放送局: MTV

プレミア放送日: 2/21/2000 (Mon) 20:00-22:00

製作: MTVオリジナルTVムーヴィーズ、キーストーン・ジェネレーション

製作総指揮: マギー・マリーナ

製作: ビル・バナーマン

監督: ナイジェル・ディック

脚本: ブライアン・ガン、マーク・ガン

撮影: マーク・ラリベレテ・エリス

編集: ジョナサン・ショウ

出演: エヴァン・ファーマー (ジェリー・オキーフ)、ノア・バスチャン (チャド・ライナス)、マイケル・クッチョーネ (ジェイソン・QT・マクナイト)、ケヴィン・ファーリー (ダグ・ライナス)、アラン・ブラメンフィールド (ボブ・バス)、アレックス・ソロウィッツ (ミッキー・パーク)


物語: 男性ポップ・グループ「ホア (Whoa)」を発見したマネージャーのボブは、いつもあれこれとグループの言動に口を出すため、ホアの人気が上がるに連れ段々と胡散臭がれるようになり、ついにすげ替えの訊くマネージャーよりもホアの方が大事なレコード会社幹部によって馘首になる。ボブは復帰を誓い、新たなタレントを探し始める。橋の下で歌っていたをスカウトし、レコード界の大立者に会いに行ったまではよかったが、しかし彼が求めているものは男性グループで、しかも1週間以内にバンドを準備できるならばデビューをセッティングしてもよいと言う。ボブはツアー・バスで新バンドのデビュー会場のあるフロリダを目指して南下しながら、新たなタレントを次々とスカウトする。果たして新バンド「2GETHER」は無事デッド・ラインに間に合ってデビューすることができるのか‥‥


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信じ難いかも知れないが、MTVの現在のプライムタイムの核となる番組はミュージック・ヴィデオ番組ではない。「トータル・リクエスト・ライヴ (Total Request Live: TRL) 」というミュージック・ヴィデオ紹介番組が毎晩のように編成され、確かに人気があるが、しかしそれよりも人気のあるのが「リアル・ワールド (Real World)」、「ロード・ルールス (Road Rules)」のようなリアリティ・ショウである。どちらも10代から20代の若者数人をアメリカ中、世界中に送り込んで共同生活させ、その一部始終を記録するもので、今MTVを代表する番組といえばこの2つだろう。それにプライムタイムの「TRL」は日中にライヴ放送されるものの再放送だから、純正のプライムタイム番組とは言い難い。


その他のプライムタイム番組も、アニメーションの「ダリア (Daria)」、セレブリティの人形が毎回リング上で血みどろになるまで争うというクレイメーション「セレブリティ・デスマッチ (Celebrity Deathmatch)」、トーク/コメディの「トム・グリーン・ショウ (Tom Green Show)」等、多くの人気番組が音楽とはまったく無縁であったりする。映画にもなったアニメーション「ビーバス&バット・ヘッド」もMTV出身だ。そういうわけで、ミュージック・ヴィデオを見るためにMTVを見る私が近年MTVを見る時は、大概が深夜である。その時間帯は流石にV.J.もなしのヴィデオ・クリップを連続で流してくれるので、私にはそちらの方が断然ありがたい。


しかしそんな私の願いなどはまったく無視して、MTVはついにオリジナル映画製作に乗り出した。その第1回となる「2GETHER」は、その内容よりも番組のマーケティングの方がよりオリジナルで面白いという、さすが? MTVという仕上がりとなっている。新しいバンドをデビューさせるための四苦八苦を面白おかしく描くこの番組では、番組内で架空のグループ「ホア」を紹介しているMTV、というシーンがばんばん登場する。それが前述の「TRL」であったりするわけだ。しかも「2GETHER」プレミア放送時は、なんとコマーシャルなし、その代わりにタイムズ・スクエアの「TRL」を収録しているMTVのスタジオから、架空のバンドであるはずの2GETHERをゲストに迎えて放送するという体裁をとった。番組放送終了後はその2GETHERが歌を披露するというおまけつき。つまり彼らは本当にデビューしてしまったわけだ。「2GETHER」の中に登場してくる番組が現実にも「2GETHER」を紹介するという構図で、何か現実と虚構が逆転してしまったような気がしてくらくらしてしまった。


そしてその後何日かしてたまたまMTVにチャンネルを合わせたら、今度は2GETHERのエヴァン・ファーマーが「TRL」の司会をしていた。ちゃんとフォローまでしていて、ここまでやられるとあざとさに辟易するよりも先に感心してしまう。スタジオには「2GETHER」と書いたプラカードを持ったファンが既にできていた。オリジナル映画だけでなく、今流行りの男性ポップ・グループをデビューさせ、そこでもちゃっかり儲けてしまおうというMTVのビジネス戦略は、何というか、ほとんど見事としか言い様がない。


番組のストーリー自体は、最初の10分間でその後の80分の展開が簡単に予想できる程度。しかしこの手のサクセス・ストーリーは、先の読める展開をいかに巧く見せるかが勝負であり、最後にこれまで我慢して見た甲斐があったと思えるようなカタルシスを味わわせてくれるのなら、たとえ出来レースのような筋であろうとも充分つきあえる。その点「2GETHER」はまあまあ及第点といったところか。それに、登場人物がちゃんと歌えるんだよなあ。まあ、元々歌手デビューさせようとしたグループを俳優として起用したのだろうから歌えるのは当たり前で、ここはちゃんと演技もできるんだよなあと言うべきか。あ、でも、そう考えて見ると演技は大したことなかったな。


しかし、流行りの男性グループは、リーダー格、包容力のある兄貴タイプ、不良タイプ、母性本能をくすぐるキュートタイプ、シャイ・タイプとちゃんと性格付けが決まっており、そういう人物を探してきてグループを作るんだというような業界の裏側の描写は妙に説得力あった。そういった裏の描写を視聴者に教えたままでデビューさせちゃうんだから、太っ腹というか何というか。それでそういう性格付けに乗せられてまたそれぞれに異なったファンがつくんだろう。


ところで、「2GETHER」は既に同じ登場人物を使ったままで今秋からのシリーズ化が決まっている。視聴率がよかったからというのがその理由だが、私はこれだけチャンネルの総力を上げて派手にマーケティングしたのだからMTVは高視聴率をとるのを確信しており、実は最初からシリーズ化してバンドも派手に立ち上げ、ブーム化して儲ける魂胆だったのではないかと訝っている。あれだけ宣伝しておいて、視聴率がよかったからシリーズ化しますなんて、いかにもでき過ぎな様な気がするんだよなあ。それとも疑心暗鬼になり過ぎる私のへその方が曲がり過ぎているのか。私はどうしてもシリーズ化は最初から決まっていたという気がするんだが。



追記(2001年1月):

体が弱く、母性本能をくすぐるタイプだったQTことマイケル・クッチョーネが死去した。昨年の暮れから持病のホジソン氏病が悪化し、入院を余儀なくされて番組もQTの出番がないまま進んでいた。番組内でもよくわからない持病で苦しめられているという設定だったが、本当に病気だったとは知らなかった。それを知ってて彼を起用したのか。本人がやりたかったのなら本望と言えるかも知れない。これから番組はどうなるんだろう。合掌。







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2GETHER

トゥゲザー   ★★

 
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