2003年9月21日に発表のあった第55回プライムタイム・エミー賞 (55th Annual Emmy Awards) 受賞番組と、私の予想成績と反省。



コメディ・シリーズ助演男優


私の予想: ピーター・ボイル (「Hey! レイモンド (Everybody Loves Raymond)」CBS)

とったのは: ブラッド・ガレット (「Hey! レイモンド」CBS)


この部門は近年似たような面々がノミネートされ、交互に受賞しているので、今回はボイルの番と思ったんだが、まさかガレットの2連覇とは。ガレットはシーズン直前にギャラ問題でCBSと揉め、最初の数エピソードをすっぽかすという強硬手段に出た (そのため新シーズンの最初の数話にはガレットは登場しない)。この事件はちょうどエミー会員がエミー賞の投票をする時期に当たっていたはずで、つまり、ガレットの2連覇は、ガレットに心情的に近い俳優票が多く入ったからだろうという気がする。私はむしろ、主演ではない俳優のこういう無謀な行動はマイナスに響くと思ったんだが。



コメディ・シリーズ助演女優


私の予想: ドリス・ロバーツ (「Hey! レイモンド」CBS)

とったのは: ドリス・ロバーツ (「Hey! レイモンド」CBS)


予想通り。



ドラマ・シリーズ助演男優


私の予想: ヴィクター・ガーバー (「エイリアス (Alias)」ABC)

とったのは: ジョー・パントリアーノ (「ザ・ソプラノズ」HBO)


うーん、いくら昨シーズン最も印象的な死に方をしたとはいえ、助演というよりはゲスト・パフォーマンスに近いパントリアーノが、本当にとるとは思っていなかった。しかし、画面/スクリーンでは飄々とした印象を受けるパントリアーノが、ステージで感極まるとは、これまたまったく意外な一面を見せていた。



ドラマ・シリーズ助演女優


私の予想: レイチェル・グリフィス (「シックス・フィート・アンダー」HBO)

とったのは: タイン・デイリー (「ジャッジング・エイミー」CBS)


こいつは意外。今回は何度もノミネートされながらとれなかったデイリーの番だったか。そういえば助演男優のガレットと同じく、デイリーも昨シーズン (一昨年のシーズンだったかな) ギャラ問題で CBSと揉めてんだよねえ。



ミニシリーズ/TV映画助演男優


私の予想: ピーター・オトゥール (「ヒットラー: ザ・ライズ・オブ・イヴル (Hitler: The Rise of Evil)」CBS)

とったのは: ベン・ギャザラ (「ヒステリカル・ブラインドネス (Hysterical Blindness)」HBO)


このTV映画、見てないからなあ。なんともコメントのしようがない。



ミニシリーズ/TV映画助演女優


私の予想: ジーナ・ロウランズ (「ヒステリカル・ブラインドネス」HBO)

とったのは: ジーナ・ロウランズ (「ヒステリカル・ブラインドネス」HBO)


見てないのにカンで当たるということもある。



ヴァラエティ/ミュージック/コメディ・シリーズ (Variety, Music or Comedy Series)


私の予想: 「ザ・デイリー・ショウ・ウィズ・ジョン・スチュワート (The Daily Show with Jon Stewart)」コメディ・セントラル

とったのは: 「ザ・デイリー・ショウ・ウィズ・ジョン・スチュワート」コメディ・セントラル


イラク戦争時の政治ギャグが特に評価されたようだった。



ミニシリーズ/TV映画主演男優


私の予想: ウィリアム・H・メイシー「ドア・トゥ・ドア (Door to Door)」(TNT)

とったのは: ウィリアム・H・メイシー「ドア・トゥ・ドア」(TNT)


最近この部門は当たるなあ。



ミニシリーズ/TV映画主演女優


私の予想: ヘレン・ミレン (「ザ・ローマン・スプリング・オブ・ミセス・ストーン (The Roman Spring of Mrs. Stone)」ショウタイム)

とったのは: マギー・スミス (「マイ・ライフ・イン・ウンブリア (My House in Umbria)」HBO)


最近この部門は当たらないなあ。



TV映画


私の予想: 「ドア・トゥ・ドア」(TNT)

とったのは: 「ドア・トゥ・ドア」(TNT)


近年この部門はHBO圧倒的有利で、今回も三つもノミネートされていたが、とったのはたった一つしかノミネートされていないTNT番組だった。しかしTNT番組も質高いのが多いから、しょうがあるまい。



ミニシリーズ


私の予想: 「ヒットラー」(CBS)

とったのは: 「テイクン (Taken)」(Sci-Fi)


まったくの予想外。エミー会員で「テイクン」を全エピソード見た奴って本当にいるのかと思うのだが。スピルバーグ製作番組というネイム・ヴァリューと、多分、規模の大きな番組だったため、「テイクン」に関係したエミー会員が多く、彼らが投票したからという気がする。



リアリティ/コンペティション・プログラム (Reality/Competition Program)


私の予想: 「アメリカン・アイドル (American Idol)」FOX

とったのは: 「ジ・アメイジング・レース (The Amazing Race)」CBS


外れた。最初から全然当たる気もしなかったけど。



コメディ・シリーズ主演男優


私の予想: トニー・シャロウブ (「モンク (Monk)」USA)

とったのは: トニー・シャロウブ (「モンク」USA)


ずばり予想通り。シャロウブもわりと感激屋のようだ。俳優というものは演じている役と実物は、実はかなり違うようである。



コメディ・シリーズ主演女優


私の予想: ジェイン・カツマレク (「マルコム・イン・ザ・ミドル (Malcolm in the Middle)」FOX)

とったのは: デブラ・メッシング (「ウィル&グレイス (Will & Grace)」NBC)


カツマレク、来ないねえ。もし今回もカツマレクだめなら、またヒートンだろうと思ったんだが、意外にもメッシングだった。本人、自分でもまさかとれるとは思っていなかったようで、名前を呼ばれた時に一瞬自分のことだとは気づかなかったみたいだった。



ドラマ・シリーズ主演男優


私の予想: ジェイムス・ガンドルフィーニ (「ザ・ソプラノズ」HBO)

とったのは: ジェイムス・ガンドルフィーニ (「ザ・ソプラノズ」HBO)


とってみればこの上なく妥当。



ドラマ・シリーズ主演女優


私の予想: イーディ・ファルコ (「ザ・ソプラノズ」HBO)

とったのは: イーディ・ファルコ (「ザ・ソプラノズ」HBO)


こちらも当然。



コメディ・シリーズ


私の予想: 「カーブ・ユア・エンシューシアズム (Curb Your Enthusiasm)」HBO

とったのは: 「Hey! レイモンド」(CBS)


「レイモンド」侮りがたし。これでよくシャロウブがロマノを抑えて主演男優賞をとれたもんだ。



ドラマ・シリーズ


私の予想: 「シックス・フィート・アンダー」(HBO)

とったのは: 「ザ・ホワイトハウス (The West Wing)」(NBC)


「ザ・ホワイトハウス」4連覇なる。しかし、まだ「ホワイトハウス」擁護派の残党がいたとは。



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9月21日以前に発表のあったマイナー部門の受賞予測。



ノンフィクション・プログラム (オールターナティヴ) (Nonfiction Program (Alternative))


私の予想: 「トレイディング・スペイシズ (Trading Spaces)」TLC

とったのは: 「シルク・ドゥ・ソレイユ: ファイア・ウィズイン (Cirque du Soleil: Fire Within)」ブラヴォー


まるっきり外れた。エミー会員にもシルクが好きなのは結構いるんだな。



アニメーション (Animated Program for Programming Less Than One Hour)


私の予想: 「スポンジボブ・スクエアパンツ (SpongeBob SquarePants)」ニコロデオン

とったのは: 「ザ・シンプソンズ (The Simpsons)」FOX


ちぇ、昨年「シンプソンズ」を予測して外れたので今年は「シンプソンズ」外しで予想したのに。




総評(反省と今後の対策)


今年も昨年と同じく、予想した全20部問中8部門的中。当てにくいエミーで的中率4割台が維持できれば大したものと自画自賛。これが競馬ならこれだけで充分食っていける。しかし、最も重要なコメディ/ドラマの両番組賞を外しているからな。コメディでは、近年俳優部門で圧倒的な強さを誇っていたが、番組自体は無冠だった「レイモンド」がついに来た。ドラマの「ホワイトハウス」の受賞は、番組が忘れ去られる前の最後の輝きという印象が強いが、さて、果たして来年はどうなるか。


式そのものは、従来のような一人のホストを立てるというものではなく、12人のコメディアンがそれぞれ交代でMCを担当するという新しい試みがとられた。これが成功したかは意見の分かれるところだろうが、私見ではあまりにもめまぐるしく、落ち着かないというマイナスの印象の方が強かった。その中で私が最もうまくまとめたと思うのは、エレン・デジェネレス、コナン・オブライエン、ジョン・スチュワート、マーティン・ショートの4人。彼らには芸がある。


一方、最も顰蹙もんだったのがジョージ・ロペス。今回、何らかの形で人種差別ギャグを入れていた者が多かったが、ロペスが一番洗練されてなく、鼻についた。だからヒスパニックはネットワーク番組で主演を張れないんだよと思ったのは私だけではあるまい (因みにロペスがABCで主演している「ジョージ・ロペス・ショウ」が、現在ネットワークにおいてヒスパニック系が主演している唯一の番組だ)。ゲイリー・シャンドリングとブラッド・ガレットの最近流行りのセイム・ジェンダー同士のキスも、こないだマドンナとブリトニーがMTVアウォーズでやったほどのセンセーショナルさはなく、しかも、トニー賞授賞式で、本当にゲイの受賞者がキスしていた時のような自発性もなく、既に時代遅れの感しきり。


アメリカのこういうセレモニーはどうしても政治的色彩を持つことを免れきれず、主催者はいつもそういう特定の色を持たないように気を配るのだが、それでもどうしてもそういう発言が出る。「サタデイ・ナイト・ライヴ」で政治ギャグ・コーナーを受け持っているダレル・ハモンドがまたそういうギャグをかますのはしょうがないとしても、彼のMCの時に目を背けていた聴衆がいたのも、またしょうがない。彼のギャグで不愉快になるのもいるのだ。


とはいえ、スチュワートのMCでへえ、と意外に思ったのが、現在カリフォルニア州知事に立候補しているアーノルド・シュワルツネッガーが、TV界 (というか民主党か) ではかなりバカにされていたことだ。これがアカデミー賞だったら、たとえシュワルツネッガーと違う党をサポートしていようとも、ホストがシュワルツネッガーをバカにするギャグを飛ばすとは到底思えない。シュワちゃんはTVの人間ではないんだなあということを知った。奥さんのマリア・シュライヴァーはTV界の人間なんですけどね。


しかし今回もまた思ったんだが、エミー賞には不要な賞が多すぎる。ゲスト・パフォーマンスだとか、ドラマ/シットコムの1エピソードの演出だとか、はっきり言ってそんなの、視聴者は気にしてないよ。そういう業界人のためだけの賞はプライムタイム・エミー賞の中でわざわざ時間を割いて表彰することなんかせず、これに先立って行われたクリエイティヴ・エミー賞で、自分たちだけで祝ってくれ。私ゃその手の賞の番が回ってくると、チャンネルを切り換えたり、他のヴィデオを一瞬見たり、短編ミステリを読んだりしていた。その手の賞は全部取っ払って、2時間番組にしてくれ。







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第55回プライムタイム・エミー賞受賞番組発表

 
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