2003年7月17日に発表のあった第55回プライムタイム・エミー賞 (55th Annual Emmy Awards) のノミネート番組から、受賞番組を予測。受賞発表は9月21日。


今回のエミー賞ノミニーは、主要部門が昨年とほとんど変わっていない。すなわち、昨シーズン、これといったヒット番組が出ていないことを如実に証明している。そのノミネーションで最も目を引くのが、昨年まで11年連続でドラマ部門にノミネートされていた「ロウ&オーダー」の落選で、11年連続ノミネートというのは、これまでドラマではこの「ロウ&オーダー」のみが記録しており、シットコムを含めても、「チアーズ (Cheers)」と「マッシュ (MASH)」しか達成していない大記録だ。「ロウ&オーダー」は今回、新記録を作るか作らないかの瀬戸際だったものをエミー会員から否定されたわけで、番組プロデューサーのディック・ウルフはさぞやがっかりというところだろう。


俳優を見ても、結局、一昨年のシーズンに新エピソードが放送されなかったために候補から漏れた「ザ・ソプラノズ」の面々が、また帰ってきただけという結果になった。ということは、つまり、「ザ・ソプラノズ」の影響がまるでないコメディ部門は、ほとんど昨シーズンと代わり映えのしない顔ぶれとなっているわけで、特にコメディ番組、主演女優等の主要部門で、昨年とまったく同じ番組/俳優が並んだ。まあ、昨シーズン最も話題となった番組は、リアリティ・ショウの「ジョー・ミリオネア」と「アメリカン・アイドル」であったわけだし、それもしょうがないと言えばしょうがないか。


さて、今回の私の予想は:



コメディ・シリーズ助演男優 (Supporting Actor in a Comedy Series)


ピーター・ボイル (「Hey! レイモンド (Everybody Loves Raymond)」CBS)

ブライアン・クランストン (「マルコム・イン・ザ・ミドル (Malcolm in the Middle)」FOX)

ブラッド・ガレット (「Hey! レイモンド」CBS)

ショーン・ヘイズ (「ウィル&グレイス (Will & Grace)」NBC)

ジョン・マホニー (「「フレイジャー (Frasier)」NBC)

デイヴィッド・ハイド・ピアース (「フレイジャー」NBC)


なぜだか5人のノミニーのはずが6人になって、昨年とまったく同じ顔ぶれに、「フレイジャー」のマホニーが加わった。だからといって大勢に影響はあるまい。昨年受賞したのはガレットだが、この部門はヘイズ、ピアース等が順繰りにとっていたりするので、エミー会員は、何度もノミネートされていても受賞を逸している者に功労賞的な意味合いで投票しているような気がする。実際、誰がとってもおかしくもないし文句もない。というわけで今回受賞するのは、ここんとこ連続でノミネートされてはいるが受賞を逸している、ボイルの番という気がするのだが。



コメディ・シリーズ助演女優 (Supporting Actress in a Comedy Series)


キム・キャトラル (「Sex and the City」HBO)

シェリル・ハインズ (「カーブ・ユア・エンシューシアズム (Curb Your Enthusiasm)」HBO)

メーガン・ムラリー (「ウィル&グレイス」NBC)

シンシア・ニクソン (「Sex and the City」HBO)

ドリス・ロバーツ (「Hey! レイモンド」CBS)


「ジャスト・シュート・ミー」が昨シーズン限りでキャンセルされちまったため、同番組に出ていたウェンディ・マリックが選から漏れ、代わりに「カーブ・ユア・エンシューシアズム」のハインズがノミネート入り。ポイントは「レイモンド」のロバーツの3連覇なるかというところだが、うーん、ボイルと並んで老夫婦の助演部門制覇は、大いにありそうな気がする。よし、ここはまたロバーツで行ってみよう。



ドラマ・シリーズ助演男優 (Supporting Actor in a Drama Series)


ヴィクター・ガーバー (「エイリアス (Alias)」ABC)

マイケル・インペリオリ (「ザ・ソプラノズ (The Sopranos)」HBO)

ジョー・パントリアーノ (「ザ・ソプラノズ」HBO)

ジョン・スペンサー (「ザ・ホワイトハウス (The West Wing)」NBC)

ブラッドリー・ホイットフォード (「ザ・ホワイトハウス」NBC)


昨年3人もノミネートされた「ザ・ホワイトハウス」は今年は二人に減って、「ザ・ソプラノズ」から二人ノミネート入り。ここでのポイントは、昨シーズン、誰もがあっと驚く (あるいは期待通りの) 残酷な殺され方をしたパントリアーノが、どこまでエミー会員に心証を残したかだろう。しかし私は昨年に引き続いてガーバーを推すぞ。



ドラマ・シリーズ助演女優 (Supporting Actress in a Drama Series)


ローレン・アンブローズ (「シックス・フィート・アンダー」HBO)

ストッカード・チャニング (「ウエスト・ウイング」NBC)

タイン・デイリー (「ジャッジング・エイミー」CBS)

レイチェル・グリフィス (「シックス・フィート・アンダー」HBO)

リナ・オリン (「エイリアス」ABC)


こちらも、昨年3人もノミネートされた「ザ・ホワイトハウス」がチャニングだけになって、代わりに昨年は主演女優賞の方でノミネートされていたグリフィスが、今回は助演で勝負をかける。実際の話、アンサンブル・ドラマの「シックス・フィート・アンダー」は、私の印象では主人公然としたピーター・クラウスを除いて、全員主演というには弱すぎるという感じがする。グリフィスも助演でノミネートされた方が受賞する確率は高いと思うし、実際、彼女がとるという気がする。



ミニシリーズ/TV映画助演男優 (Supporting Actor in a Miniseries or Movie)


ピーター・オトゥール (「ヒットラー: ザ・ライズ・オブ・イヴル (Hitler: The Rise of Evil)」CBS)

ベン・ギャザラ (「ヒステリカル・ブラインドネス (Hysterical Blindness)」HBO)

クリス・クーパー (「マイ・ハウス・イン・ウンブリア (My House in Umbria)」HBO)

ジョン・マルコヴィッチ (「ナポレオン (Napoleon)」A&E)

アラン・アーキン (「ザ・ペンタゴン・ペーパーズ (The Pentagon Papers)」FX)


ヒットラーのドキュドラマ「ヒットラー」でオトゥールが演じたのは、ヒンデンブルグ。さすが貫禄だとは思ったが、出ずっぱりでヒットラーを演じた主演のロバート・カーライルが主演でノミネートされていないのに、後半の3分の1だけにしか出ていないオトゥールがノミネートされたか。「ヒステリカル・ブラインドネス」はウマ・サーマンとジュリエット・ルイス主演の女性ドラマで、「マイ・ハウス・イン・ウンブリア」は、マギー・スミス主演の、老いた女性が主人公の、これまた女性ドラマと言っていいだろう。


「ナポレオン」は、まんま、ナポレオンのドキュドラマ。ついでに言うと、ナポレオンを演じたクリスチャン・クラヴィエはノミネートされてない。マルコヴィッチが演じたのは、時の宰相タレーラン。「ペンタゴン・ペーパーズ」は、ペンタゴンの秘密資料を公開してスキャンダルを巻き起こしたダニエル・エルスバーグのドキュドラマ。こちらも主演のジェイムス・スペイダーは主演でノミネートされていない。「ヒステリカル」と「ペンタゴン」は、見ていないのでよくわからない。オトゥールとクーパーとマルコヴィッチは、3人ともよかった。しかし、まず本人の演技はともかく、番組全体としての弱さでマルコヴィッチが落ちる。オトゥールとクーパーなら、ともかく存在感でオトゥールかなあ。



ミニシリーズ/TV映画助演女優 (Supporting Actress in a Miniseries or Movie)


キャシー・ベイカー (「ドア・トゥ・ドア (Door to Door)」TNT)

ヘレン・ミレン (「ドア・トゥ・ドア」TNT)

ジーナ・ロウランズ (「ヒステリカル・ブラインドネス」HBO)

ジュリエット・ルイス (「ヒステリカル・ブラインドネス」HBO)

アン・バンクロフト (「ザ・ローマン・スプリング・オブ・ミセス・ストーン (The Roman Spring of Mrs. Stone)」ショウタイム)


「ドア・トゥ・ドア」は、身障者でありながら有能なセールスマンであった男のドキュドラマ。主人公を演じたウィリアム・H・メイシーが主演男優でノミネートされるのは当然としても、助演女優でも中堅の二人が入った。ミレンは「ローマン・スプリング」で主演でもノミネートされており、二冠を狙う。ここも「ヒステリカル」を見ていないので自信はないが、昨年主演女優でノミネートされていながら受賞を逃したロウランズに、功労賞ということで一票。



ヴァラエティ/ミュージック/コメディ・シリーズ (Variety, Music or Comedy Series)


「ザ・デイリー・ショウ・ウィズ・ジョン・スチュワート (The Daily Show with Jon Stewart)」コメディ・セントラル

「レイト・ナイト・ウィズ・コナン・オブライエン (Late Night with Conan O'Brien)」NBC

「レイト・ショウ・ウィズ・デイヴィッド・レターマン (Late Show with David Letterman)」CBS

「サタデイ・ナイト・ライヴ (Saturday Night Live)」NBC

「ザ・トゥナイト・ショウ・ウィズ・ジェイ・レノ (The Tonight Show with Jay Leno)」NBC


あまり変動のないこのジャンル、またまた同じような番組が並んだ。この手の番組はどうしてもヴェテラン番組に注目が集まるから、しょうがないとも言える。順当に行けば昨年に続きレターマンの「レイト・ショウ」という感じがするが、近年株を上げている「デイリー・ショウ」のジョン・スチュワートも捨て難い。どちらにしようか‥‥よし、ここはちと冒険してみて「デイリー・ショウ」にしてみよう。



ミニシリーズ/TV映画主演男優 (Lead Actor in a Miniseries or Movie)


ウィリアム・H・メイシー「ドア・トゥ・ドア」(TNT)

ブラッド・ガレット「グリーソン (Gleason)」(CBS)

トム・ウィルキンソン「ノーマル (Normal)」(HBO)

ポール・ニューマン「アウア・タウン (Our Town)」(ショウタイム)

ジェイムス・ウッズ「ルディ (Rudy)」(USA)


「グリーソン」は、「ハスラー」で強烈な印象を残したジャッキー・グリーソンのドキュドラマ。その「ハスラー」で主人公を演じたポール・ニューマンがここで主演男優にノミネートされているのも何かの因縁か。ガレットが演じるのは当然グリーソン。「Hey! レイモンド」でのコメディ部門の助演男優賞と併せ、二冠を狙う。「ノーマル」でウィルキンソンが演じるのは、性同一障害に悩む中年男性。ニューマンの「アウア・タウン」は舞台の中継で、これはTV映画ではない! ウッズが演じるのは、9/11後のニューヨークで獅子奮迅の働きを見せた当時の市長、ルディ・ジュリアーニ。身障者を演じると受けがいいのは、何もハリウッド映画だけに限ったことではない。というわけでここは身障者のセールスマンという役柄がすごく合っていたメイシーだろう。



ミニシリーズ/TV映画主演女優 (Lead Actress in a Miniseries or Movie)


ソーラ・バーチ (「ホームレス・トゥ・ハーヴァード (Homeless to Harvard)」ライフタイム)

ヘレナ・ボナム・カーター (「ライヴ・フロム・バグダッド (Live from Baghdad)」HBO)

マギー・スミス (「マイ・ライフ・アット・ウンブリア」HBO)

ジェシカ・ラング (「ノーマル」HBO)

ヘレン・ミレン (「ザ・ローマン・スプリング・オブ・ミセス・ストーン」ショウタイム)


「ホームレス・トゥ・ハーヴァード」は、ホームレスからハーヴァードに進学したリズ・マーレイのドキュドラマ。バーチが演じるのはもちろんマーレイ。「ライヴ・フロム・バグダッド」は10年前の湾岸戦争時のCNN撮影隊を描く。カーターはその一員。しかし本当の主人公を演じたマイケル・キートンが主演男優賞でノミネートされてないのにねえ。スミスは渋いところを見せているが、いつもに較べて特にいいとも思わなかった。コンスタントによい仕事をしている俳優は、ただ普通にできがいいくらいじゃ見る方も納得しない。それに較べれば、夫が女性になりたいと言い出して慌てる妻を演じた「ノーマル」のラングの方が、印象には残る。


「ローマン・スプリング」はテネシー・ウィリアムス作品の映像化。この中では、「ローマン・スプリング」で老いていく女優を演じたミレンか。考えたらこの番組も舞台は「ウンブリア」と同じイタリアで、しかもミレンとスミスは「ゴスフォード・パーク」で共演もしている。これも何かの因縁か。関係ないが、「ローマン・スプリング」では、「運命の女 (Unfaithful)」でダイアン・レインをたぶらかしたオリヴィエ・マルティネスが、また似たようなジゴロ役を演じている。



TV映画 (Made for Television Movie)


「ドア・トゥ・ドア」(TNT)

「ホームレス・トゥ・ハーヴァード」(ライフタイム)

「ライヴ・フロム・バグダッド」(HBO)

「マイ・ハウス・イン・ウンブリア」(HBO)

「ノーマル」(HBO)


特にとりたてて強く推すという番組があるわけではないが、「ドア・トゥ・ドア」にしておこう。



ミニシリーズ (Miniseries)


「ヒットラー」(CBS)

「ナポレオン」(A&E)

「テイクン (Taken)」(Sci-Fi)


年々製作本数が少なくなっていくミニシリーズ、昨年は4本しかノミネートされず、今年はさらに3本に減った。実際の話、昨シーズン、ネットワークで放送されたミニシリーズはたった3本しかないんだから、それもしょうがないだろう。やっとケーブルで放送されたミニシリーズをかき集めてなんとか3本のノミネート番組を選出して格好をつけたという感じだが、これは来年あたりからTV映画とミニシリーズは同じカテゴリーでくくられるかもしれない。その選ばれた3本の中では、「ヒットラー」しかないと思う。



コメディ・シリーズ主演男優 (Lead Actor in a Comedy Series)


ラリー・デイヴィッド (「カーブ・ユア・エンシューシアズム」HBO)

マット・ルブランク (「フレンズ (Friends)」NBC)

バーニー・マック (「バーニー・マック・ショウ (The Bernie Mac Show)」FOX)

エリック・マコーマック (「ウィル&フレンズ」NBC)

レイ・ロマノ (「Hey! レイモンド」CBS)

トニー・シャロウブ (「モンク (Monk)」USA)


助演男優と同じく、なぜだかここでも6人がノミネートされている。前回のノミネーションから今回外れたのは「フレイジャー」のケルシー・グラマーと「フレンズ」のマシュー・ペリーで、新ノミネーションはラリー・デイヴィッド、エリック・マコーマック、トニー・シャロウブの3人。とはいえシャロウブを除く二人は以前にもノミネートされていたり、番組自体は既にノミネート済みだったりと、本当の新顔はシャロウブしかいない。そのシャロウブがとる可能性は非常に高いというのが私の意見。



コメディ・シリーズ主演女優 (Lead Actress in a Comedy Series)


ジェニファー・アニストン (「フレンズ」NBC)

パトリシア・ヒートン (「Hey! レイモンド」CBS)

ジェイン・カツマレク (「マルコム・イン・ザ・ミドル (Malcolm in the Middle)」FOX)

デブラ・メッシング (「ウィル&グレイス」NBC)

サラ・ジェシカ・パーカー (「Sex and the City」HBO)


昨年とまったく同じ顔ぶれとなったこのカテゴリー、しかし、9/11の影響で見直された「フレンズ」のアニストンの2連覇の可能性はほとんどないだろう。私はやはりカツマレクにあげたいが。



ドラマ・シリーズ主演男優 (Lead Actor in a Drama Series)


マイケル・チキリス (「ザ・シールド (The Shield)」FX)

ジェイムス・ガンドルフィーニ (「ザ・ソプラノズ」HBO)

ピーター・クラウス (「シックス・フィート・アンダー」HBO)

マーティン・シーン (「ウエスト・ウイング」NBC)

キーファー・サザーランド (「24」FOX)


「ザ・ソプラノズ」が復活してきたおかげで「シックス・フィート・アンダー」のマイケル・C・ホールが落ち、代わりに当然の如くガンドルフィーニがノミネート入り。順当ならガンドルフィーニの受賞は間違いないと思うが、問題は、今春、ギャラ問題でHBOと揉めてしまったことだ。業界からもらう賞で、こういう雇用者側と問題を起こす俳優が嫌われやすいのは事実で、もしエミー会員の半分くらいが雇用される側である俳優で占められてなかったなら、もしかしたらノミネートすら危うかったかもしれない。一応、私は番組だけを見るならばやはりガンドルフィーニだと思うが、もし彼が落ちるならば、それは身から出た錆というものだろう。


ドラマ・シリーズ主演女優 (Lead Actress in a Drama Series)


フランシス・コンロイ (「シックス・フィート・アンダー」HBO)

イーディ・ファルコ (「ザ・ソプラノズ」HBO)

ジェニファー・ガーナー (「エイリアス (Alias)」ABC)

マーグ・ヘルゲンバーガー (「C.S.I.」CBS)

アリソン・ジェニー (「ザ・ホワイトハウス」NBC)


「ジャッジング・エイミー」のエイミー・ブレネマンが漏れ、「シックス・フィート・アンダー」のレイチェル・グリフィスが主演から助演に移行、代わってファルコとヘルゲンバーガーが復帰してきた。ここはやはりファルコ。当てにくいエミー賞の俳優部門で、一応、今回まがりなりにもこれだけは外れないだろうと思えるのは、彼女だけだ。



コメディ・シリーズ (Comedy Series)


「カーブ・ユア・エンシューシアズム」(HBO)

「Hey! レイモンド」(CBS)

「フレンズ」(NBC)

「Sex and the City」(HBO)

「ウィル&グレイス」(NBC)


こちらも昨年とまったく同じノミネート。しかし多分アニストンの主演女優賞受賞はないだろうというのとまったく同じ理由で、やはり「フレンズ」の2連覇はないだろう。ここんとこ着実にファン層を広げている、「カーブ・ユア・エンシューシアズム」の初受賞に一票。



ドラマ・シリーズ (Drama Series)


「C.S.I.」(CBS)

「シックス・フィート・アンダー」(HBO)

「ザ・ソプラノズ」(HBO)

「24」(FOX)

「ザ・ホワイトハウス」(NBC)


冒頭にも書いたように、過去11年連続ノミネートの「ロウ&オーダー」がついに選から漏れ、代わって「ザ・ソプラノズ」が復帰してきた。そのため今年の焦点は、その「ザ・ソプラノズ」と、昨年最多ノミネーションされながら主要な賞からシャット・アウトされた「シックス・フィート・アンダー」、さらに、もうほとんど話題にならなくなったとはいえ、しつこくエミー会員から支持されている「ザ・ホワイトハウス」の三つ巴の戦いということになろう。私はやはり「ザ・ソプラノズ」か「シックス・フィート・アンダー」のどちらかだと思う。この2本ならどちらが受賞しても文句はないが、どちらかというと「シックス・フィート・アンダー」か。それにしても、いくら昨シーズン、ファンを増やしたとはいえ、主人公が、乗っていた飛行機が落ちても死ななかったり、あるいは拷問を受けて一度死んでまた生き返ったり、核が爆発したりと、内容では言語道断のストーリー展開で視聴者を唖然とさせた「24」が、またノミネートされるか。



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以下はTVで中継されるエミー賞授賞式には含まれない、マイナーな部門の賞の予想。近年のリアリティ・ショウの興隆を受け、毎回新しい賞が新設されたり、ノミネーションの資格に変動があるのが特色で、それは今年も例外ではない。

昨年、リアリティ・ショウは「ノンフィクション (リアリティ)」と、「スペシャル・クラス」という2カテゴリーにわたってノミネートされた。しかし、当然のことながら、なぜ「サバイバー」と「トレイディング・スペイシズ」が「スペシャル・クラス」でノミネートされ、「ジ・オズボーンズ」と「プロジェクト・グリーンライト」が「ノンフィクション (リアリティ)」にノミネートされているかなんて、誰もうまく説明できる者はいなかった。


今年は「ノンフィクション (トラディショナル)」、「ノンフィクション (オールターナティヴ)」、それに「リアリティ/コンペティション」と、リアリティ・ショウ関係は3カテゴリーにわたってノミネートされている。特に流行りの勝ち抜き系のリアリティ・ショウを区別するために、「リアリティ/コンペティション」を設けたのはよい考えだと思う。つまり、ごく普通のドキュメンタリーであれば「トラディショナル」でノミネートされ、「トレイディング・スペイシズ」や「オズボーンズ」のような娯楽系なら「オールターナティヴ」、「サバイバー」や「アメリカン・アイドル」なら「リアリティ/コンペティション」とすぐ判別できるわけで、確かに今回のカテゴライゼーションは、ぐーんとわかりやすくなった。ここでは私がほとんど見ていない「トラディショナル」はパスして、「オールターナティヴ」と「リアリティ/コンペティション」の方を予想してみた。



ノンフィクション・プログラム (オールターナティヴ) (Nonfiction Program (Alternative))


「アンティークス・ロードショウ (Antiques Roadshow)」PBS

「シルク・ドゥ・ソレイユ: ファイア・ウィズイン (Cirque du Soleil: Fire Within)」ブラヴォー

「ダ・アリ・Gショウ (Da Ali G Show)」HBO

「ジ・オズボーンズ (The Osbournes)」MTV

「トレイディング・スペイシズ (Trading Spaces)」TLC


「アンティークス・ロードショウ」は、全米のアンティークを求めて歩く番組で、「ファイア・ウィズイン」は、新パフォーマンス「ヴァレカイ」練習に余念のないシルク・ドゥ・ソレイユの舞台裏をとらえたもの。「ダ・アリ・Gショウ」はコメディアン、アリ・Gのヴァラエティ・ショウだが、見たことがないのでよくわからない。「オズボーンズ」は昨年「リアリティ」部門を受賞しているわけだが、昨シーズンは既に話題にならなくなっていた。ここは、今、ケーブルTVを代表する番組に成長した「トレイディング・スペイシズ」だろう。



リアリティ/コンペティション・プログラム (Reality/Competition Program)


「AFI 100イヤーズ... 100パッションズ (AFI's 100 Years...100 Pssions: America's Greatest Love Stories)」CBS

「ジ・アメイジング・レース (The Amazing Race)」CBS

「アメリカン・アイドル (American Idol)」FOX

「100イヤーズ・オブ・ホープ・アンド・ヒューモア (100 Years of Hope and Humor)」NBC

「サバイバー (Survivor)」CBS


昨年もAFI主催の自画自賛番組「100イヤーズ... 100スリルズ」がノミネートされ、今回もまたくだらない似たような番組がノミネートされた。これは単に、エミー会員がこの番組の企画製作に携わっている人間が多いからで、番組のつまらなさ、無意味さは、一映画ファンの立場から見れば一目瞭然なのだが。というわけで勝負は残りの4番組の間で争われることになろう。話題性で言えば「アメリカン・アイドル」と「サバイバー」なのだが、実は内容の点で言えば、「アメイジング・レース」も、上記2番組に勝るとも劣らない。さらに、本当ならまず受賞の可能性はないように見える「ホープ・アンド・ヒューモア」も、先日、番組のテーマであるボブ・ホープ本人が死去したことで、追悼の意味でこの番組に票を投じるエミー会員がいることは間違いなく、俄然ダーク・ホースとして頭角を現してきた。というわけで混戦模様なのだが、うーん、ここは中毒度の高さで「アメリカン・アイドル」かなあ。



アニメーション (Animated Program for Programming Less Than One Hour)


「アズ・トールド・バイ・ジンジャー (As Told by Ginger)」ニコロデオン

「キム・ポッシブル (Kim Possible)」ディズニー

「フューチャラマ (Futurama)」FOX

「ザ・シンプソンズ (The Simpsons)」FOX

「スポンジボブ・スクエアパンツ (SpongeBob SquarePants)」ニコロデオン


「キング・オブ・ザ・ヒル」と「サウス・パーク」が落ちて、「キム・ポッシブル」と「スポンジボブ・スクエアパンツ」がノミネート入り。昨シーズンの人気沸騰ぶりを考えるなら、ここは「スポンジボブ・スクエアパンツ」か。







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