズ

撮影: エリック・ヴァン・ハレン・ノマン

編集: クリストファー・ラウズ

音楽: テレンス・ブランチャード

美術: シーラ・ヘイリー

衣装: ジョリ・ウッドマン

出演: ストッカード・チャニング (ドクター・ヌーナン)、エル・マクファーソン (ローレン)、ケイト・キャプショウ (ケイシー)、ブルース・グリーンウッド (フランク)、グレン・ヘッドリー (ヘレン)、レベッカ・デモーネイ (キム)、アリソン・ジェニー (キャシー)、エリザベス・フランツ (ジョセフン)、リン・ホイットフィールド (ニア)、スコット・バクラ (ポール)、リンダ・ハミルトン (レイチェル)、ミア・ファロウ (ベティ)、キャムリン・マンハイム (スザンヌ)、ペータ・ウィルソン (アレックス)


物語:

第1話: スイングしなけりゃ意味ないね (It Don't Mean a Thing If It Ain't Got That Swing)

弁護士事務所の共同オーナーとして働くローレンは、忙し過ぎて恋人を作る暇もない。友人が見かねてダブル・ブラインド・デートをセッティングしてくれるが、しかしローレンは、相手の有能なビジネスマンのフランクとボブよりも、そこに現れたもう一人の女性ケイシーの方に惹かれるものを感じてしまう‥‥


第2話: 三姉妹 (The Three Sisters)

ヘレン、キム、キャシーの三姉妹は仲が悪く、成長してからはお互いに連絡を取り合うことなく暮らしていた。富豪の母が死去した後、ヴィデオに収められた遺言を聞くために彼女らは久し振りに顔を合わせるが、母の残した遺言は、遺産を受け取るためには姉妹がもう一度一つ屋根の下で一週間共に暮らすというものだった‥‥


第3話: 邪悪な連帯 (Unholy Alliances)

ニアとポールの夫婦はお互いに忙しく、すれ違いの日々が続いていた。ほとんど会話を交わすことのない日々が続き、ニアはもしかして夫が浮気でもしているのではないかと不安になる。ニアは夫の気持ちを確かめるため、レイチェルを雇って夫をつけさせ、誘惑させてみる。レイチェルはポールがウエイトレスのベティと浮気していると確信するが‥‥


第4話: 私はOK、心配なのはあなたの方 (I'm OK, It's You I'm Not Too Sure About)

職場を首になってベスに面会に来たスザンヌは、情緒不安定で言いたいことだけ言った挙げ句、オフィスを出ていってしまう。次の患者のアレックスとのセッションを始めるベスだったが、その時、拳銃を片手にスザンヌがオフィスに舞い戻ってくる。ベスとアレックス、秘書のラニはスザンヌの人質となってしまう‥‥


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「ア・ガール・シング」を放送したショウタイムは、アメリカのケーブルTV界で最も多くのTV映画を製作/放送するペイTVのチャンネルである。毎月3-4本のTV映画を新規に放送しており、これはネットワークとためを張る数字である。FOXよりは間違いなく多い。ただし、その半分は子供/家族向け作品であり、ライヴァル・チャンネルのHBOが製作するTV映画に較べると製作予算が小さいため、あまり話題にならないし、批評家にも相手にされない。しかし時々その隙をついて問題作を放送する時があり、先頃発表されたゴールデン・グローブ賞でTV映画賞を受賞した「ダーティ・ピクチャーズ (Dirty Pictures)」なんて、そのいい例である。これは芸術か猥褻かで論議を醸したロバート・メイプルソープの写真展を題材にしたドキュドラマで、ジェイムズ・ウッズが主演するなどそれなりの話題になったが、やはり製作規模という点ではインディ映画並みのレヴェルであり、私は見てなかった。


また、ショウタイムはHBOと違って自社オリジナル番組といえども企画から製作まで全部自分たちでまかなっているわけではない。ただ製作費の何割かを出し、プレミアを自社オリジナル番組として放送するだけのこともある。そのため、でき上がった番組が予想以上によかったりすると、ショウタイムで放送するよりも先に劇場公開されたりすることがある。その代表例が「ゴッド・アンド・モンスター」で、この作品は実はショウタイムのTV映画用として製作されたのだが、そのできのよさにこれは劇場公開でもいけると判断したプロデューサーにより、急遽劇場での一般公開となった。その判断のおかげで主演のイアン・マッケランはアカデミー賞にもノミネートされるなど注目された。作品のためにはよかったと言えるのだが、面白くないのはショウタイムである。ショウタイムでプレミア放送してエミー賞にノミネートされるならともかく、アカデミー賞にノミネートされても、ショウタイムの名前は全然どこにも出ない。「おれたちはただ金を出すだけか」、とショウタイム社長のジェリー・オフセイがどこかのインタヴュウで愚痴っていたのを思い出す。


さて、この「ガール・シング」であるが、とにかく 錚々たる女優陣を揃えたミニシリーズである。今アメリカで人気のドラマ「ウエスト・ウィング」に出演中のストッカード・チャニングとアリソン・ジェニー、「プラクティス」のキャムリン・マンハイム、「ニキータ」のペータ・ウィルソン、スーパーモデルのエル・マクファーソン、スティーヴン・スピルバーグの奥さんケイト・キャプショウ、「ターミネーター」シリーズのリンダ・ハミルトン、その他レベッカ・デモーネイ、ミア・ファロウ、リン・ホイットフィールドと、全員がハリウッド映画で主演をはれるだけの女優をずらりと揃えた。まったくすごい面々である。ただしこれだけの面子を揃えるためにはそれぞれに払うギャラは相当抑えられているはずで、出演者にとってはほとんどヴォランティアのようなものであろう。多分、製作総指揮/脚本/監督の3足の草鞋を履くリー・ローズの人脈がものを言ったと思われる。


「ガール・シング」はニューヨークを舞台に、4つの異なった物語から成るオムニバスである。それぞれの登場人物が悩みを抱えており、精神科の女医ベス・ヌーナン(チャニング) の元を訪れる。ベスを触媒として、それぞれの物語が語られるという構成である。チャニングは「私に近い6人の他人」ではアカデミー賞にノミネートされる等、アメリカを代表する女優の一人である。それなのに彼女の代表作といって引き合いに出されるのは、いまだに「グリース」だったりするのがなんともおかしい。「グリース」でのオリヴィア・ニュートン・ジョンのライヴァル役は、よほど人々の心に印象に残っているらしい。


結構期待して見始めた「ガール・シング」であるが、オフィスに出勤するベスの下半身の後ろ姿をとらえたカメラが、そのまま後を追ってコーヒー・ショップに入っていくという冒頭の3分で、私の期待はものの見事に裏切られた。ニューヨークの生活にぶつくさ不平を言いながら歩くベスの足だけを見せて、その足を追っていく‥‥何が言いたいのかわからんがまあいいでしょう。ハイヒールでなくサンダルっぽいものを履いているところからすると、ニューヨークのキャリア・ウーマンの本当の姿をとらえているってノリか? でもチャニングの足のラインはお世辞にも奇麗とは言い難い。彼女のためにも、私ならやらんなあ。


当然のことながら路面は濡れており、イエロー・キャブが彼女に水をはねかけていくわけだが、そういう当然なくてはならないシーンをいかにスムースに見せるかというのはまさに演出家の腕の見せ所であるはずだが、それがいかにもわざとらしい。しかもそこから3メートル歩くとそこは既に水溜まりなどなく、路面は乾いている。そのためだけに路面に水をまいたというような演出はやめてくれよ。やるならカメラがとらえるとこ全部に水まいてくれ。その上、コーヒー・ショップに入っていくチャニングを追っていったカメラが彼女を舐めてカウンターに移動して店員をとらえた途端、そこでカメラの後ろにいる監督がキューを出したかのように、それまでカウンターの後ろに棒立ちでいた店員がいきなり喋りだす。ああ、もう、なんだこれ。ここは当然視界に入る前から店員は客の誰かと喋っており、それからチャニングを認めて話しかけるというのが演出というものの定石ではないか。


その後オフィスに入ったチャニングの最初のクライアントとしてローレン(マクファーソン) がオフィスに入ってくる件では、正面を向いて椅子に座るマクファーソンを見て、ああ、この構図どっかで見たなあ、でもこんなに下手じゃなかった、とつらつら考えているうちに、思い出した。スティーヴン・ソダーバーグの「エリン・ブロコビッチ」の冒頭のシーンだ。しかし椅子に座って正面から被写体を映すだけのシーンでなんでこんなに差が出ちゃうのか。もう、この差は圧倒的である。これは演ずる者の問題もあるだろうが、やはり演出家の問題である。ローズはあと20回生まれ変わってもソダーバーグの足もとにも及ばないだろう。私の思考は既に番組そのものよりも、なぜこんな下手な監督が4時間というミニシリーズの演出を任されたかという謎の方に向かってしまう。


一昨年だか、女優としては尊敬されているキャシー・ベイツが、A&Eでサム・シェパードとジュディ・デイヴィスを起用してTV映画「ダッシュ・アンド・リリィ (Dash and Lily)」を撮ったことがあった。その時も ベイツが尊敬されている女優であることはわかるが、しかし演技力と演出力は必ずしも比例するものではなく、もう二度と彼女に演出などさせてもらいたくはないと思ったことを思い出す。今回のローズもフェミニストとして尊敬されており、それなりのキャリアもあるというのはわかるが、彼女の本分は脚本の方であり、演出の方ではないというのは一目瞭然である。


実は彼女は監督をするのはこれが初めてではなく、女性番組専門のライフタイムで撮ったTV映画「トゥルース・アバウト・ジェイン (The Truth about Jane)」は、このチャンネルで過去数年で最も高い視聴率を獲得している。今回の起用は多分その辺を買われているのだろうが、いかんせん気負い過ぎか空回りしている。まだ240分の番組が始まって5分しか経たないが、既に私の興味のほとんどは失われてしまった。私だって暇じゃないのだ。あとはもうリモート・コントロールを片手に、早送りで面白そうなシーンを探しながらの駆け足鑑賞である。一応これだけの面子を揃えているわけだから、見所もあるに違いない。


しかし最初のマクファーソンとキャプショウの話は、今一つ面白くない。同じレズビアニズムの話ならHBOの「イフ・ディーズ・ウォールス・クッド・トーク2」の (第1話の) 方がよかった。この話では「13デイズ」でジョン・F・ケネディ役を好演したブルース・グリーンウッドと、マクファーソンのおっぱいを見れるのが得したと感じるくらい。特にモデルとしては一流なのかもしれないが、女優としてはそれほどでもないマクファーソンを主人公として起用したのはまったくのミスキャスト。キャプショウと役柄を入れ替えてキャプショウを主人公に、マクファーソンを脇に回した方が話としてはまとまったはず。


話としては次のジェニー/デモーネイ/ヘッドリーの三姉妹の話の方がまだ意外性があって飽きさせない。昨年のエミー賞で「あるセールスマンの死」でTV映画部門助演女優賞にノミネートされたエリザベス・フランツが、ヴィデオテープで遺言を述べる死去したばかりの富豪という役柄で特別出演している。しかしこの話も、仲の悪い三姉妹がもう一度昔のように一つ屋根の下で暮らすという見せ方次第ではもっと面白くなりそうな設定も、効果的に使用されているとは言い難い。出てるやつは皆うまいはずなのに、下手だなあと感じさせるのはやはり演出の問題である。


第3話、第4話も、この面子からすればやはり平凡の域を出ない。そういえば先週TV映画の最新版「華麗なるギャツビー」を見たが、4半世紀前に製作された映画ではデイジー役に扮したミア・ファロウが、第3話では冴えないコーヒー・ショップのウエイトレス役として出ている。しかもなんか腕辺りに老人特有のシミのようなものが浮いているようで、歳月というものを目の当たりにしたような思いだった。第4話では、オフィスに銃片手に乗り込んできたキャムリン・マンハイムをチャニングが殴り飛ばすというシーンがあるのだが、それがまた下手くそなアクションなんだ。あんな蝿が止まるような右フックで人が気絶するもんかね。ペータ・ウィルソンもここでは単なる不良娘で、だから何? という域を出ない。新シーズンの「ニキータ」では長かった髪をばっさり切って、ボーイッシュで格好よくなっているというのに、なんだかなあ。すべての人材を活かしきれていない。


また、この番組がオムニバスであり、チャニングがそれらを繋ぐ媒介として機能していることはわかるのだが、しかしそういったことよりも、一つ一つの話が完全に独立して成り立っており、お互いに何の繋がりもないというのが私としては不満である。「イフ・ディーズ・ウォールス・クッド・トーク2」もオムニバスで、それぞれの話に共通の人物というのはいないのだが、すべて同じ屋根の下で起こった話ということで、一つの大きな時間の流れの中で話が進んでいくというような共通低音のようなものがあった。


しかし「ガール・シング」はそれぞれがまったく別の話であり、チャニングが狂言回しとしてすべての話にオチをつけるようなことがあるわけでもない。チャニングはただ話を繋ぐだけである。4時間のミニシリーズというよりも、1時間のまったく別々の話を4本見せられているような気分になる。それぞれの話のできがいいなら多分それでもいいんだろうが、間に興味の持てない話が挟まると、画面を見続けるのに忍耐力がいる。そうまでして付き合っていられない。私の手はまたリモート・コントロールにのびるのであった。


ま、幸か不幸か冒頭で私を思い切りがっかりさせたようなシーンはその後出てこなかったが (まあ半分は早送りしたからなあ)、それでも出演している女優の知名度や実力から考えると、もっと面白くなってもよかったと思う。そうなると、やっぱり製作/脚本/監督をこなしたローズの責任ということになるだろう。4話の中の1本をもっと膨らませて2時間の作品にした方が最も効果的だったと思うが、それでもローズが監督していたら同じことだったかも。多分彼女が監督する作品を今後私が見ることはないだろう。







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A Girl Thing

ア・ガール・シング   ★1/2

 
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